一般送配電事業者の収支状況評価資料
資料の目的・背景
本資料は、一般送配電事業者の収支状況に関する事後評価を行うことを目的としており、全10社の状況を把握し、フォローアップを行うための情報が整理されている。
- 審議会名: 第34回 料金審査専門会合
- 提出者: 経済産業省
- 提案日: 2018年12月12日
- 関連機関: 電力・ガス取引監視委員会
資料の構成
資料の構成は以下の通りである。
- 本日ご議論いただきたい内容
- 全10社の状況把握
- 経営効率化に向けた取組状況
- 経営効率化の実施状況
- 調達の状況(仕様の統一化、競争発注比率)
- 調達単価
- 工事費負担金
- 中長期的な安定供給等適切なサービスレベルの確保
主要な検討内容・論点
経営効率化に向けた取組
- 前回の会合での託送収支状況を評価した上で、今回各社の経営効率化等の取組の状況を確認することが重要である。
- 各社には以下の情報提供を要請している。
- 託送収支状況
- 経営効率化の進捗状況
- 調達単価・工事費負担金
- 安定供給や接続・計量の状況
- 送電ロスの状況
評価結果を踏まえた対応
- 先進的な取組については、他の事業者への共有を促進する。
- 取組が不十分な事業者については、効率化に向けた具体的な取組内容を改めて確認することを検討する。
- 託送料金制度の在り方については、関連部局と連携しながら検討を進める。
各社の取組状況と評価
各社は、経営効率化に向けた様々な取組を進めており、その実施状況として以下が挙げられる。
代表的な取組例
- 北海道電力: ケーブル工事における区分発注(5~10%削減)
- 東北電力: 自動電圧調整器の修理・改造による調達費用削減(約1億円程度)
- 東京電力PG: 階段用運搬工具の開発により作業時間87%削減
- 中部電力: 送電線の巡視回数の見直し(約1.6億円削減)
各社の公表状況
各社は、効率化の取組状況をホームページにて公表している。公表内容には、経営効率化体制、他社事例の取組状況、新規取組などが含まれている。
| 事業者 | 公表日 | 公表内容 |
|---|
| 北海道電力 | 2018年11月30日 | 経営効率化体制と新規取組(調達費用削減など) |
| 東北電力 | 2018年11月30日 | 経営効率化体制、新規取組など |
| 東京電力PG | 2018年11月30日 | 経営効率化体制、新規取組(設備の合理化など) |
| 中部電力 | 2018年11月30日 | 経営効率化体制、新規取組(高耐食性ボルトの採用など) |
| 関西電力 | 2018年11月30日 | 経営効率化体制、新規取組など |
調達の状況(仕様の統一化)についての進捗
仕様統一化に向けた取り組み
地中ケーブルの進捗状況
- 154kV CVケーブルは今年度中に標準規格化される見通し。
- 地域特性に基づくオプションの統合に向けて検討が進行中。
現状の課題(昨年度時点)
- 154kVおよび275kVケーブルの仕様統一が進んでおらず、共同調達によるコスト削減の余地がある。
- 132kVおよび187kVケーブルは標準規格化されておらず、調達コスト低減に向けた検討余地が残されている。
- 人孔や管路材など付帯部分の仕様についても統一化の検討が必要である。
取り組み進捗状況(2018年11月時点)
- 全10社による取組: 154kV CVケーブル本体の標準規格案が完成し、全国で最終調整中。
- 複数社による取組: 他電力と共同調達の可能性について協議を開始(東北・東京)。
- 自社内における取組: 北海道では年間工事計画の早期策定を実施中。
鉄塔・架空送電線・地中ケーブルのコスト分析
鉄塔のコスト要因
| 対象設備 | 要因 |
|---|
| 鉄塔 | - 基礎種類工費: 軟弱地盤では高コストな基礎を用いる必要がありコスト増加。<br>- 特殊鉄塔比率: 特殊な鉄塔を採用する場合コストが高くなる。 |
架空送電線のコスト要因
| 対象設備 | 要因 |
|---|
| 架空送電線 | - 山地割合: 山地に敷設する際は輸送コストが上昇。<br>- 導体太さ: 太くなるほど材料量が増加し、コストが増加。 |
地中ケーブルのコスト要因
| 対象設備 | 要因 |
|---|
| 地中ケーブル | - 単心比率: CVケーブルの敷設が多いと工費が高くなる。 |
調達単価と重回帰分析
重回帰分析による確認が行われており、目的変数と複数の説明変数を用いて各要因の寄与を評価している。
工事費負担金に関する乖離状況
1. 乖離率の概要
接続検討時と契約時の比較において、工事費負担金の乖離率の情報は以下の通りである。
- 全体的な乖離率: ±10%の範囲内に収束しているが、場合によっては±50%以上の乖離率が発生する。
- 乖離率の計算式: 乖離率 = (契約時の工事負担金 − 接続検討時の工事費負担金) ÷ 接続検討時の工事費負担金
| 乖離率 | 件数 | 北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 沖縄 |
|---|
| 100%以上 | 上端 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 100%未満50%以上 | 下端 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
| 50%未満30%以上 | | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 |
| 30%未満10%以上 | | 2 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 |
| 10%未満0%以上 | | 2 | 14 | 3 | 4 | 0 | 2 | 4 | 2 | 5 | 0 |
| 0%以上10%未満 | | 0 | 7 | 4 | 5 | 3 | 1 | 1 | 2 | 0 | 0 |
| 10%以上30%未満 | | 2 | 1 | 5 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 30%以上50%未満 | | 2 | 2 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 50%以上 | | 0 | 5 | 6 | 1 | 0 | 2 | 3 | 0 | 2 | 0 |
| 合計 | | 9 | 39 | 21 | 13 | 4 | 8 | 12 | 3 | 15 | 0 |
2. 精算時の乖離額
一般的に精算時に金額が低くなる傾向が見られるが、±5千万円以上の乖離が発生するケースもある。
| 乖離額 (M=百万円) | 北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 沖縄 |
|---|
| 100M以上 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 100M未満50M以上 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 |
| 50M未満30M以上 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 30M未満10M以上 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 10M未満0M以上 | 2 | 4 | 5 | 2 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 |
| 0M以上10M未満 | 3 | 9 | 5 | 3 | 1 | 3 | 2 | 2 | 8 | 0 |
| 10M以上30M未満 | 3 | 9 | 5 | 3 | 2 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 |
| 30M以上50M未満 | 1 | 4 | 0 | 2 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 |
| 合計 | 9 | 39 | 21 | 13 | 4 | 8 | 12 | 3 | 15 | 0 |
3. 乖離の要因
費用の乖離が特に大きい案件の要因は主に以下の通りである。
4. まとめ
工事費負担金の乖離には様々な要因が影響していることが判明した。発電事業者の変更や送配電事業者との交渉が影響を及ぼす重要な要因であり、これらの情報を適切に把握し、今後の工事費用の管理に役立てる必要がある。
高経年化対策の設備更新計画
本資料では、高経年化対策における設備更新計画の見直し状況についてまとめている。変圧器およびコンクリート柱に関する情報が提供されており、地域ごとの計画値の変更やその要因が示されている。
1. 変圧器の設備更新計画見直し
| 地域 | 更新計画の主要変更点 |
|---|
| 北海道 | 2022年度計画値の提示。今後5年間の計画平均値が15台から17台に増加。 |
| 東北 | 今後5年間の計画平均値を20台に設定、長期的水準は25台に減少。 |
| 東京 | 今後10年間の計画値を年50台前後に平準化。 |
| 中部 | 更新物量の計画値は年5000本程度に減少。 |
| 関西 | 更新物量の目標値を75台に増加。 |
| 中国 | 今後5年間の更新物量は年17台に減少。 |
| 九州 | 今後5年間の計画平均値が1台増加、年18台に。 |
2. コンクリート柱の設備更新計画見直し
| 地域 | 更新計画の主要変更点 |
|---|
| 北海道 | 5年間の計画平均値が3500本から3100本に減少。 |
| 東北 | 長期的水準は25000本/年に設定。 |
| 東京 | 年25000本前後に計画値増加。 |
| 中部 | 更新物量の計画値が年5000本程度に減少。 |
| 関西 | 中長期的な計画値2.6万本/年を新たに提示。 |
| 中国 | 長期的水準が年1万本弱に下方修正。 |
今後の議論と方向性
本資料では、以下の内容について議論される予定である。
1. 経営効率化
- 各社の経営効率化の取組状況に注目し、進展の評価を行う。
2. 高経年化対策
- 中長期的視点での計画的かつ効率的な対策の進捗確認。
3. 安定供給、接続、計量
- 送配電事業者に求められる適切なサービスレベルの評価。
本資料は、一般送配電事業者の経営効率化や安定供給に向けた取組の状況を確認し、より効率的な電力供給体制の実現に向けた重要な議論の材料を提供するものである。引き続き、各社の取組内容や成果を評価し、必要な改善策を講じていくことが求められる。