卸電力市場に関する競争促進上の課題
Ⅰ. 卸電力市場の現状
1. 発電設備の保有状況
- 日本の発電設備の総量は約2.8億kWであり、過去20年間で10%超の増加が見られる。
- 発電設備の内訳(2017年9月末現在):
- 原子力: 15.1%
- 石炭: 16.8%
- 一般水力: 8.0%
- LNG: 29.6%
- 石油: 12.8%
- 最近はLNG火力や再生可能エネルギーの増加が顕著である。
2. 発電設備の保有者
- 大部分の発電設備は旧一般電気事業者と電源開発が保有しており、総括原価方式によって運用される。
- 自家発電設備や、都市ガス事業者による発電設備の保有は限定的である。
3. 再生可能エネルギー
- FIT制度により、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの設置が急速に進行している。
- 多様な新規参入者による設置も増えている。
Ⅱ. 新電力の電力調達状況
- 新電力にとっての重要な課題は、経済的な電力調達である。
- 調達手段(2017年9月現在):
- 卸電力取引所での調達: 42.6%
- 電力会社との相対取引
- 旧一般電気事業者からの常時バックアップ: 8.6%
常時バックアップ
- 常時バックアップは、旧一般電気事業者が新電力に対して発電量を融通する制度であり、全電源平均価格で供給される。
Ⅲ. 旧一般電気事業者の電源調達状況
- 旧一般電気事業者は主に内部取引に依存しており、現在の卸電力取引所で取引される電力需入量は**約7%**にとどまっている。
Ⅳ. 取り組み
旧一般電気事業者のこれまでの取り組みは以下の通りである。
- 余剰電力の市場への全量投入: 自主的に市場に余剰電力を投入。
- 電源の切出し: 電源開発株式会社との長期契約の一部を市場に切出す。
- 常時バックアップ: 契約電力に応じた電力供給割合を設定し、価格見直しを行う。
- グロス・ビディング: 上流の卸電力市場を活性化させるため、社内取引の一部を取引所を介して行う。
Ⅴ. 検討すべき論点
以下の論点を検討する必要がある。
-
市場画定
- 電力市場の競争状況を評価し、市場管理の強化を図る。
-
小売市場
- 商品範囲により市場を区分する可能性があり、多様な需要者の属性に注目する。
-
卸売市場
Ⅵ. 市場支配の事業者
- 市場支配的事業者の存在は競争を促進するために重要であり、その調査と必要な政策措置の検討が求められる。
Ⅶ. 競争促進上の個別課題
- 旧一般電気事業者による卸供給契約の締結拒否や差別的取扱いが競争を歪める要因であるため、問題を考察する必要がある。
- 今後の議論では、旧一般電気事業者が供給する電源の取り扱いについても検討が行われる予定である。
この資料は、卸電力市場の競争促進に関する課題を詳細に示しており、今後の動向が重要視される。