文書の目的と対象
本書は、電力広域的運営推進機関の業務規程第32条の5に基づく「容量市場業務マニュアル 実効性テスト編」(発行日:2023年1月19日)で、2025年度を対象実需給年度とし、発動指令電源の電源等リスト登録、実効性テスト、発動実績の報告などの手続と容量市場システムの操作を説明する。対象事業者は、2025年度メインオークションで容量確保契約を締結した発動指令電源提供者、同オークション非落札で追加オークションに参加する事業者、および追加オークションから参加する事業者である。後二者は、追加オークション向けの提供可能容量を評価するため、2023年度の実効性テストに参加する必要がある。追加オークションの開催有無は、需給状況を踏まえ2024年4月頃に判断予定とされる。
本文には2023年度の事前手続、2024年から2026年にかけてのリスト変更期間、実需給年度ごとの代替実績の扱いなどが記載されている。これらの日程や年度の扱いを他年度に適用できるかは本文から判断できない。また、抜粋の一部では業務手順図について対象年度や具体的期限が記載されていないとされているため、図示だけから補うことはできない。
電源等リストの登録(第2章 2.1)
対象区分は発動指令電源で、2025年度メインオークション契約済みの電源のほか、契約未締結で非落札または追加オークション等から参加予定の電源も含む。需給調整市場・電源Ⅰ’の同年度リストとのリソース重複は可能だが、それぞれの要件を満たす必要がある。FIT送配電買取(特例③)の電源は実効性テストに参加できない。ただし、FIT買取期間終了後に管理主体が発電事業者等へ移管された場合は容量市場に参加できる。
参加予定事業者は、リスト申込前に事業者情報、電源等情報、期待容量の参加登録を済ませる。未登録なら参加登録後、2023年2月末までにリストを登録する。提出依頼は2023年1月中旬から2月中旬に登録メールアドレス宛てに送付され、対象事業者は1月中旬から2月末日までに提出する。
リストは所定のExcel様式(様式9)で作成し、2025年度時点で想定される発動指令電源の内訳を1計量単位ごとに記載する。ファイルが4MBを超える場合、または内訳が10,000件を超える場合は分割する。安定電源と発動指令電源の「1地点複数応札」を含む場合は、該当電源とそれ以外でリストを分ける。ファイル名にはエリア、事業者コード、対象実需給年度、電源等識別番号、必要に応じて枝番、改訂回数を含める。
電源名、受電地点特定番号、電源種別・発電方式、設備容量などを確認できる書類を提出する。新設電源で地点特定番号が未発番の場合は22桁の「9999999999999999999999」を記載し、発番後速やかにリストを変更する。FIT買取中の電源はFIT認定IDの確認書類も必要。需要抑制では需要家名・供給地点特定番号の確認書類と需要家との合意書を用意する。写しで提出可能で、原則2023年2月末日までにCD-R等の電磁的記録媒体で指定先へ郵送する。期限までに出せない合理的理由を機関が認めた場合は延長されることがある。機関が内容を確認できると判断すれば指定外書類で代替でき、追加書類を求められる場合もある。
容量市場システムへのアップロード後、変更理由欄に「電源等リストの提出」と記入する。完了画面までの操作は仮申込であり、申込完了には「審査」タブの電源等情報審査管理から該当申込を確認し、「申込完了」を実行する必要がある。受付後に機関が審査し、結果をメール通知する。不備がなければ2023年4月末日までに合格通知、不備があれば不合格通知が届く。不合格理由は審査詳細画面で確認し、不備を解消して速やかに再申込する。重複による不合格では、電源等との合意および契約期間を示す書類(様式自由)を再申込時に郵送する。審査終了の10営業日前までに不合格通知を行う旨も記載されている。2023年4月末日の審査終了までに解消できない電源等はアグリゲートリソースとして認められず、リストから除外する。
リスト登録が完了しない場合、容量確保契約済みの発動指令電源は全量市場退出となる。契約未締結の電源は実効性テスト、調達オークション参加、差替契約締結ができない。
登録上の条件・例外
2025年度向け追加オークションから、安定電源がアセスメント対象容量まで供給力を提供したうえで発動指令時に追加供給力を出せる場合、同一計量単位内で安定電源に加え発動指令電源の1リソースとして登録できる。この場合、特記事項に「1地点複数応札」と記載する。
新たに簡易指令システムを設置する際、需給調整市場への参加予定があれば同市場用、予定がなければ調整力公募用の仕様を選ぶ。一般(自流式)水力は、ダム水位に基づく供給力算定または調整能力加算がある場合は発動指令電源として登録し、一般(貯水式)を選択する。調整係数のみで算定する場合は変動電源(アグリゲート)となる。風力、太陽光、水力(自流式)のみのアグリゲートは参加できないが、他の発動指令電源リソースと組み合わせれば参加可能。蓄電池を併設しただけでは電源等区分は変わらない。
バイオマス混焼で調達上限比率を設定した場合、実需給期間中は予定バイオマス比率で実績評価しないため、実需給前までに申請済みの調達上限比率へ変更する。FIT・非FITの仕訳、差分計量・按分計量、部分買取、自己託送地点、部分供給などは条件に応じた区分記載が必要である。部分買取では全ての相対契約を記載し、不足があると当該実績分は評価されない。記録型計量器・自動検針が未対応の地点は、一般送配電事業者によるプロファイリング計量値で評価するか、リストから削除するかを事業者が選ぶ。
電源等リストの変更(第2章 2.2)
実効性テスト前に、新設電源の地点特定番号・BGコード等が確定した場合、または既設電源のBGコードが変わった場合、夏季は5月末、冬季は10月末までに更新を完了する。更新しない地点の発動実績はテストで評価されない。計量値を取得できない地点が判明した場合は、発動実績報告前に速やかに削除する。
テスト後の変更申込期間は2024年10月から2026年2月10日までで、2024年9月末までは変更できない。対象は、実効性テスト後に発動実績を登録し、期待容量の評価を受けた事業者。実需給期間中は毎月10日締切で、審査結果は当月中に通知される。前月11日から当月10日までに申込み、書類不備がなければ最短で翌月1日から変更後リストが有効となる(例:5月1日からの変更なら遅くとも4月10日までに申込)。追加時は追加対象の書類を提出し、削除時は不要。変更手続も仮申込後に申込完了操作が必要で、審査結果は合格または不合格として通知される。
実効性テスト前手続(第3章 3.1)
2023年4月10日までに発動指令電源のリスト登録を申し込んだ事業者には、実施時期の調整開始依頼がメールで届く。対象事業者は2023年4月末までに属地一般送配電事業者へ夏季または冬季の希望をメール連絡する。具体的な月日・時間帯は指定できず、確定時期は同事業者から2023年6月9日までに通知される。通知後速やかに容量市場システムで登録し、仮申込の後、審査申込状況から確認して「申込完了」とする。ここでは審査はなく、完了と同時に電源等情報へ反映される。
実効性テスト以外の発動実績利用を「無」とする場合は夏季または冬季を選び、変更理由を「実効性テストの実施時期の登録」とする。「有」とする場合は実施時期を空欄にし、変更理由を「実効性テスト以外の発動実績を利用するため」とする。この利用希望は2023年4月末までに登録し、間に合わない場合は機関へ申し出る。実施時期を2023年6月20日までに登録できない場合も申し出る。再テスト希望はこの段階では選択不要。実施時期は原則希望に沿って調整され、夏季実施の場合は夏季1回・冬季1回、冬季実施の場合は冬季1回の再テストが可能とされる。
実効性テストの実施・算定(第3章 3.2)
夏季(7月1日~9月30日)または冬季(12月1日~2月末日)の特定の6コマが対象。対象事業者は属地一般送配電事業者から3時間前までにオンライン機能(簡易指令システムを含む)で指令を受ける。指令設定は土日祝日を除く9時~20時で、2日連続となる場合がある。指令後、リスト内の各リソースから供給力を提供し、発電販売計画または需要抑制計画に反映する。テストによる調整力精算はない。他の発動実績を代替提出してテストを受けない場合は、速やかに属地一般送配電事業者へ連絡する。
発動指令電源提供者は2023年2月17日までに簡易指令システムまたは専用線オンラインを具備し、通信対向試験を実施したうえで、属地一般送配電事業者とのオンライン指令による性能確認試験結果をシステムに提出する。参加予定事業者の結果提出期限は、夏季テストなら2023年6月20日、冬季なら2023年11月20日。通常必要な工期を踏まえ適切な時期に設置を依頼したが工事が遅れた場合に限り、締切後でもテスト実施前までに通信対向試験を終えればよい。既設オンライン機能が最新のサイバーセキュリティガイドラインに準拠することを示す書類(電源Ⅰ’契約書の写し等)を提出すれば性能確認試験結果は不要で、前年度提出済みで変更がなければ再提出も不要。通信対向試験によりオンライン機能未設置と判断された場合、または具備要求に応じない場合、登録済み電源は全量市場退出となる。
算定に必要な計量値は、6コマ分の発電量調整受電電力量・接続供給電力量と、ベースライン用の指令日前30日分の接続供給電力量。取得できない地点は報告前に速やかにリストから削除する。削除せず虚偽報告した疑いがあれば機関が提出情報の詳細を確認することがある。
電源のベースラインは0。ただし1地点複数応札は当該安定電源のアセスメント対象容量。需要抑制は、DR実施日を含まない直近5日から平均需要量の多い4日間(high 4 of 5)のコマ別平均を仮ベースラインとし、実施時間の5~2時間前の6コマで当日調整値を算出して加算する。マイナス値は0とする。選定時は土日祝日、過去のDR実施日(電源Ⅰ’を含む)、直近5日平均の25%未満の平均需要量の日を除外する。最小日が複数なら実施日から最も遠い日を除外し、4日分に満たない場合の補充や同値日の選び方は本文注記に従う。途中・最終計算に端数処理はしない。
電力需給ひっ迫警報・注意報の発令期間中に当該エリアで経済DRを実施した場合、事業者の申出に基づき実施日を除外する等の対応がある。契約書等やDR指令資料を証憑として確認し、申出は任意様式で実施日から5営業日以内に指定先へ行う。
電源は発電量調整受電電力量からベースラインを引き、需要抑制は損失率考慮後の送電端換算ベースラインから接続対象電力量を引き、地点・コマごとに発動実績を算定する。全地点の実績を合算し、アセスメント対象容量(契約書がない場合は期待容量)の30分kWh換算値との比から達成率・未達成量を算定する。未達成率が負なら0。6コマの未達成量合計を3で割って未達成量[kW]とし、2日連続時は1日目、2日目、2日平均のいずれかを選べる。未達成量が0なら6コマの発動実績合計を3で割りテスト後期待容量とする。未達成量が正なら、アセスメント対象容量(契約書がない場合はテスト前期待容量)から未達成量を引く。テスト未達成量は小数点以下切上げ、テスト後期待容量は切捨て。
再テスト希望は、同時期なら実効性テストの1週間後、別時期なら実効性テスト(夏季再テストの場合は当該再テスト)の2か月後を期限として属地一般送配電事業者へ連絡し、その後速やかにシステム登録する。夏季・冬季それぞれ1回が上限。申込後に取りやめる場合も速やかに連絡する。システムでは希望登録・取下げとも仮申込後に申込完了操作が必要で、希望時期の有無と所定の変更理由を入力する。
発動実績報告と期待容量変更(第3章 3.3)
2024年2月上旬頃、全リスト登録者(市場退出者を除く)に報告依頼がメール送付される。未報告の事業者は2024年3月8日までにテスト実績または他の発動実績を報告する。依頼前の自主報告も可能。期限までに報告しないと、契約済み電源は全量市場退出、契約未締結電源は調達オークション参加・差替契約締結ができない。2024年2月にテストを行い3月8日までに報告できない場合は機関へ申し出る。実需給年度中の方法・期限は別途マニュアルで案内される。
報告には電源等リスト単位で様式10(発動実績算定諸元一覧、Excel)を作成する。4MB超または内訳10,000件超は分割する。夏季・冬季の実績を入力し、再テスト時は選択した結果を含められる。代替可能な実績は、対象実需給年度が2024~2025年度ならテスト実施年度に発動された電源Ⅰ’実績、2026年度以降なら一般送配電事業者の発動指令への対応実績。リスト内の全地点が同一指令に応じている必要がある。電源Ⅰ’実績を使う場合は各リソースを示す契約書等の写しを提出する。元の需要抑制ベースラインがhigh 2 of 3等ならhigh 4 of 5で再算定する。2日連続テストは1日目、2日目、2日平均のいずれかを選び、2日平均の場合は両日の実績等も報告する。
期待容量変更は容量市場システムの「参加登録」から「期待容量情報管理」を開き、対象電源の詳細画面で変更を選び、必要事項と様式10を提出する。テスト実績の場合、変更後期待容量にはテスト後の算定値を1,000kW未満でも入力し、「実効性テスト・発動実績値登録」を完了にする。実績種別、実施時期、発動年月日、開始・終了時刻を変更理由に記載する。代替実績の場合はリスト全体の期待容量(送電端換算値)を入力し、実績種別、基となる指令日・開始終了時刻を記載する。入力・実行後は仮申込となり、「審査」タブの期待容量情報審査管理で対象申込を確認し「申込完了」を行う。完了通知は登録メールへ送付。審査開始前なら申込を取り下げられる。
テスト後期待容量が容量確保契約容量以上なら契約容量は変わらず期待容量のみ変更される。下回る場合は両方が変更される。審査で事業者申告値と機関算定値が一致すれば結果と変更完了が通知され、不一致なら否認される。不一致理由は審査コメントで確認し、報告手続を再実施する。
契約済み電源は期待容量が1,000kW未満なら全量市場退出となり、1,000kW以上でも契約容量未満なら差分が部分退出となる。市場退出通知後の手続は別マニュアルの該当章を参照し、2024年4月10日までに手続されなければ機関が実施すると記載されている。報告不備が解消しない場合も、2024年4月10日までに未解消なら機関が退出手続を行う。ただし2024年2月にテストし4月10日までに解消できない場合は機関へ申し出る。契約未締結電源は期待容量1,000kW未満、または報告不備未解消の場合、調達オークション参加や電源等差替ができない。
手順図と様式
提示された87~90ページの業務手順図は、リスト変更の申込・審査・共有、実効性テスト時期の調整・登録、指令・算定・再テスト検討、実績報告・計量値提供・審査・結果通知の流れを示す。図には再申込、再テストの具体的期限、不一致後の是正期限などが示されない箇所があり、凡例だけでは個々の工程の連絡手段を特定できない。Appendix.1には様式1~10が列挙され、様式9は電源等リスト、様式10は発動実績算定諸元一覧。いずれも入力上限は10,000件で、超える場合は別ファイルを作成する。様式10は発動実績、電源、需要抑制の各シート等で構成される。