ガス市場における競争上の課題と提言
資料の目的・背景
本資料は、2017年11月24日に東京電力エナジーパートナー株式会社、中部電力株式会社、関西電力株式会社によって作成されたものである。ガス市場における新規参入者の視点から競争上の課題を検討している。
ガス市場の特徴
ガス市場には以下のような特徴が存在する。
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多様な事業者の存在
- 大手・準大手ガス会社と多くの中小規模ガス会社が存在する。
- 中小ガス会社は地域内での圧倒的なシェアを持ち、大手からの卸供給に依存することが多い。
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卸取引市場の不在
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法的組織の欠如
- 法的に位置付けられた強力な調整機関が存在せず、広域の導管建設や託送ルールの統一が進まない。
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保安規制の課題
- 需要家構内のガス設備に保安規制が課せられ、新規参入者にとってのハードルとなる。
課題の概要
ガス市場における具体的な競争上の課題は以下の通りである。
課題1: 託送料金の適切性
- 新規参入者にとって困難な価格設定
- 小売会社間でコスト構造が類似しており、競争の原資は「諸経費」に依存する。
- 諸経費が安いエリアでは託送料金が高い傾向がある。
- 継続的な検証を要請
- 託送料金水準の適切性について定期的な検証が求められる。
旧一般ガス事業者の標準家庭料金単価(2017年7月分)
| 会社 | 諸経費 (円/m³) | 託送料金 (円/m³) | 原料費 (円/m³) | 総額 (円/m³) |
|---|
| A社 | 43.7 | 58.5 | 39.4 | 141.6 |
| B社 | 42.5 | 77.8 | 39.4 | 159.7 |
| C社 | 65.5 | 67.3 | 39.4 | 172.2 |
| D社 | 95.0 | 79.9 | 39.4 | 214.2 |
| E社 | 48.4 | 95.6 | 39.4 | 183.4 |
| F社 | 16.8 | 124.7 | 39.4 | 180.8 |
| G社 | 12.5 | 123.7 | 39.4 | 175.5 |
| H社 | 9.6 | 128.0 | 39.4 | 176.9 |
課題3: 尺取営業の実例
- 囲い込み行為の見直し
- 既存ガス会社が高額な解約補償料と前倒し再契約を組み合わせ、新規参入を妨害するケースが存在する。
課題4: 自動更新割引契約
- 囲い込みの実施
- 自動更新割引契約が新規参入を妨害する事例が存在する。
課題5: 包括契約の実施
- 複数地点との契約の問題
- 既存ガス会社が新規参入者に不利な包括契約を提案し、競争を阻害することがある。
課題6: 付随サービスの解約や値上げ
- 供給者変更に伴う影響
- 既存ガス会社が値上げを示唆することで、新規参入が困難になる事例が存在する。
課題7: ピンポイント値下げ
- 不当廉売の疑念
- 競合顧客に原価を著しく下回る価格を提案することで新規参入を阻害する事例が見受けられる。
課題8: 競合顧客への対抗
- 合理的な競争行動の検討
- 卸と小売を両方行う事業者が行う行動について、慎重な検討が必要である。
結論・提言
ガス市場における競争を活性化させるためには、以下の措置が望ましい。
- 大手都市ガス3社の導管ネットワークの相互接続
- 託送制度のルールの明確化
- マンション一括供給の制度化
- 全国的に統一されたスイッチング環境の整備
これらの施策を通じて、ガス市場の流動性を高め、新規参入の促進が図られることが期待される。