卸電力取引の活性化に関する報告
資料の目的・背景
本資料は、経済産業省が提出した「卸電力取引の活性化の進め方」についての報告である。平成29年4月25日に開催された第17回制度設計専門会合において使用されたもので、主な目的は卸電力市場の活性化に向けた具体的な論点整理と今後の進め方に関する検討にある。
主要な検討内容・論点
本日の議題
競争的な市場構造実現に向けた論点
- 各社によるグロスビディングの実施準備状況が確認された。
- 競争的な市場構造を実現するための視点:
- 短期の取引所流動性の獲得
- 卸電力市場全体の価格指標性の獲得
- リスク管理手法の高度化/取引手法の多様性確保
- 新規参入者への事業機会の提供
グロスビディングの開始とモニタリング
- 旧一般電気事業者は2017年度からグロスビディングを開始する。
- 期待される効果:
- 事務局は実施状況をモニタリングし、競争的な市場構造に資するかどうかを検証する。
各社のグロスビディング開始計画
以下の表は、各社のグロスビディング開始予定と売り入札目標を示す。
| 会社名 | 開始予定 | 売り入札目標 |
|---|
| 北海道電力 | 平成29年4月 | 販売電力量の10%程度 |
| 東北電力 | 第1四半期 | 同上 |
| 東京電力エナジーパートナー | 平成29年4月 | 10%超、平成30年度末には20% |
| 中部電力 | 平成29年4月 | 10%程度 |
| 北陸電力 | 平成29年4月 | 10%超 |
| 関西電力 | 第1四半期 | 20%程度 |
| 中国電力 | 平成29年5月 | 10%程度、30年度内に2割 |
| 四国電力 | 平成29年4月 | 10%程度 |
| 九州電力 | 平成29年4月 | 10%程度 |
課題・リスク
- 旧一般電気事業者のシェアが高く、新規参入者の機会が限られている現状も課題である。
- 社内取引と他社売電条件の比較を通じた透明性の確保が必要である。
重要な数値・データ
シェア状況
| 分野 | シェア |
|---|
| 発電(電源) | 旧一般電気事業者:93.8% |
| 小売 | 旧一般電気事業者:91.3% |
- JEPX取引量のシェア(2016年12月時点):3.4%
相対卸供給状況
- 自エリア供給(常時BU以外):1社
- 他エリアへの供給:6社
社内取引と他社売電に係る論点
論点の概要
- 社内取引と同条件での他社売電の価格構造
- みなし小売電気事業者の域外供給販売単価は、域内供給単価及び新電力の単価と比較して安価である。
販売単価の比較
以下の表は、旧一般電気事業者による販売単価を示す。
| 電圧区分 | 自社への地域 (円/kWh) | 域外への供給 (円/kWh) | 新電力 (円/kWh) |
|---|
| 特別高圧 | 10.7 | 12.0 | 13.0 |
| 高圧 | 14.6 | 14.1 | 15.8 |
| 低圧電灯 | 20.7 | 19.6 | 20.5 |
落札者の傾向
- 公的機関による電力購入入札において、PPS(新電力)は負荷率が低く平均単価が高い需要を落札する傾向があり、一方で一般電気事業者は負荷率が高く平均単価が低い需要を落札する傾向が見られた。
新電力の電力調達状況
新電力の電力調達状況は以下の通りである(2012年9月〜2016年12月)。
- JEPX及び常時バックアップ契約が新電力の供給力半量を占めている。
調達量と比率
| 調達源 | 調達量 | 比率 |
|---|
| 相対・自社電源等による調達量 | (数値無し) | (数値無し) |
| 常時バックアップによる調達量 | (数値無し) | 18.4% (2016年12月) |
| JEPXからの調達量 | (数値無し) | 34.0% (2016年12月) |
検討方針
- 旧一般電気事業者と新電力間の競争の適正性を実際のコストを比較することで確認することを提案している。
今後の進め方
次回以降の議論では、以下の項目を確認する予定である。
- 旧一般電気事業者の社内取引のコスト水準と常時バックアップのコスト水準の対比
- 新電力の調達原価の水準に関する比較
競争的市場構造の実現に向けた方向性
今後の施策検討として以下の視点が提唱されている。
- 短期取引所の流動性獲得
- 卸電力市場全体の価格指標性の確保
- リスク管理手法の高度化及び取引手法の多様性確保
- 新規参入者への事業機会の提供
これらの施策は、競争的市場構造の実現に向けた重要な方向性である。
今後の予定
グロスビディングの実施により取引の透明性が向上することが期待されるが、依然として課題が残されている。今後も卸電力市場の活性化に向けての進捗を見守り、透明性の確保や競争的市場構造の実現に向けた対応方策を検討する必要がある。