卸電力市場における不公正取引に関する検討
資料の目的・背景
本資料は、経済産業省が主催する第1回制度設計専門会合において、卸電力市場における不公正取引防止策の検討を目的とするものである。資料は、電力取引監視等委員会から提出されており、電力取引の監視と適正な競争環境の整備に関する各種論点が取り上げられている。
主要な検討内容・論点
卸電力市場における不公正取引をテーマに、以下の主要論点が挙げられる。
1. 現行の適正な電力取引についての指針に対する問題点
- 現行の適取ガイドラインにおいて問題視される行為の整理
- 日本卸電力取引所における禁止取引
- 業務規程に記載すべき事項
2. 諸外国における最近の動向
- EUにおける不公正取引に関する規制
- 他国の卸電力市場における事例研究(例: Nord Pool、FERC)
3. 適取ガイドラインの改正に向けた考え方
- 卸電力市場における不公正取引の定義とその改善策
- インサイダー情報の扱いに関する指針
現行の適取ガイドラインの整理
現行の適取ガイドラインでは、以下の問題行為が示されている。
| 分野 | 問題となる行為 | 望ましい行為 |
|---|
| 小売分野 | 新規参入者への対抗、料金設定の不当、不当な違約金徴収など | 適切な標準メニューの設定と公表 |
| 託送分野 | 情報の目的外使用、差別的な扱い | 合理的コストに基づく料金設定、系統情報の開示など |
| 卸売分野 | 不当な料金設定、契約解除の不当変更、参入制限 | 全国融通の実施、積極的な取引所利用 |
| 他のエネルギーとの競合分野 | 自家発電設備の導入阻止、不当な利益の提供 | 技術基準の遵守、運用基準の公表 |
日本卸電力取引所における禁止されている取引
日本卸電力取引所では、以下の取引が禁止されている:
- 実物取引目的でない取引
- 仮装取引
- 馴合取引
- 現実取引
- 相場操縦に関する情報の流布
諸外国における不公正取引規制
EUでは、2011年にREMIT(エネルギー取引市場の健全性と透明性に関する規則)が導入された。主な内容は以下の通りである。
- インサイダー取引の禁止: インサイダー情報を用いた取引を禁ずる。
- インサイダー情報の公表義務: 重要情報は市場参加者に公表することが求められる。
- 相場操縦の禁止: 不正な取引を禁止する規定を設定。
- 市場監視: 各国規制当局が市場を監視し、必要なデータを収集。
FERCにおける不公正取引の考え方
米国の連邦エネルギー規制委員会(FERC)は、エネルギー政策法により相場操縱等を規制する権限を持つ。FERCにおける不公正取引の禁止行為には以下が含まれる:
- 詐欺を行うために策略、計画または技巧を用いること。
- 重要事項について不実表示をすること。
- 他の事業者に対して詐欺または欺瞞の行為を行うこと。
インサイダー取引の事例
ノルウェーでは、Lyse Produkjsjo ASが水力発電所の運転再開に関するインサイダー情報を公開せずに取引を行い、規律委員会から警告を受けた事例がある。日本においても同様の取引ルールが求められている。
今後の制度改正に向けた考え方
今後、適取ガイドラインの改正に際して以下の点が求められている:
- 不公正取引の定義の明確化: 特にインサイダー取引、相場操縱、市場支配力の行使に関する明示が必要。
- 情報公開のルール整備: インサイダー情報の公開範囲、主体、時期の規定が求められる。
スケジュール・今後の予定
次のステップとして、以下が計画されている。
- 現行の適取ガイドラインの見直し
- 国際的な動向の調査および適用の検討
結論
本資料は、卸電力市場における不公正取引の防止策についての現状と課題を提示した。特にインサイダー取引や相場操縱に関する規制の整備と、それに基づく制度改正が今後の重要な課題となる。