送配電網の維持・運用費用の負担に関する資料
資料の目的・背景
本資料は、経済産業省が提出した送配電網の維持・運用費用の負担の在り方を検討するための資料である。第8回送配電網の維持・運用費用の負担の在り方検討WGにおいて、特に以下の点について議論が行われる。
資料の構成
本資料は以下の内容で構成されている。
- 検討すべき論点(第6回WG提示内容)
- 系統設備投資抑制・送電ロス削減に対する電源のインセンティブ
- 電力需要の動向に応じた適切な固定費回収方法
- 送電ロスの補填に係る効率性と透明性向上
検討すべき論点
1. 送配電関連設備の利用者間負担
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課題
- 送配電関連設備の費用負担構造が小売事業者に依存している。
- 需要の伸び悩みに対し、設備増強が必要になる場合がある。
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論点
- 発電事業者の負担軽減と再生可能エネルギーの促進を両立させる方法。
- 小売業者や発電事業者の負担のバランスをどう取るか。
2. 系統設備投資抑制・送電ロス削減
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課題
- 現行制度では電源に対する直接的なインセンティブが不十分であり、過剰な設備投資や送電ロスの削減が進まない可能性がある。
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論点
- 需要地近接性評価割引制度の限界と市区町村単位の評価基準の見直し。
- 発電側金の導入によるインセンティブの付与。
3. 電力需要の動向に応じた適切な固定費回収方法
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課題
- 固定費の回収率が低く、将来的な送配電設備の維持に支障を来す可能性がある。
- 自家発設備の普及が進む中での負担の不公平の解消。
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論点
- 基本料金の引き上げ及び従量料金の引き下げの効果。
- 発電側課金を導入した際の小売事業者への転嫁方法。
4. 送電ロスの補填に係る効率性と透明性向上
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課題
- 現行制度におけるロス量の算定方法が不透明で、効率的ではない。
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論点
- 小売事業者の実効的な電源調達とロス低減のための制度の整備が必要。
重要な数値・データ
- 固定費は送配電関連費用の約8割を占有しているが、基本料金での回収は約3割である。
- 固定費回収不足は今後の安定供給に影響を及ぼすリスクがある。
今後のスケジュール
次回のWGでは以下の事項について具体的な制度設計案を提示し、議論を深める予定である。
- 基幹系統投資抑制割引に関する詳細な見解。
- 発電側基本料金の導入における具体的な評価方法について。
課題・リスク
- 送配電網の維持管理における財政的な安定性が欠如することによる長期的な供給リスクが存在する。
- 現行制度の限界が新たな電源開発や投資を抑制する可能性がある。
電力需要の動向に応じた固定費回収方法
基本的な考え方
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発電側の固定費回収率を向上させるためには、以下の点を検討する必要がある。
- 発電側基本料金の設定: 発電側の容量に基づく基本料金の導入を検討する。
- 託送料金の調整: 託送料金の基本料金を引き上げ、従量料金を引き下げることで基本料金回収率を向上させる。
-
上記の検討に際しては、小売料金への影響を慎重に見極める必要がある。
固定費回収の状況
- 発電事業者や小売事業者が基本料金を回収する方法について以下のポイントが挙げられている。
- 発電事業者が発電側基本料金を導入する場合、送配電関連費の一部を負担する。
- 小売事業者が基本料金回収率を引き上げる場合、小売の経過措置料金との整合にも留意する必要がある。
基本料金回収率
各地域における基本料金回収率を以下の表に示す。
| 地域/制度状況 | 最低料金制度の有無 | 電灯基本料金回収率 (固定費率) | 動力基本料金回収率 (固定費率) | 高圧基本料金回収率 (固定費率) | 特別高圧基本料金回収率 (固定費率) |
|---|
| 北海道 | 無 | - | 47% (86%) | 45% (93%) | 39% (85%) |
| 東北 | 無 | - | 44% (90%) | 46% (95%) | 40% (91%) |
| 東京 | 無 | - | 58% (91%) | 44% (95%) | 42% (93%) |
| 中部 | 無 | - | 48% (88%) | 36% (94%) | 39% (94%) |
| 北陸 | 無 | - | 53% (86%) | 48% (95%) | 43% (92%) |
| 関西 | 有 | 8% (69%) | 46% (81%) | 42% (95%) | 47% (94%) |
| 中国 | 有 | 5% (70%) | 47% (82%) | 42% (92%) | 50% (85%) |
| 四国 | 有 | 8% (72%) | 48% (84%) | 47% (94%) | 53% (91%) |
| 九州 | 有 | 18% (74%) | 48% (74%) | 38% (91%) | 39% (83%) |
| 沖縄 | 有 | 7% (60%) | 43% (81%) | 28% (72%) | 22% (55%) |
注: 各地域における料金設定は、最低使用量を定める制度を元に考慮されている。
経過措置料金との整合性
- 低圧託送料金と経過措置料金の整合性に関しては、実量契約の採用や料金設定について慎重に検討する必要がある。
- 小売事業者と送配電事業者間の料金体系の整合性が必要とされている。
その他の意見
- 競争市場の予見性確保や需要家への影響緩和に配慮し、料金体系の変更時には段階的な移行措置が望まれる。
- 特に新規参入者の競争戦略や需給家の省エネ投資に対する影響についても注意が必要である。
このような提案に基づき、今後の料金設定や固定費回収方法の見直しが進められる必要がある。