資料の目的・背景
本資料は、経済産業省が提出した「電気の規制料金の審査を踏まえた検討」に関するものであり、料金制度専門会合で審査された内容を報告するものである。審査は、2022年11月及び2023年1月に大手電力会社7社が行った電気の規制料金の変更認可申請に基づいている。
審査の経緯および結果
- 料金制度専門会合では、計16回の会合を通じて、合計49回の審査が実施された。
- 2023年5月に経済産業大臣からの認可が行われた。
特に注目すべき審査のポイント
- 電気事業を取り巻く環境の変化を考慮し、料金審査要領などの見直しが求められている。
- 本日は、購入・販売電力料、事業報酬、公租公課、物価変動等への対応に関連する論点について議論される。
審査方針および検討対象
論点の全体像
以下の4つの分野に関し、検討が行われる。
- 購入・販売電力料
- 事業報酬
- 公租公課(法人税等)
- 物価変動等への対応
購入・販売電力料に関する提供内容
- 購入・販売電力料には、卸電力取引市場などの様々な電力市場の取引が含まれ、電力市場の自由化が進む中、取引が多様化し料金改定申請が複雑化している。
特定小売供給約款に関する法的要件
特定小売供給約款の変更認可申請には以下の法的要件が設けられている。
- 料金が適正な原価に基づくこと。
- 料金が種類によって明確に定められていること。
- 費用の負担方法が適正かつ明確であること。
- 特定の者に対する差別的取扱いがないこと。
公聴会および国民の声
公聴会が複数の地域で行われ、国民からの意見も広く収集される予定である。これに基づいて専門会合での審議に反映される。
公聴会および国民の声の概要
| 事業者 | 公聴会の開催日・開催場所 | 国民の声の募集期間 |
|---|
| 北海道電力株式会社 | 2023年4月20日 札幌市 | 2023年2月14日〜4月20日 |
| 東北電力株式会社 | 2023年2月16日 仙台市 | 2022年12月5日〜2月16日 |
| 東京電力エナジーパートナー株式会社 | 2023年4月13日 千代田区 | 2023年2月14日〜4月13日 |
| 北陸電力株式会社 | 2023年2月14日 富山市 | 2022年12月5日〜2月14日 |
| 中国電力株式会社 | 2023年2月9日 広島市 | 2022年12月5日〜2月9日 |
| 四国電力株式会社 | 2023年2月1日 高松市 | 2022年12月5日〜2月1日 |
| 沖縄電力株式会社 | 2023年1月30日 那覇市 | 2022年12月5日〜1月30日 |
まとめ
今回の審査は電気事業の料金制度に関する大規模な見直しを伴い、各事業者からの申請を中心に専門的な議論が行われている。また、国民の声を取り入れることで、より実効性のある審査が期待される。
検討の方向性:購入・販売電力料関連
料金審査要領の見直し案
営業費に関する規定の見直し案
| 見直し案イメージ | 現行 |
|---|
| 第2節 営業費 1 略 2 燃料費及び他社購入電力料については次のとおり審査するものとする | 第2節 営業費 1 略 2 燃料費購入電力料については原価算定期間内に契約が満了するものについて他の事業者の取組状況や市場の状況を踏まえ燃料にあっては調達価格の指標CIF価格やRIM価格等や諸経費輸送賃及び管理費の妥当性を確認すること。 |
| 1 | 燃料費については、原価算定期間内に契約が満了し、契約の新規締結更新等を行うものについて、他の事業者の取組状況や市場の状況を踏まえ、調達価格の指標や諸経費の妥当性を確認。共同調達の実施等の努力を求め、可能な限り効率化努力を評価。 |
| 2 | 他社購入電力料についても、原価算定期間内に契約が満了し、契約の新規締結更新等を行うものについて、同様に評価。 |
注意: 上記は現時点での見直し案であり、法令面での確認プロセス等を経て、文言が修正される可能性がある。
控除収益に関する規定の見直し案
| 見直し案イメージ | 現行 |
|---|
| 第4節 控除収益項目 | 第4節 控除収益項目 |
| 算定規則第5条に基づいて申請事業者が算定した控除収益項目については次のとおり審査する。 | 算定規則第5条の規定に基づいて申請事業者が算定した控除収益項目において、有利子負債の利子率の実績値に係る算定方法を確認するものとする。 |
| 1 他社販売電力料については… | 1 他社販売電力料については、契約が満了した場合の各種収益の確認。 |
注意: 上記は現時点での見直し案であり、法令面での確認プロセス等を経て、文言が修正される可能性がある。
料金審査の全体像
各論点は以下の通りである。
個別論点の詳細
- 3-1. 購入・販売電力料
- 3-2. 事業報酬
- 3-3. 公租公課(法人税等)
- 3-4. 物価変動などへの対応
事業報酬の概要
- 持続的な事業運営には、適正な資金回収と調達が必要である。
- 電気事業での巨額の資金形成において、事業者は様々な資金調達手段を通じて資金を集める必要がある(銀行等からの借り入れ、社債の発行)。
- 電気料金から適正な利潤(事業報酬)が回収されることを法律で認めている。
事業報酬制度の概要
- 1960年に導入された事業報酬制度では、以下の算定式に基づいて事業報酬が算定される。
- 事業報酬 = レートベース × 事業報酬率 − 一般送配電事業者分
審査の結果
- 特定小売供給約款の変更認可に伴う査定方針では、新たに算定した事業報酬が申請値を上回る場合、その超過分は認めない。
自己資本比率の議論
- 過去の議論では、電気事業の適正な自己資本比率を30%としたが、2022年度では大手電力会社の自己資本比率の平均は17.3%である。
- 他の公益事業の自己資本比率は約30〜40%となっていることから、電気事業の自己資本比率は低いと考えられる。
消費者委員会からの意見
- 「事業報酬率の算定を資本構成に基づいて見直すべき」との意見を受け、今後の検討課題とする。
検討の方向性
- 適正な自己資本比率や事業報酬率算定に関する意見を踏まえ、今後の方向性について議論が行われる予定である。
審査の過程での意見と方針
公社債利回り実績率および全産業自己資本利益率の採録期間
- 自己資本報酬率に関して以下の意見が出された。
- 公社債利回りと全産業自己資本利益率は採録期間が異なることに注意が必要である。
- 全産業自己資本利益率は多くの企業の平均値であり、長期採録は直近数年で十分であるとの意見があった。
- β値に合わせて10年超を取ることも考えられるが、直近5年または7年を取る方が適切であるとの考えが示された。
β値の算定期間に関する査定方針
- β値の算定には「直近10年間」を基にすることが提案された。
- 過去の料金値上げ時には、長期間の採録ができず「直近」の起点が影響する状況があったため、緊急性を排除するために採録期間が整えられたが、今回は異なるスタンスで考えられる。
| β値の算定期間 | β値 | 事業報酬率 |
|---|
| 2022年10月末までの10年間 | 80.82% | 2.79% |
| 2022年11月末までの10年間 | 80.07% | 2.77% |
| 2022年12月末までの10年間 | 79.76% | 2.76% |
公社債利回り等に関する査定方針
- 自己資本報酬率は、適正な事業経営リスクに基づいて設定されなければならないとする。
- 今回の料金改定申請においては、中国電力が5年間を採用している一方で、他の事業者は7年間を採用していることが述べられている。
審査の意見と方向性
- 自己資本報酬率の算定に当たり、以下の諸元が提案された。
- β値の算定期間: 申請日の前月末を起点にした「直近10年間」
- 公社債利回りおよび全産業自己資本利益率の採録期間: 「直近7年間」
他人資本報酬率に関する査定方針
- 他人資本報酬率の算定には、全てのみなし小売電気事業者の有利子負債利子率を加重平均で使用することが規定されている。
特別関係事業者に関する内容
- 特別関係事業者は一般電気事業者として定義され、事業報酬の算定において合理的な持分比率を適用することが重要であるとされた。
今後の予定
- 料金審査要領の見直しにおいて、上記の意見や方針を反映することが討論されている。
- 新たな基準を設けることで、事業報酬の算定方法を明確化する方向性が示されている。
審査の過程での意見(公租公課関連)
委員の意見
- 丸尾委員の意見
- 現行の算定規則は時代遅れであると指摘した。
- 配当性向を基にした比較が重要で、他のインフラ企業との横並びで考察すべきであると提案。
検討の方向性(公租公課関連)
法人税等の算定方法について、以下の4つの見直し案が提案された。
| 見直し案 | 説明 |
|---|
| 案① | 法人税等を各事業者の自己資本報酬相当額から逆算した額とする。 |
| 案② | 自己資本報酬相当額に配当性向を加味した額から逆算した額とする。 |
| 案③ | 各事業者の実績値に基づく額とする。 |
| 案④ | 案①と案③の小さい方の額とする。 |
推奨案
法人税等の算定方法を見直す際には、電気事業報酬額との整合性を保ちつつ、案④を採用して料金算定規則を改正することが提案されている。
物価変動等への対応
現行の規定
- 料金審査要領では、消費者物価及び雇用者所得等の変動見込みに関して「原則として原価への算入を認めない」と定められている。
- 現在の経済状況では物価上昇が続いており、現行規定によって審査結果が乖離する恐れがある。
主な論点
- 物価上昇を適切に反映しない場合、競争が歪む可能性や不当な価格形成が起こる懸念がある。
- 現行の規定の明確化が必要とされている。
新たな考え方
物価変動を料金原価に反映するための以下の三つの考え方が提案される。
| パターン | 説明 |
|---|
| パターン① | 認可前の補正時点の物価水準等を使用 |
| パターン② | 過去の一定期間の物価水準の変動実績を反映 |
| パターン③ | 予測値に基づいた物価水準を反映 |
参考情報
- 消費者物価指数の推移に関するデータが提供されており、対象となる数値の変遷が示されている。