資料の目的・背景
本資料は、2021年度の需給調整市場における三次調整力②の広域調達および広域運用に関する意見募集の結果を報告するものである。意見募集は、2019年4月26日から5月17日までの間に行われた。
意見募集の概要
- 意見募集期間: 2019年4月26日〜5月17日(22日間)
- 実施方法: 電力広域的運営推進機関のホームページで意見を募集し、電子メール等で受領
- 意見提出件数: 128件(19事業者)
意見提出事業者の属性
- 発電事業者: 5社
- DR(需要応答)・VPP(バーチャル発電所): 13社
- その他: 1社
意見対象分野
| 分野 | 件数 |
|---|
| 情報公開 | 3 |
| システム | 1 |
| 精算 | 10 |
| 応札・落札・発動 | 5 |
| アセスメント・ペナルティ | 26 |
| 計量器・計測地点 | 6 |
| 事前審査 | 20 |
| 需要家リスト | 25 |
| 取引スケジュール | 1 |
| その他 | 26 |
意見種別の分類
意見は以下の3点に大別される。
- 要望: 93件
- 説明不足: 20件
- 質問等: 15件
説明不足への対応
次回の需給調整市場検討小委員会以降に資料修正を行い、公表することで事業者への理解を促進する。
需給調整市場に関する市場設計
需給調整市場の運営に必要な取引規程について、多数の意見が存在した。意見には以下の要望が含まれる。
- 取引規程の公正性: 標準試験パターンや各種フォーマットの全国統一を求める意見。
- 市場運営者である一般送配電事業者へ伝え、詳細を検討することが提案された。
市場設計に関する要望と対応
契約体系・資格要件
入札量に応じた純資産や保証金を求める資格要件の厳格化を要望。
| 要望 | 対応方針 |
|---|
| 資格要件をより厳格にしてほしい | 法人格を有し、純資産額1,000万円以上の事業者に限定 |
事前審査
事前審査に関する意見も様々で、特に以下のような要望が挙げられた。
| 要望 | 対応方針 |
|---|
| 事前審査の不要 | 調整力を正確に確認するため、事前審査は実施することとする。 |
| 事前審査期間の短縮 | 一般送配電事業者が業務実態を考慮し、継続検討。 |
| 計測間隔の変更 | 5分間隔とする場合、要件を緩和し、30分平均値で評価を行う。 |
需要家リスト
需要家リストに関する要望も多く存在した。
| 要望 | 対応方針 |
|---|
| 需要家リストの提出を不要にしてほしい | 事前に登録されたリソースのアセスメントを必要とし、不正行為を避けるために必要とされる。 |
| 要件を厳選してほしい | 一般送配電事業者が必要とする最小限の情報に留めることを提案。 |
計量器・計測地点
計量器に関する要望についても対応方針が示された。
| 要望 | 対応方針 |
|---|
| 計量器詳細の早期決定を求む | 市場運営者である一般送配電事業者において検討し、取引規程に取り決めをおくことで解決。 |
| 機器個別計測を早期に許容してほしい | 市場開設時には受電点による計測とし、不正防止策を前提に個別計測も検討する。 |
まとめ
今回の意見募集により、さまざまな意見が集まり、需給調整市場における多くの課題が明らかとなった。これを基に市場設計の改善を図る必要がある。関連者の意見を反映しつつ、引き続き慎重に検討を進めることが求められる。
システムに関する主な要望
-
通信線関連
- オンライン化要望: 簡易指令システムもサイバーセキュリティ確保のもとオンラインとしてほしい。
- オフライン許容要望: 従来通りのオフライン(電話やメール)指令も許容してほしい。
理由: サイバーセキュリティ向上には多額の設備投資が必要であり、小規模事業者への市場参加を促すためにはオフラインを許容する必要がある。
要望に対する対応方針
| 要望 | 対応方針 |
|---|
| オフラインを許容してほしい | 電源Ⅰ'において簡易指令システムを設け、効率化により多くの事業者を受け入れる。サイバーセキュリティ確保の上で、オンライン指令監視を実施する。 |
その他に関する主な要望
-
商品の要件
- 下げΔkWは当面調達せず、余力活用契約または優先給電ルールの下で運用。
-
逆潮流の取り扱い
-
ネガ/ポジワット、ポジワットのアグリゲーション
- 一般送配電事業者による調整力の公募調達において、入札単位はユニット毎でポジワットのアグリゲーションは認められない。
理由: 蓄電池等の活用が上げDR取引の活性化を促し、家庭用蓄電池の逆潮流活性化が予想され、これに対する制度整備が必要である。
要望に対する対応方針
| ご意見 | 対応方針 |
|---|
| 上げDRの取り扱いを検討してほしい | 下げ調整力のΔkWは当面調達しないとの整理がなされ、余力活用契約または優先給電ルールで運用。この意見は資源エネルギー庁に伝達。 |
| 系統への逆潮流について早期明確化を希望 | 需要家からの逆潮流はポジワットとされ、現行制度におけるポジワットの入札単位がユニット毎であることから、アグリゲーションは認められていない。関連事項についての詳細検討は今後行う。 |
| 小規模リソースの多数アグリゲートについて市場設計を検討希望 | 現状のアグリゲーターは大口リソースで運用されるが、小規模リソースのアグリゲーターについて、実証事業を参考にしつつ市場設計を見直す必要がある。 |
国で検討いただく事項
今後引き続き国で検討する事項は以下の通りである。
- kWh単価の設定方法(プライスベースまたはコストベース)
- 入札情報の公開方法
- ネガ/ポジワット混在の明確化(小規模多数含む)
- サイバーセキュリティ要件の早期確定
- 需給調整市場のネガワット調整金の早期検討
- 上げDRの取り扱い
- 機器個別計測の是非
- 複数指令を受信した場合の取り扱い
今後の進め方
以下の対応を進めることとしている。
- 要望事項について見直しやさらなる検討が必要な場合は修正・伝達し、継続検討を行う。
- 説明不足の事項について意見募集資料の修正を行う。
- 確認が必要な事項について個別に回答する。
今後、これらの対応が需給調整市場検討小委員会で承認されれば、需給調整市場に関する設計を完了し、運営の準備を進めることになる。