調整力の細分化及び広域調達に関する作業会の報告
資料の目的と背景
本資料は、電力広域的運営推進機構(OCCTO)が主催する第25回「調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会」において、一次から三次調整力の必要量の考え方を検討したものである。主に、需給調整市場における調整力の確保や調達手法に関する議論が行われた。
本日の議論の対象
- 調整力の必要量算定に関する考え方
- 一次から三次調整力の必要量について、特に三次調整力に焦点を当てた議論が行われる
- 調整市場開設に向けた具体的なスケジュールの提示
調整力の必要量算定についての整理
| 課題 | これまでの整理事項 | 小委における論点 | 小委での議論における方向性 |
|---|
| 需給バランス維持に必要となる調整力の必要量 | 三次調整力の基本的な算定式(再エネ予測誤差の3σ相値など) | 一次・二次・三次調整力ごとの調達量の考え方 | 本年度中に要検討 |
調整力に関する見通しと設計
- 需給調整市場は2021年4月より開設され、三次調整力の調達が開始された。
- 将来的には、一次調整力から三次①までの調達が段階的に開始される予定であり、商品ごとの必要量を整理する必要がある。
商品導入スケジュール
| 年度 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 |
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| 三次調整力②RR-FIT | | | | | | | | | | |
| 三次調整力①RR | | | | | | | | | | |
| 二次調整力①S-FRR | | | | | | | | | | |
| 一次調整力FCR | | | | | | | | | | |
現在の運用における調整力の活用
平常時の調整力活用
- 現在、一般送配電事業者は需要予測と実需給の差を調整力を用いて解消している。
- 具体的には、需給調整市場で調達されるべき調整力は以下のように分類される:
- 予測誤差(需要や再エネ予測誤差)
- 時間内変動(秒単位や分単位の変動)
- 電源脱落(事故等による供給停止)
事故時の調整力活用
- 電源脱落時には、周波数制御を行う目的で速やかな応動が求められる。
- 各段階で調整力に求められる能力は異なり、大規模な電源脱落時には細分化した調整力の組合せが必要である。
調整力必要量算定の考え方
調整力の必要量は、平常時と事故時に分けて算定される。
平常時の必要量算定
- 平常時の調整力活用において、一次から三次①までの調整が必要な事象を特定する。
事故時の必要量算定
- 電源脱落等、事故発生時の調整条件を考慮して必要量を見積もる。
各電力エリアにおける一次・二次試算結果
本資料では、さまざまな電力エリアにおける一次及び二次の試算結果が示されている。以下にエリアごとの試算結果をまとめる。
1. 一次試算結果
| エリア | 4月 (MW比) | 8月 (MW比) | 10月 (MW比) | 1月 (MW比) |
|---|
| 中国電力 | 7,781 | 10,933 | 7,821 | 10,075 |
| 四国電力 | 3,325 | 5,266 | 3,713 | 4,483 |
| 九州電力 | 10,920 | 16,243 | 11,897 | 15,645 |
| 沖縄電力 | 1,009 | 1,534 | 1,351 | 1,053 |
| 北海道電力 | 4,080 | 4,413 | 3,925 | 5,172 |
| 東北電力 | 10,418 | 14,183 | 10,295 | 13,614 |
| 東京電力PG | 42,054 | 57,370 | 48,661 | 54,344 |
| 中部電力 | 17,743 | 26,157 | 19,117 | 23,299 |
| 北陸電力 | 4,040 | 5,235 | 3,980 | 5,400 |
| 関西電力 | 18,210 | 28,088 | 19,330 | 24,304 |
2. 二次試算結果
各エリアにおける二次試算結果は以下の通りである。
| エリア | 4月 (MW比) | 8月 (MW比) | 10月 (MW比) | 1月 (MW比) |
|---|
| 中国電力 | 7,781 | 10,933 | 7,821 | 10,075 |
| 四国電力 | 3,325 | 5,266 | 3,713 | 4,483 |
| 九州電力 | 10,920 | 16,243 | 11,897 | 15,645 |
| 沖縄電力 | 1,009 | 1,534 | 1,351 | 1,053 |
重要なポイント
- 各月における電源脱落は、エリアごとに異なる。
- 該当するMW比は、電源が脱落した際の変動を示す。
- 一次及び二次試算結果は、エリア間で差が見受けられる。
高需要時の上げ調整力必要量の算定結果(2018年度データ)
概要
- 上げ調整力の必要量は、残余需要が高い時間帯におけるものであり、エリアごとに異なる結果が出ている。
- 多くのエリアにおいて、H3需要の7%を上回る必要量が算定されている。
算定結果の詳細
| ケース | 対象日 | 対象区 | 北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 9エリア単純平均 |
|---|
| ケース1 | 365日 | ピーク1の95%以上 | 11.9 | 8.9 | 7.1 | 9.1 | 8.1 | 8.2 | 11.4 | 13.4 | 10.1 | 10.0 |
| ケース2 | 365日 | ピーク2コマ | 11.2 | 7.4 | 5.6 | 7.4 | 6.6 | 9.6 | 12.0 | 7.3 | 8.9 | 8.9 |
| ケース3 | 各月の残余需要が高い3日 | ピーク1の95%以上 | 12.4 | 8.3 | 5.9 | 8.8 | 8.5 | 7.1 | 13.2 | 13.8 | 8.5 | 9.6 |
| ケース4 | 各月の残余需要が高い3日 | ピーク1 2コマ | 10.2 | 6.6 | 5.5 | 6.4 | 5.9 | 5.3 | 8.7 | 10.3 | 5.7 | 7.2 |
| 参考 | 365日 | 全時間帯 | 12.9 | 9.9 | 8.3 | 9.6 | 8.6 | 8.5 | 12.9 | 15.1 | 13.9 | 11.2 |
上げ調整力の内訳(ケース4)
| 内訳 | 北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 9エリア単純平均 |
|---|
| 残余需要予測誤差1,2 | 6.0 | 3.0 | 3.0 | 3.2 | 3.2 | 2.6 | 4.8 | 7.7 | 3.2 | 4.1 |
| 時間内変動 | 2.7 | 2.2 | 1.0 | 1.7 | 1.3 | 1.3 | 2.5 | 1.3 | 1.1 | 1.7 |
| 電源脱落(直後) | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 |
| 合計 (i) + (ii) + (iii) | 10.2 | 6.6 | 5.5 | 6.4 | 5.9 | 5.3 | 8.7 | 10.3 | 5.7 | 7.2 |
予測誤差の内訳
| 内訳 | 北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 9エリア単純平均 |
|---|
| 小売需要予測誤差1,2 | 5.5 | 2.7 | 3.0 | 2.1 | 2.8 | 3.0 | 4.8 | 3.6 | 3.6 | 3.5 |
| FIT①③予測誤差2,3 | 1.8 | 1.6 | 2.5 | 4.2 | 2.9 | 1.9 | 10.4 | 5.1 | 2.0 | 3.6 |
今後の検討事項
- エリア間で必要量の差が見られるため、データの蓄積を行い、差の評価を進める必要がある。
- BG側の運用体制が整うことで需要予測精度向上の期待がある。
- インバランス料金制度の見直しが必要予測精度の向上を促進する可能性がある。
今後もデータを蓄積・評価し、必要に応じて制度の検討を継続していくことが重要である。