卸電力取引の活性化に関する検討報告書
資料の背景と目的
経済産業省が提出した本資料は、卸電力取引の活性化に関する検討を目的としている。特に、社内取引と同条件で他社に売電する際に留意すべき論点について議論がなされる。
本日の議題
本日の議題は以下の2つである。
- 社内取引と同条件での他社売電に係る論点
- 発電情報公開システム(HJKS)に係るアンケート調査結果
社内取引と他社売電に関する検討方針
検証ポイント
第17回制度設計専門会合では、以下の検証が提案された:
- 旧一般電気事業者の総費用と利益相当額を考慮し、販売電力量で割って単価を算出。
- 新電力の調達コストに基づく常時BU契約のコストを、他社受電コストやJEPX調達コストなどと比較。
コストの算定基本方針
- 比較コストは、税や燃料費調整単価の調整を行い、同条件で比較する。
- コストの算定には、公表データとヒアリング結果を基にする。
コスト算定方法の詳細
以下に各コストの算定方法を示す。
| コストの種類 | 単価区分 | 計算式 | パラメータ | データソース |
|---|
| 旧一般電気事業者の社内取引コスト | 全電圧の平均単価 | (販売額 / 販売電力量 - 託送料金単価) (1-損失率) 販売管理費単価 | 販売電力量、販売額、損失率 | 定期報告徴収データ |
| 常時BUの調達コスト | 実績単価 | 常時BU販売額 / 常時BU供出電力量 | 常時BU供出電力量、販売額 | モニタリングレポート |
| 新電力の調達コスト | エリア別の新電力調達単価 | 自社発電コスト + 相対取引調達コスト + JEPXエリアプライス + 常時BU調達コストの加重平均 | 各コストの実績データ | 新電力ヒアリング |
コスト比較における論点
- 社内取引コストと常時BUコスト、及び新電力の調達コストの比較を行い、合理的な説明ができるかを確認する。
算定結果概要
コストの関係性
- 旧一般電気事業者の社内取引コストは、地域によって異なるが、全体として特高と同程度である。
- 常時BUの利用率が100%の場合、社内取引コストを上回る傾向が見られる。
- 新電力の調達コストは、全一般電気事業者の社内取引コストを上回ることが多い。
地域ごとの傾向
- 地域7では社内コストが高圧を上回り、地域8・9では常時BUコストが社内取引コストを大きく上回る傾向が見られる。
論点に基づく考察
論点1: 社内取引コストの水準確認
- 多くの地域で社内取引コストは高圧と同じかそれを下回る水準であり、概ね論理的であると考えられる。
論点2: 社内取引コストと常時BU実績コストの比較
- 社内取引コストと常時BU実績コストに差異が見られる地域があり、地域による利用率の影響が考えられる。
競争状況の分析
競争入札の結果から、旧一般電気事業者と新電力の落札状況が明らかにされ、需要家層ごとに異なる競争状況が見受けられる。
結論と今後の課題
- 旧一般電気事業者の社内コストは合理性が確認されている。また、常時BUに対する需要家へのアクセス状況も多様である。
- ベースロード電源を持たない新電力が需要家にアクセスできない現状の問題を解決するため、今後の料金設定や市場環境について議論が求められる。
発電情報公開システムの概要
発電情報公開システム(HJKS)は、発電事業者が必要な情報を公開するためのプラットフォームである。このシステムの導入は、正確で公平な電力取引の実現を目指している。
HJKSの基本情報
- 指針: 「適正な電力取引についての指針」(平成28年3月7日)に基づいて運用される。
- 対象情報: 認可出力が10万キロワット以上の発電ユニットに関する計画情報及び計画外停止情報。
- 運営: 一般社団法人日本卸電力取引所(JEPX)が運営。
- アクセス方法: HJKSポータルサイトから確認可能。
公開される情報の例
| エリア | 発電事業者 | 発電所コード | 発電所名 | ユニット名 | 認可出力 (kW) | 停止区分 | 停止日 | 復旧見通し |
|---|
| 関西 | 関西電力株式会社 | 62A44 | 堺発電所 | 4号機 | 400,000 | 計画停止 | 2017/04/16 | あり |
| 東京 | 君津共同火力株式会社 | 6065330508 | 君津共同火力 | 5号機 | 300,000 | 計画外停止 | 2017/05/17 | あり |
| 北陸 | 北陸電力株式会社 | 52312 | 北陸電力 富山火力 | 4号機 | 250,000 | 計画停止 | 2017/05/16 | あり |
アンケート調査の実施
HJKSの運用開始から1年を経過したことを踏まえ、活用実態を把握するためのアンケート調査が実施された。
アンケートの概要
- 実施期間: 平成29年4月25日~5月12日
- 対象者: 143事業者(JEPX取引会員及びHJKSアカウントユーザ)
- 回答数: 104事業者
- 回収率: 72.7%
回答事業者のライセンス区分
- 発電事業: 35%(36事業者)
- 小売電気事業: 44%(46事業者)
- 発電事業と小売電気事業の両方: 21%(22事業者)
HJKSの機能と活用状況
参照機能と登録機能の質問項目
参照頻度の結果
- 半数以上の事業者が週に1回以上の頻度で参照しているが、**30%**の事業者は情報を参照していない。
参照目的の結果
- 市場分析を目的とする事業者が約半数であり、発電事業者による他社のユニットの稼働状況確認も多く見られる。
参照内容の内訳
- 現在停止中の発電ユニット情報が最も多く参照されている。
利便性に関する調査結果
機能に対する不都合
- 改善案:
- データダウンロード機能の追加
- 画面表示・検索機能の強化
- 過去の発電ユニットの停止情報に関する意見
登録機能の評価
- 発電ユニット情報の登録に不都合はないとの回答が多い一方、停止情報登録時に複数ユニットの登録が難しいとの意見も存在。
アンケート結果のまとめ
- 週に1回以上参照している事業者が半数以上で確認され、小売電気事業者や両方事業者において活用が進んでいる。
- 一方、情報参照機能の利便性には改善の余地があるとされており、今後はこれを踏まえたHJKSの改善が求められる。