第36回需給調整市場検討小委員会の概要
本資料は、2023年3月2日に開催された第36回需給調整市場検討小委員会について詳述するものであり、主なテーマはアセスメント・ペナルティに関連する課題とその対応の方向性である。
アセスメント・ペナルティに関する意見と課題
市場参加インセンティブの現状
- 調整力提供者からの意見によれば、需給調整市場には最大強度1.5倍の金銭的ペナルティが存在し、現行の価格規律では市場への参加インセンティブが低いことが指摘されている。
- 固定費回収済みの電源に対しては、マージ上限が**10%**である。
インセンティブ向上の考え方
- 市場参加インセンティブを高める手段として、「金銭的ペナルティの緩和」や「価格規律の見直し」が考慮されている。
- 今回は社会コストの増加を抑制しつつ、「金銭的ペナルティの緩和」についての検討が進められる。
アセスメントⅡに関する課題
- 2021年度からの取引開始以降、アセスメントⅡに関連する事象や継続的に検討が必要な課題が明らかになっている。
- アセスメントⅡ不適合が発生し、既存の調整電源の応動実績が許容範囲を逸脱する事例も見受けられ、指令に関する評価方法の明確化が求められている。
検討課題及び方向性
検討課題一覧
| 課題 | これまでの整理事項 | 小委における論点 | 小委での議論における方向性 |
|---|
| 4-1 | 2023年度に向けた必要量の検討および精査 | 必要量の精査 | 設備量と需要の101%の差分から調達 |
| 4-2 | 調達不足解消に向けた施策 | 需給変動リスクを考慮した依頼量分析 | 必要なΔKWhが調達できない場合は電源の追加起動を認める |
複合商品の課題
| 課題 | これまでの整理事項 | 小委における論点 | 小委での議論における方向性 |
|---|
| 6-1 | アセスメントⅡ違反の要因分析 | 不明な場合の措置 | 判定基準の整理 |
| 6-2 | 一次のみのアセスメント方法 | 複合商品の分析 | 審査方法の明確化 |
| 6-3 | 2024年度取引開始に向けた必要量の検討 | 残余需要元データの確認 | 必要量の精査 |
金銭的ペナルティの影響
現行の金銭的ペナルティ
- アセスメントⅠおよびⅡに対して、最大1.5倍のペナルティが規定されている。
- ペナルティは、調整力提供者が需給調整市場への供出対価を受けられない場合に発生する仕組みである。
ペナルティ強度の影響
- 現行のペナルティ強度1.5倍については参入障壁を考慮し、適宜見直す必要がある。
- 参入障壁が高まると市場参加インセンティブが低下し、逆にペナルティが低すぎれば ΔkWの確保や応動インセンティブが失われる可能性がある。
金銭的ペナルティ緩和の方向性
検討案
| 案 | 説明 | 考え方 | 評価 |
|---|
| 1 | ペナルティⅠ・Ⅱの最大強度を1.0倍に変更 | 参加インセンティブを付与 | 一方で一般送配電事業者に差損の可能性 |
| 2 | ペナルティⅠ・Ⅱを一体化し緩和 | ΔkWの確保を促進 | 差損の発生を抑えるための設定が難しい |
| 3 | ペナルティⅡのみを1.0倍とする | 参加インセンティブを強化 | 強度に差を設けるために合理的 |
複合商品のアセスメントIIについて
1. アセスメントIIの目的
アセスメントIIは、リリースの応動実績が一般送配電事業者の指令に従い商品要件を満たしているか評価する。
2. 複合商品の評価方法
- 案1: 応動実績を単一商品毎に評価
- 案2: 複数の指令信号を一体指令として扱い評価
3. 各案のメリット・デメリット
| 案 | メリット | デメリット |
|---|
| 案1 | 精密な評価が可能 | 事務コスト増加の可能性 |
| 案2 | 評価数が少なくて容易 | 複合指令の合成が必要 |
4. 方針の提案
複合商品のアセスメントⅡについては、案2を採用し、複数の指令信号に対する追従性を確認することを提案する。
アセスメントIIの実施方法
1. 実施方法の概要
| 項目 | 実施内容 |
|---|
| 評価対象 | 実出力需要実績と基準差 |
| 評価間隔 | 最も短い単一商品の評価間隔に準じる |
| 許容範囲 | 一体指令への単一商品の許容範囲を足し合わせる |
| 評価方法 | 30分コマ単位で評価し、滞在率が90%以上 |
2. 計測時の基準の考え方
| 指令方法 | 基準の考え方 |
|---|
| 実出力値 | 発電計画 |
| 出力変化量 | 基準値 |
3. 応動評価のイメージ
例として発電機等においては、出力値が許容範囲内に90%以上滞在するよう評価される。
課題と今後の方針
現在の課題
- アセスメントIIの不適合原因の特定
- 複合商品における許容範囲の逸脱の原因
- 落札商品以外の指令を受けた際の評価方法の明確化
今後の対応
- 不適合要因の特定を進める
- 整理した許容範囲を基に適正なアセスメントIIを実施
- 一般送配電事業者と連携し、リソースの応動状況についての検討を行う。
参考資料
- 第25回需給調査小委員会資料 (2021年9月17日)
- 日本の電力広域的運営推進機関OCCTO関連資料
重要なリンク
まとめ
本資料は、需給調整市場におけるアセスメント・ペナルティの課題と対応の方向性をまとめたものである。金銭的ペナルティの設定や緩和についての議論が必要であり、調整力提供者と一般送配電事業者の収支構造に配慮しつつ、安定供給の確保も視野に入れた検討が求められる。