長期脱炭素電源オークションにおける他市場収益の監視の在り方に関する検討
資料の目的・背景
本資料は、長期脱炭素電源オークションにおける他市場収益の監視の在り方についての検討会によるとりまとめ(案)である。経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会が作成したものであり、監視の必要性や具体的な手法について検討されている。
検討内容の概要
課題整理
本報告書では、以下の主要な論点について検討されている:
- 検討会の検討概要
- 他市場収益の論点
- 可変費の論点
- 監視フローの論点
他市場収益の管理
- 落札事業者は、実際の他市場収益の**約90%**を電力広域的運営推進機関(広域機関)に還付することが求められている。
- 不当な他市場収益の計上を防止するため、監視等委員会が落札事業者の他市場収益を監視する。
可変費の監視
| 発生する費目例 | 費用の例 |
|---|
| 燃料費 | ヘッジ差損益 |
| 購入電力料 | インバランス損益 |
| 燃料廃棄物処理費 | 事業税の収入割、所得割 |
| 消耗品費 | 下げ調整電力量料金 |
| 発電側課金 | 需給調整市場ペナルティ |
| アグリゲーションフィー | 市場取引手数料 |
監視フロー
監視結果の通知プロセス
- 監視等委員会は監視後、広域機関に監視結果を報告する。
- 報告を受けた広域機関が還付金の支払いを行う。
- 落札事業者は監視結果に異議を申し立てることが可能で、その結果が確定する。
相対契約に係る規律の監視フロー
- 落札事業者は契約証書を監視等委員会に提出し、監視結果を受け取る必要がある。
- 提出がなかった場合、他市場収益の計算が異なる方式に基づく可能性がある。
課題・リスク
- 他市場収益の監視結果は還付額に直結するため、透明性の確保が必要である。
- 相対契約の規律が満たされていない場合、還付金の支払いに影響を及ぼすリスクが存在する。
今後の予定
- 本資料はとりまとめ後も、制度変更や落札事業者の実務状況に応じて随時見直しを行う予定である。
他市場収益の還付に関する基本的な考え方
基本的な方針
- 利益還付の目的: 全ての利益を還付すると稼働インセンティブが低下するため、利益の約**90%を還付し、残りの10%**は事業者が稼働インセンティブとして留保することが定められている。
容量提供事業者の収入構造
- 固定費と可変費: 容量提供事業者は以下のように収入を構成する:
- 固定費水準の容量確保契約金額
- 他市場からの収入(卸市場・非化石市場等)
- 還付額
- 収入計算式:
還付割合の設定
- 各事業者の合理的・効率的なオペレーションを促進するために、還付割合を以下の3段階に設定している:
- 領域 (A): 95%(事業報酬分を考慮)
- 領域 (B): 85%(本制度での収入がメインオークションより少ない場合)
- 領域 (C): 90%(それ以外)
監視機関の役割
- 容量提供事業者は実際の他市場収益の約**90%**を広域機関に還付するため、年度ごとに実際の収入と可変費を報告する。監視機関はこれをもとに以下を行う:
- 実需給年度の翌年度に実績の監視
- 契約締結時の相対契約の規律の監視
実際の収益監視の具体的手法
- 各事業年度終了後、落札事業者に実績の算定方法と算定根拠を提示する。報告内容が適正か確認するため、以下の要素が監視される:
- 実際の他市場収益
- 不適正な可変費計上の防止(例: 高すぎる燃料費の監視)
燃料費の監視
- 燃料費が特異な金額となっている場合、合理的な理由がない限り、控除された金額で計算される。
収益と可変費の算定方法
| # | 費目 | 可変費に該当するか | 判断例 | 理由 |
|---|
| 1 | 容量拡出金を含む電気料金 | 該当する | kWhを生み出すための費用 | 発電のために発生 |
| 2 | 託送料金 | 該当する | kWhを生み出すための費用 | 発電のために発生 |
| 3 | 機器消耗品費 | 該当する | 消耗品費 | 発電のために発生 |
その他の重要事項
- 調査概要として、2023年度オークションの全落札電源を調査し、相対契約についての意識調査を実施した。
- 可変費に関する提出書類も重要であり、これに基づく検証が行われる必要がある。
監視機関の役割の強化
- 実際の他市場収益の監視のために証憑類の例も提示され、多様な費目についての透明性が求められている。
以上が、他市場収益の還付に関する基本的な考え方と監視手法に関する資料の要約である。