CAPEXにおける統計手法に関する報告
資料の目的・背景
本資料は、CAPEX(資本的支出)における統計手法を用いた10社の比較に関する報告を目的としている。この内容は第16回料金制度専門委員会において議論されることとなっている。
主要な検討内容・論点
本会合での主な議論事項は以下のとおりである。
-
レベニューキャップ制度の導入(2023年4月から)
- 収入見通しの算定基礎となる費用の審査・査定において、客観性と透明性を確保する。
- 一般送配電事業者の実情を反映し、コスト効率化を促進するため、統計的な査定方法をいくつかの費目に適用する。
-
OPEXおよびCAPEXの査定手法
- OPEX(運営費用)の統計的査定手法は既に指針および審査要領に明記されているため、CAPEXの手法に特化して議論を行う。
CAPEXの費用統計的手法
統計手法は以下のように分類される。
| 系統区分 | 品目 |
|---|
| ローカル系統 | 送電設備、鉄塔、架空送電線、地中ケーブル、変電設備、変圧器、遮断器 |
| 配電系統 | 需要電源対応、高経年化対策(コン柱、高圧線、低圧線、柱上変圧器、地中ケーブル) |
各投資費用は「物品単価」と「工事単価」に区別し、統計手法を用いて推計単価を算出する。
統計的査定方法の選定
-
重回帰分析方式
- 基本的な査定方法として採用。
- 決定係数が一定水準に達しない場合、中央値方式に切り替える。
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中央値方式
- グルーピングの設定は合理的かつ説明可能であれば、最小限の範囲で認められる。
過去の議論・決定事項
過去の会合における議論に基づき以下の事項が整理されている。
- 決定係数が低い費用については中央値を用いた検証を行う。
- 引き続き、説明変数の精査を行い、高い決定係数の組み合わせを探す。
実施計画・今後の予定
第1規制期間に向けた取り組み
- サンプルデータの追加
- 各社間の資産登録区分の統一
- 説明変数の追加・最適な組合せの検討
第2規制期間に向けた取り組み
- 物品費/工事費の振分け
- データ採録の開始及び確認・分析
- 説明変数や採録データの見直し
結論
CAPEXに関連する統計的査定手法の導入とその議論は、電力およびガス事業のコスト透明性向上への重要なステップである。本資料をもとに、更なる詳細な議論が期待される。
検証内容の概要
本資料は、地中ケーブルおよび配電系統における工事費の説明変数や要因の検証結果をまとめたものである。
地中ケーブル(物品費)の説明変数
地中ケーブルの物品費は以下の3つの主要要因から成り立っている。
中間検証時の説明変数および決定係数は以下のとおりである。
- 説明変数: ケーブルサイズ、回線延長、工事巨長、電圧、ケーブル種別、接続箱数
- 決定係数: 0.76
今回の見直し案では以下の説明変数が提案され、決定係数は0.76が確認された。
- 説明変数: ケーブルサイズ、回線延長の逆数、電圧、ケーブル種別、輸送距離
配電系統における工事目的の検証品目
需要・電源対応に係る物品費の検証
中間取りまとめ時点では以下の要因が説明変数に設定され、決定係数は0.83と高い相関が確認された。
- 可住地面積あたりの需要
- 平均雷日数
- 単位可住地面積当たりの電線延長
- 単位可住地面積当たりの柱上変圧器台数
- 平均柱長
- 高圧線平均太さ
- 薄い柱上変圧器平均容量
今回の検証内容で国は新たに以下の説明変数を提案し、決定係数は0.94と更に高い相関が確認された。
- 需要申込1か所あたりの建設数
- 地中線工事比率
- 平均柱長
- 平均耐荷重
- 高圧架線柱比率
- 可住地面積あたりの柱上変圧器台数
定性的要因の検証結果
| 要因 | 説明変数 | 定性的説明 |
|---|
| 需要要因 | 需要申込数 | 需要密度が高いほど工事費は高くなる |
| 自然環境 | 平均雷日数 | 雷被害が多いほど工事費は高くなる |
| 地理的環境 | 地中線工事比率 | 発生するコストが高くなる |
| 外生的要因 | 平均柱長 | 支持物間の距離が長くなるほど工事費は高くなる |
まとめ
本資料における説明変数や検証内容は、配電系統や地中ケーブルの物品費に関連する要因について詳細に述べられている。特に、決定係数の高さは、各説明変数が物品費に及ぼす影響が大きいことを示している。また、定性的要因の検証結果から、具体的な物品費の上昇要因が明確に解析されている。
地中ケーブルおよび変圧器工事費のデータ分布
地中ケーブル工事費のデータ分布
グルーピングなし
- 中央値: 71.6百万円
- 件数: 不明(資料未記載)
グルーピングあり
- 短尺と短尺以外に分けた中央値
- 短尺以外: 42.0百万円
- 短尺: 164.6百万円
地域別データ分布
| 北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 沖縄 | 全体 |
|---|
| 短尺以外 | 70.0% (7) | 70.6% (48) | 47.6% (60) | 41.7% (43) | 90.9% (20) | 62.3% (149) | 75.9% (22) | 100.0% (3) | 78.9% (56) | 93.3% (14) | 61.5% (422) |
| 短尺 | 30.0% (3) | 29.4% (20) | 52.4% (66) | 58.3% (60) | 9.1% (2) | 37.7% (90) | 24.1% (7) | 24.1% (7) | 21.1% (15) | 6.7% (1) | 38.5% (264) |
変圧器工事費のデータ分布
グルーピング理由
- 輸送方法は発注時の指定ではなく、変電所とメーカーとの位置関係に依存している。
- 北海道、沖縄、離島では基本的に海上輸送が必要であり、海上輸送は長距離輸送となるため、輸送日数やコストが高くなる。
変圧器工事費のデータ分布
グルーピングなし
- 中央値: 7.9百万円
- 件数: 不明(資料未記載)
グルーピングあり
地域別輸送方法のデータ分布
| 輸送方法 | 北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 沖縄 | 全体 |
|---|
| 陸上輸送 | 98.6% (70) | 100.0% (231) | 98.8% (81) | 98.4% (61) | 99.3% (145) | 98.0% (48) | 87.5% (42) | 99.0% (102) | 100.0% (13) | 91.0% (780) | |
| 海上輸送 | 100.0% (52) | 1.4% (1) | 1.2% (1) | 1.6% (1) | 0.7% (1) | 2.0% (6) | 12.5% (6) | 1.0% (1) | 1.0% (1) | 0.0% (0) | 9.0% (77) |
まとめ
- 地中ケーブルおよび変圧器工事費のデータは、地域や輸送方法により大きな差があることが示されている。
- 特に、短尺のケーブルや海上輸送に関しては、高い工事費が見られる。