電力料金の自由化に関する消費者アンケート結果報告
資料概要
本資料は、2018年6月22日に開催された第8回競争的な電気・ガス市場研究会において、一般社団法人全国消費者団体連絡会が実施した「電気料金の自由化に関する消費者アンケート」の結果を報告したものである。
調査背景
- 電力小売全面自由化開始: 2016年4月から小売電気事業者や料金プランを自由に選択できるようになった。
- 目的: 調査は、自由化開始から2年を経た時点における消費者の認識や意見を把握するために実施された。
調査結果のポイント
スイッチング行動
- 電力会社の切り替え:
- 切り替えた消費者は35.6%、同じ会社でプランを切り替えたのは**3.9%**であった。
- 全体として4割近くが何らかのスイッチングを行っており、これは消費者委員会の調査結果約18%に比べ高い値である。
切り替えの理由
- 切り替えた理由:
- 料金が安くなるから
- 原発由来の電力からの脱却
- 再生可能エネルギーを利用したい
切り替えない理由
- 切り替えていない消費者の理由:
- メリットを感じない
- 手続きが面倒
- 情報が不足している
経過措置料金の認知状況
- 知識の有無:
- 知っていると回答したのは39.5%、聞いたことがあるが詳細は知らないと回答したのは**43.9%**であり、80%以上が経過措置料金の存在を認知しているが詳細は理解されていない。
経過措置料金規制解除に関する意見
- 規制解除に対する意見:
- 良いと考える: 37.1%
- 分からない: 24.9%
- 今は撤廃すべきではない: 23.9%
調査概要
- 実施期間: 2018年4月27日〜5月18日
- 調査対象: 一般消費者
- 調査方法: ホームページ及び会員団体を通じての回答呼びかけ
- 回答数: 207通(有効回答数: 205通)
地域別回答状況
| 地域 | 割合 |
|---|
| 北海道 | 0.5% |
| 東北 | 2.4% |
| 関東(東京電力管内) | 60.0% |
| 中部 | 5.4% |
| 北陸 | 0.5% |
| 関西 | 23.4% |
| 中国 | 6.8% |
| 四国 | 0.0% |
| 九州 | 1.0% |
| 沖縄 | 0.0% |
| 無回答 | 0.0% |
消費者の悩みと不安
切り替え先の情報不足
多くの消費者が大手電力からの切り替えを希望しているが、具体的な情報が不足しており、以下の課題が浮き彫りになっている。
- 切り替えのメリットが理解できない
- どの事業者に切り替えれば良いのか分からない
- 他社の料金プランや発電方法の比較が難しい
- 切り替えに関する情報が入手しにくい
マンションや集合住宅の制約
マンション住まいの消費者は以下の理由から切り替えに困難を感じている。
- 個別に契約できない場合が多い
- 管理組合が一括で契約しているため自由に選べない
- 移行手続きが面倒で、変更を諦めている
安定供給への不安
大手電力に対する信頼感から、以下の懸念も表明されている。
- 震災時の対応や安定供給が重要と感じる
- 切り替えた場合の供給の不安や、倒産リスクが気になる
自由化に対する意見
規制料金の廃止に関する懸念
消費者は規制料金の廃止について様々な意見を持っている。具体的には以下の意見が挙げられている。
- 値上げの懸念があるため、撤廃には反対
- 大手電力の独占を懸念し、競争が起きるか疑問
- 自由化による料金システムの複雑化を心配する声も多い
競争と選択肢の必要性
消費者の意見は、自由化に伴う競争の必要性を支持する一方で、以下のような課題を指摘している。
- 現競争が不十分であり、十分な選択肢がない
- 地域差があるため、地方での料金上昇が心配
- 小規模電力会社が競争に負ける懸念
今後の重点的な論点
経過措置料金解除に関する検討
- 経過措置料金規制が2020年3月までに原則撤廃されることが決まっているが、消費者の多くがこの規制解除について認識していない。
- 規制解除には公正な事業者間の競争と、消費者がサービスを実際に受けられる状況の確保が重要である。
慎重な判断の必要性
- 競争状況や消費者に関わるデータに基づく客観的な指標の必要が強調されている。
- 撤廃に向けた検討には、時間的余裕を持った議論と、広範な消費者の意見聴取が求められる。
結論
消費者の電力料金の自由化に対する認識や意見は多様であり、特にスイッチング行動や経過措置料金に関する認知度が高いことが確認された。一方で、切り替えに関する不安や情報不足が引き続き課題であり、消費者の声を反映した改善が求められる。