適用対象と契約期間
「容量確保契約約款」は、本機関と容量提供事業者との契約に関する要件、契約金額、権利義務その他の条件を定めます。対象実需給年度は2024~2029年度で、契約相手は実需給期間に電気供給事業者である者、またはそう見込まれる者です(第1条)。契約は約定結果公表日から対象年度末日まで有効で、終了後も存続する権利義務の履行や守秘義務に必要な規定は引き続き効力を保ちます(第4条)。本機関は法令改正、制度改定、趣旨の明確化等に応じて約款を変更でき、変更後の約款が契約条件となります。約款とオークション募集要綱が矛盾・抵触する場合は約款が適用されます(第2条)。本文には2020年6月施行から2026年7月変更までの履歴があります。
オークション、契約金額、支払
本機関は必要に応じ、実需給年度の1年度前に調達オークションやリリースオークションを開催する場合があり、将来の需給ひっ迫等で安定供給の維持が困難となることが明らかな場合などには特別オークションを開催することがあります(第6条)。
契約電源ごとの契約金額は、原則として「契約単価×契約容量」から所定の実需給期間前の経済的ペナルティを差し引いて算定します。契約単価はメイン・調達オークションの電源ごとの約定価格を落札容量で加重平均し、円未満を切り捨てます。部分リリース容量に対応する単価にはメインオークションの単価を使います(第7条)。通常は年間額を12分割し、各月の円未満を切り捨て、3月分で年間額との差を調整します。2025年度以降、安定電源で主燃料が石炭のうち、設計効率がHHV・発電端42%以上と確認できない非効率石炭火力電源は、契約金額から20%相当額を控除した額を月額算定の基礎とします。ユニット混在時には設備容量による加重平均等の補正があります(第7条)。
本機関は実需給年度の9月から翌年8月まで、各月末日(金融機関休業日は前営業日)までに、月額から実需給期間中のペナルティ等を差し引いた額が正なら支払います。負の場合は事業者に請求し、入金期限も同じ日です(第8条)。振込手数料は事業者負担で、本機関の支払額は手数料控除後です(第21条)。月次の支払・請求額と根拠の通知に対する異議は、受領から5営業日以内に理由を付して申し立てられます。異議手続中でも、所定の期日前までに解消しなければ通知に基づく金員移動が行われます。期限までに請求額が入金されない場合、翌月支払額の減額や事業者名・未入金の公表等が行われることがあります(第22条)。
計画、差替、市場退出
安定電源提供者と変動電源(単独)提供者は、所定期限までに容量停止計画を提出し、変更時は速やかに更新計画を提出します。対象作業には設備維持・運営に必要な作業、一定の流通設備作業、自治体との協定履行に伴う停止等が含まれます。2年度前に提出する計画は定期補修・中間補修に限られます。計画停止として扱うのは、2年度前または前月末日までに提出した計画期間、または前週火曜日17時までに提出され需給バランス評価で平常時とされた期間などです。それ以外の停止や属地一般送配電事業者の承認済み作業停止計画と整合しない期間は計画外停止です(第10条)。容量提供事業者は業務マニュアルに従って電源等差替を行えます(第11条)。
契約電源の休廃止、必要書類の未提出・不備・虚偽、給電申合書や余力活用契約の未締結・解約、発動指令電源のリスト・実効性テスト結果の未提出または未達、FIT・FIP電源であることの判明、リリース、長期脱炭素電源オークション落札後の制度適用等、列挙された場合は全部または一部が市場退出となります(第12条)。一部退出では契約容量を減らし、全部退出では契約を終了して別途解約合意書を締結します。退出後の契約容量が1,000kW未満となる場合は全量退出です。
市場退出ペナルティは、追加オークション実施判断に必要な契約変更・解約の確認期限日までの退出なら退出容量×契約単価×5%、翌日以降なら同10%で、円未満を切り捨てます。期限日までの退出について、調達オークションが開催されない場合、または当該エリアの約定価格がメイン価格以下の場合は全額返金します。調達価格がメイン価格の105%未満の場合は規定式で返金額を算定します。リリースオークションによる退出容量および長期脱炭素電源オークションに関する所定の退出容量には、このペナルティを科しません(第13条)。2025年1月30日附則の返金規定は、同附則の施行日以降に退出した、対象実需給年度2026年度以降の契約に適用されます。調達オークションが開催され、供給信頼度基準が満たされなかったエリアでは、所定の価格条件に該当しても返金しません。
実需給期間前の要件、審査、減額
安定電源・変動電源(変動電源アグリゲートを除く)は、実需給年度の2年度前に容量停止計画の調整に応じます。調整機能を持つ安定電源は、アセスメント対象容量以上の上げ・下げ両方の調整力を供出する余力活用契約を属地一般送配電事業者と締結し、運転継続時間がある場合は応札時登録時間以上とします。発動指令電源は同じく2年度前に、メインオークション応札容量(調整係数反映前)以上の実効性テスト結果等を提出します。所定条件を満たす同年度の他の発動実績等は、テスト結果に準ずるものとして扱われます(第14条)。
本機関は計画調整、余力活用契約の締結、発動指令電源の結果提出等を審査します。発動指令電源の未達成量は、コマごとの未達成量合計を3で除して算定します。審査結果への異議は通知受領から5営業日以内に理由を付して申し立てられ、本機関は再審査して結果を通知します(第15条)。
調整不調電源の実需給期間前ペナルティは、追加設備量利用時に契約単価×契約容量×0.3%/日×調整不調日数、供給信頼度確保に影響する場合は同0.6%/日を基礎に算定し、契約金額を減額します。事業者起因の停止期間追加・変更が供給信頼度に影響する場合、算定額の1.5倍となることがあります。余力活用契約を締結しない、または解約した調整機能付き安定電源は全量退出・退出ペナルティの対象となりますが、本機関がやむを得ない事由を認め調整機能を「無」に変更する場合、ペナルティを科さないことがあります。発動指令電源は結果未提出等で全量退出、未達で相当容量の一部退出となり、いずれも市場退出ペナルティの対象です(第16条)。
実需給期間中の要件、評価、ペナルティ
安定電源・変動電源はアセスメント対象容量以上の供給力を提供できる状態を維持します。所定の容量停止計画がある場合、停止またはそれを下回る出力は年間8,640コマ(180日相当)まで認められます。変動電源は自然影響による出力低下・停止について容量停止計画の提出が不要です(第17条)。
安定電源は、容量停止計画がない時間帯に小売電気事業者等が使わない発電余力を卸電力取引所等へ売り入札します。相対契約の計画変更締切後に入札可能市場がない場合、事業者の責によらない燃料・充電制約(低予備率対象コマを除く)、非効率石炭火力の所定の運転計画、平常時のバランス停止からの起動が不経済な場合、提供可能量が対象容量未満の場合などは入札量を減らせます。低予備率対象コマでは、属地一般送配電事業者の供給指示に応じ、ゲートクローズ以降の発電余力を提供します。ただし給電申合書等がない場合、専用線オンライン接続で直接制御可能な場合、本機関が合理的と認めるやむを得ない理由がある場合は例外です(第17条)。
2025年度以降の非効率石炭火力電源は、年間設備利用率を50%以下とし、対象容量以上の供給力を提供します。発動指令電源は指令に適切に対応し、創出した供給力を相対契約による供給または市場への売り入札で提供します。本文記載の指令概要は年間12回(1日1回まで)、応動の3時間以上前の指令、土日祝を除く9~20時の3時間継続です(第17条)。
本機関は発電計画・実績等を基に各要件を評価します。安定電源等の停止コマ相当数は計画停止コマ相当数と計画外停止コマ相当数の5倍の合計で評価し、発動指令電源はコマごとの達成率等から未達成量を算定します(第18条)。評価結果への異議は通知受領から7営業日以内に理由を付して申し立てられ、本機関は再評価します。
実需給期間中のペナルティは月ごとに算定し、月次契約金額に反映します。安定電源・変動電源単独は年間停止コマ相当数が8,640を超える場合、超過分に応じてペナルティが生じます。変動電源アグリゲートも未達成コマ相当数に基づき同様に算定します。低予備率対象コマでの余力未入札や供給指示への不対応は未達成量とペナルティレートに基づきます。非効率石炭火力電源が年間設備利用率50%を超えた場合、原則として契約金額の20%をペナルティとし、最後に交付する月の月額から減じます。発動指令電源は未達成量に応じ、契約金額の110%を基礎にした式で算定します(第19条)。年間上限は契約金額の110%、月間上限は18.3%ですが、発動指令電源および非効率石炭火力の稼働抑制ペナルティは月間上限の対象外です。契約金額とペナルティは消費税相当額の課税対象ですが、年間上限のうち契約金額を超える部分は不課税です(第20条)。
経過措置、附則、その他
提示された2020年6月30日(2025年1月30日改定)附則第1~2条は2024年度契約に適用され、経過措置対象の安定電源・変動電源(単独)について第7条の契約金額算定を読み替えます。提示部分には控除率等の詳細や後続条文がないため、その内容は補われていません。
2021年7月1日附則は2025年度以降の契約のうち、安定電源または変動電源(単独)で、2010年度末までに建設された電源、または各エリアの応札価格が「エリア約定価格×入札内容に応じた控除額係数」以下の電源等を対象とします。2023年8月2日附則は2027年度以降を対象とします。2027年度は2026年7月30日-2027附則が2021年・2023年附則に優先し、2028・2029年度は2026年7月30日-2028・2029附則が両附則に優先します。
経過措置控除額は原則としてメイン・調達オークションごとに「個々の電源の約定価格×契約容量×(1-経過措置控除係数)」で算定し、円未満切捨てです。係数は経過年数に応じた控除額係数と入札内容控除額係数の積です。控除率は2025~2029年度に順に7.5%、6.0%、4.5%、3.0%、1.5%、入札内容係数は82.0%、85.6%、89.2%、92.8%、96.4%です。対象外電源はそれぞれ0%、100%です。2026年度以降(2025年度調達オークションの契約電源を含む)に約定価格が指標価格の50%以下なら控除率0%、入札内容係数100%とし、所定の上限調整があります。経過年数・入札内容控除は2029年度を最後に廃止されます。対象ユニットと対象外ユニットの混在、参加資格通知時点での係数確定、月額算定、非効率石炭火力の20%控除等にも所定の補正・算定ルールがあります。
附則の実需給期間前の調整不調減額は、経過措置係数や経過措置控除額を反映する式に読み替えられる場合があります。追加設備量利用分と供給信頼度影響分を比率で補正し、調整不調日数を「(1-出力可能容量÷応札単位のアセスメント対象容量)×1か月の日数」とする方式が示されています。変動電源アグリゲートは対象外です。2027年度以降は所定の経済的ペナルティを契約金額の減額に読み替える規定があります。2028・2029年度附則には、本機関が合理的事由等により計画調整できなかった場合などに対象外とする場合、1.5倍算定、対象年度前の算定と初月への反映、契約容量の上限等が示されています。
2025年度以降のリリースオークション交付額・請求額は、メイン単価からリリース価格に経過年数控除額係数と入札内容控除額係数を乗じた額を差し引き、リリース容量を乗じて算定します。正値は交付、負値は請求し、円未満切捨てです。交付額は12分割し3月分で調整して月額契約金額と合わせて交付し、請求額は契約変更後、対象期間の前年度末までに請求します。2024年度対象には控除率42%を用いる別算式があります。
不可抗力による供給力不提供について、事業者は遅滞なく本機関へ連絡します。本機関は状況を考慮し例外的にペナルティを適用しないことがあります。燃料費等の上昇など経済的理由は不可抗力に含まれず、所定の書類・契約要件違反等に伴う退出ペナルティには特則を適用しません。事業者は影響を最小化し、影響除去後ただちに通知します(第23条)。重大な違反行為には容量オークション参入ペナルティがあり得ます(第24条)。
オークション、退出、差替、実効性テスト未達、契約金額変更等に伴う電源等の変更は、業務マニュアルに従い、原則として容量市場システムで手続し、本機関の承認で成立します(第25条)。契約上の地位等の譲渡・承継には事前同意が必要で、承継後もリクワイアメント達成状況を引き継ぎます(第26条)。倒産・支払不能等の所定事由や市場支配力行使等の場合、契約解除が可能で、解除時は全量退出と退出ペナルティの対象となり、交付済み契約金額を上限とする契約解除ペナルティが科される場合があります(第27条)。第28~34条は本機関の免責、秘密情報・個人情報、反社会的勢力排除、日本法、東京地方裁判所の専属管轄、誠実協議等を定めます。
ベースラインはDRについて、実施日当日を含まない直近5日から平均需要量の多い4日(High 4 of 5)の30分平均を基本に算定し、所定の日を除外して必要に応じ過去30日以内に遡ります。データ不足時の補完、実施5~2時間前の需要差調整、負値を0とする補正があり、一般送配電事業者の供給力提供依頼と重なる場合は当日調整なしで算定します。発電(逆潮流)のベースラインは0ですが、安定電源として契約され発動指令電源の1リソースにも登録された電源は、安定電源のアセスメント対象容量相当の計量値を用います。用語の定義には、属地、調整不調電源、アセスメント対象容量、コマ、経過措置・控除率、休日・平日・営業日、昼間・夜間、金融機関休業日等が含まれます。