資料の目的・背景
この資料は、経済産業省が提出した「需給調整市場の監視及び価格規律のあり方について」の内容であり、2021年度から始まる需給調整市場に関連する調整力の価格規律や市場の監視についての検討が行われるものである。
主要な検討内容・論点
需給調整市場の概要
- 2021年度から一般送配電事業者が調整力を調達・運用するための需給調整市場が開始される。
- 旧一電9社間での競争が期待されているが、調整力の価格について自由に設定できるかどうかが検討される必要がある。
整理すべき論点
-
調整力 kWh市場
- 予約電源以外の事前的措置の対象者
- 固定費回収に関する考え方
- マージンの取り扱い
-
調整力 ΔkW市場
- 事前的措置の対象者
- 逆失利益の設定方法
- 固定費回収に関する考え方
-
その他
決定事項・制度変更
- 2021年度から調整力の広域調達が順次開始される予定。
- 調整力の運用は、各エリアごとのメリットオーダーに基づいて行われる。
重要な数値・データ
調整力市場に関するスケジュール
| 論点 | 予定スケジュール |
|---|
| 調整力 kWh市場 | 2020年9月に審議済み |
| 調整力 ΔkW市場 | 2020年12月以降の議論 |
地理的範囲の検討
- 調整力kWh市場では、地域間連系線の分断実績を基に市場の外縁を検討する必要がある。
課題・リスク
- 調整力のエリア内運用において新たに市場支配力を持つ事業者が現れる可能性。
- 市場支配力の行使を防ぐための措置が必要であると考えられている。
その他重要事項
- 国外の事例(PJM、CAISO、ERCOT)を参考にしつつ、日本の市場支配力の基準設定についての検討が求められている。
- DSR(需給調整)について、入札価格における根拠資料の提出を求めることも検討されている。
固定費回収後の調整力ΔkW市場におけるマージン上乗せについて
マージンの上乗せに関する案
- 当年度分の固定費回収が済んだ電源等について、調整力ΔkW市場の入札価格にマージンを上乗せすることが提案されている。
- マージンの金額は、電源等の限界費用の10%相当分程度と設定し、逸失利益を含む。
調整力市場の特性
-
調整力kWh市場:
-
調整力ΔkW市場:
- 上げ余力を取引しているが、調整力の稼働量が事前に見込めないため、予約電源の想定稼働率に関する仮定が必要である。
- 2019年度の電源Ⅰの平均稼働率は約**5%**である。
固定費回収後のインセンティブ確保
- 固定費回収後にも調整力ΔkW市場に参加するインセンティブを確保するため、マージンの計算式は以下のように提案されている。
[
\text{マージン} = \text{限界費用(円/kWh)} \times 10% \times \Delta kW約定量 \times \text{電源Ⅰの平均稼働率(5%)} \times \text{約定ブロック(3時間)}
]
- 限界費用が市場価格以下の場合、マージンには逸失利益を含め、マージンと逸失利益のいずれか高い方を上限として扱う。
市場の関連性と事前的規律について
調整力市場の独立性
- 調整力ΔkW市場と調整力kWh市場は、本来競争が生じるため独立した市場とみなされるが、今件では関連付けられている。
事前的規律の整合性
- 調整力ΔkW市場の事前的規律の適用対象は、調整力kWh市場の事前的規律の適用対象と整合的であることが望ましいとされている。
- 具体的には、調整力ΔkW市場の適用対象を調整力kWh市場の適用対象と同一とすることが提案されている。
今後の検討の進め方
次回の議題
次回の検討事項は以下の通りである。
- 調整力kWh市場及び調整力ΔkW市場における事前的措置の対象範囲
- 事前的措置の対象とする事業者の市場シェアの閾値設定
- 調整力kWh市場における予約電源以外の事前的措置
- 事後監視における「問題となる行為」の整理と明確化
- 中長期的な検討事項
以上の内容を踏まえ、次回の議論を進めることが期待される。