文書の位置付け・対象
本資料は、電力広域的運営推進機関が2024年9月4日に公表した「容量市場 長期脱炭素電源オークション募集要綱」で、2024年度応札の募集要件、登録・応札手続、落札・約定方法、契約条件を示す。対象は沖縄地域およびその他地域の離島を除く全国。容量確保契約約款の規定が本要綱に優先する。本文に過年度からの改定点の説明はない。
募集要件・参加対象(第3章2)
- 脱炭素電源の募集量は500万kW。内数の募集上限は、既設火力改修100万kW、運転継続時間3時間以上6時間未満および6時間以上の揚水式水力・蓄電池が各75万kW、既設原子力の安全対策投資200万kW。LNG専焼火力の募集量は2,243,680kW。
- 制度適用期間は原則20年間で、容量収入の始期は供給力提供開始年度の翌年度。ただし、提供開始年度が2025年度以前なら2027年度始期。1年単位で20年を超える期間も希望できる。
- 応札できるのは、電源を維持・運用する一義的な責任と権限を持ち、応札意思のある国内法人。設備所有は必須ではなく、該当者が複数の場合は代表者が応札する。落札後速やかな国内法人設立を前提とする一定のコンソーシアムも対象で、代表企業が応札する。
- 対象電源は原則、設備投資を要し、応札時点で供給力提供開始前の安定電源または変動電源。既設原子力の安全対策投資は新規制基準導入後初めて再稼働する前、既設火力改修は改修後の供給力提供開始前が対象時点。参加可能容量は所内消費、自家消費、自己託送、特定供給、特定送配電事業者利用分、FIT/FIP対象分などを控除して算定する。
- 電源区分ごとに容量・技術要件がある。例として、一定の火力・原子力・地熱・バイオマス新設等は原則10万kW以上、水力・蓄電池等は区分により3万kW以上、既設火力の水素・アンモニア混焼改修は新たに生じる容量が原則5万kW以上。燃料混焼率、運転継続時間、改修範囲等の詳細は第3章2(5)による。
- LNG専焼火力は、LNGのみを燃料とする新設・リプレースで、参加可能容量が原則10万kW以上の安定電源が対象。脱炭素化ロードマップが必要。
- 火力(水素・アンモニア混焼、水素専焼を含むが既設火力改修を除く)、揚水式水力、蓄電池には調整機能の具備と制度適用期間中の維持が必要。火力は系統連系技術要件、揚水式水力・蓄電池はGF・LFC・EDC等の要件を満たす。一定の設備規模・回線条件では簡易指令システムを認め、LFCを必須としない例外がある。
- 参加不可の例は、既にメイン・追加オークションで落札された電源、FIT/FIP適用電源、本機関の電源入札で落札した電源、専ら自家消費等に供する電源、制度適用期間中に発電量調整供給契約がない電源など。ただし、既設火力の後年の脱炭素改修、2022年11月のメインオークションで初めて落札した電源、FIT/FIP対象外の供給力、自家消費等に必要な分を超えて供給できる容量などには個別例外がある。
- 上限価格は電源種・投資区分別で、これ以下で応札する。例は新設の多くが10万円/kW/年、LNG専焼火力が38,014円/kW/年。揚水式水力・蓄電池、地熱リプレース等はエリア・方式別価格、既設火力改修は燃料費固定部分等を除く価格条件がある(第3章2(6))。
- 応札単位は電源(ユニット・号機)ごと、容量は1kW単位。同一場所の複数電源や、燃料基地等の主要共用設備を持つ異なる場所の電源は、条件を付けて同時落札を求められる場合がある。リクワイアメント確認用の特定計量器は原則電源ごとに必要だが、既設計器等で確認できれば追加設置は不要。
登録・応札手続と期限(第3章1、第4章、第5章)
参加登録・応札は容量市場システムで行う。事業者コードとクライアント証明書が未取得なら、事業者情報登録前に取得する。登録順は事業者情報、電源等情報、期待容量であり、後段は前段の登録完了後に行う。同一電源の重複登録はできない。
2024年度応札の主な日程は次のとおり。不測の事態により変更される可能性がある。
- 事業者情報登録受付:2024年10月15日~18日、審査:10月15日~23日。
- 電源等情報登録受付:2024年10月21日~25日、審査:10月28日~12月3日。
- 期待容量登録受付:2024年12月4日~10日、審査:12月11日~27日。
- 応札受付:2025年1月20日~27日。
- 応札容量算定に用いた期待容量等算定諸元一覧の提出:2025年1月28日~2月4日。
- 水力・蓄電池は、登録時に準備できない接続検討回答書を2024年11月28日まで提出できる。蓄電池の広域認定証憑が未準備の場合、環境省の申請受理を示す書類を先に出し、証憑を2025年1月9日までに提出する。
事業者情報では事業者・連絡先・銀行口座・コード・証明書等を登録し、様式1の誓約書を提出する。既提出の場合は再提出不要で、過去のメイン・追加オークションに伴う提出も本オークションに有効。電源等情報では制度適用期間中に想定される情報を登録し、様式2の事業計画書を提出する。バイオマスは様式3、蓄電池は様式4、水素専焼(グレー水素)、水素・アンモニア混焼、既設火力のバイオマス改修、LNG専焼火力は様式5のロードマップも必要。実施能力・継続性を確認できない場合やロードマップが不適切な場合などは応札不可となり得る。接続検討回答書等の必要書類が期限までに提出されない場合も応札不可となることがある。
期待容量は電源ごとに算定してkW単位で登録し、様式6の算定諸元一覧を提出する。調整係数は応札年度の公表値を制度適用期間に適用し、実需給年度ごとには変更しない。登録後に変更が判明した場合は速やかに再提出する。提示された様式の登録期間は期待容量が2024年12月2日~6日、応札容量算定用一覧が2025年1月28日~2月4日であり、本文中の主日程にある期待容量登録受付(12月4日~10日)とは日付が異なる。制度適用期間は20年以上を登録する。
応札情報は期待容量の範囲内で、容量(kW)と価格(税抜、円/kW/年)を登録する。封印入札で価格は1円単位。受付期間内は変更・取消ができるが、終了後は原則できない。応札後、指定期限までに応札内容を加えた様式6を提出する。不備が期限までに解消されなければ応札不可となることがある。価格は電力・ガス取引監視等委員会の監視対象で、過年度に非落札だった電源も算定根拠・証憑を再提出して説明する。認められない費用が含まれる場合、価格修正または応札取下げが必要。
落札・約定・公表(第6章)
脱炭素電源、LNG専焼火力とも、原則として低価格順に募集量まで選ぶ。募集量を跨ぐ限界電源は、落札時の超過量が非落札時の不足量の10倍以下なら落札、超過すれば非落札。脱炭素電源では既設火力改修、所定の揚水式水力・蓄電池、既設原子力安全対策投資に募集上限があり、募集上限内の選定と募集量選定を段階的に行う。募集量確保のため上限超過で落札する場合があるが、揚水式水力・蓄電池の各区分では募集上限の2倍を跨ぐ電源以下に限る。同時落札条件の対象は、ひも付く全電源が落札されない限り全て非落札。同価格時の容量超過が最小となる組合せや、なお複数の場合のランダム決定等も定める。
約定価格は各落札電源の応札価格とするマルチプライス方式。結果は応札受付終了から3か月後を目途に、応札年度の翌年度に公表するが、監視状況等で前後する。公表情報は電源区分別の総容量・総額、落札電源ごとの事業者名・案件名・電源種・容量等を含む。脱炭素化ロードマップは結果公表から3か月後を目途に公表する。応札登録を契約申込みとみなし、約定結果公表日に契約が成立する。落札後に必要情報を提出しないなど市場運営に支障をきたす場合は契約解除となることがあり、落札電源は原則供給計画に計上する。
契約金額・退出・運用(第7章の提示範囲)
年間契約金額は電源ごとの契約単価と契約容量を基準に算定し、詳細式は容量確保契約約款第6条による。応札価格に織り込んだ系統接続費より精算額が低い場合は差額分だけ支払額を修正する。実際の工事費負担金が最新見積額等を超え、経済性悪化で退出する場合は不可抗力事由として扱い、市場退出ペナルティを科さない。
アンモニア・水素火力が価格差支援制度または拠点整備支援制度を使う場合、応札前に適用決定済みなら支援額を控除する。未決定なら支援予想額を控除し、契約後3年以内に希望制度が適用されない場合、または支援額が予想を下回った場合に、その事由で退出するときは不可抗力として退出ペナルティを科さない。支援額が予想を上回る場合の記述は本文が途中で終わっているため、取扱いは確定できない。支援額と予想額の差、または控除せず応札後に適用が決まった場合の支払額修正は約款第6条による。落札後3年以内に支援適用が決まった場合は、決定時点から供給力提供開始期限を設定する。制度適用期間開始前までに系統接続費精算額と支援額が確定した段階で、根拠証憑を速やかに提出する。新設・リプレース火力の追加脱炭素改修に伴う再応札で制度適用期間が重なる場合や混焼設備を専焼化する建て替えの契約取扱いも約款第6条による。
契約容量の全部・一部の市場退出基準・契約上の扱いは約款第11条、経済的ペナルティ算定は第12条による。本機関は算定額を通知し、異議申立てがあれば確認後、変更の有無と変更後の額を通知する。リクワイアメント、情報提供、アセスメント、ペナルティは、制度適用期間前(約款第13~15条)、対象実需給年度前(第16~18条)、対象実需給年度(第19~21条、年間・月間上限は第25条)、その他(第22~24条)の区分で定められる。重大な違反行為があれば第33条により契約解除となることがある。
毎月の支払・請求額は月次契約金額から経済的ペナルティおよび契約解除ペナルティを差し引いて算定する。正額は本機関から事業者への支払、負額は事業者への請求となり、振込手数料は事業者負担。他市場収益(実収入-実可変費)の約9割を本機関へ還付し、詳細は約款第28条による。消費税等は外税で、ペナルティ・他市場収益還付控除後が課税対象だが、それらの合算額が契約金額を超える部分は不課税。
電源等差替は約款第10条の特例に該当する場合のみ可能。戦争、大規模自然災害、契約後の法令改正・規制適用等による停止で供給力提供が困難な場合、例外的に経済的ペナルティを適用しないことがある。誓約違反、虚偽情報、容量市場運営に重大な問題を生じさせる行為があれば契約解除できる。対象となる地熱・太陽光・陸上風力・洋上風力・バイオマスの落札事業者にはFIT/FIP制度上の事業規律確保を求める。太陽光設備の廃棄等費用は制度適用期間終了の10年前から、1.0万円/kW×発電端設備容量を月次120分の1ずつ、利息なしで積み立てる。
制度適用期間中、本オークションの参加可能設備容量(送電端)はメイン・追加オークションに参加できない。ただし、増出力や自己託送廃止等による参加可能容量の増加分、既設火力改修で新規投資により生じる脱炭素化容量以外の部分は参加可能。また、当該容量は供給力提供開始年度に限り参加できる。
様式・提出資料(42~58頁)
様式1は誓約書で、要綱等の遵守、正確な情報提出、公正を害する行為の禁止、応札を契約申込みとみなすこと、落札後の契約締結、情報提供・調査協力、個人情報の取扱い、反社会的勢力との関係がないこと等を誓約する。様式2は事業計画書で、事業者・電源属性、所有者、出力、系統接続、事業実施、資金調達、補助金等を記載する。受付後の変更について計画書の更新・再提出は不要。環境影響評価方法書手続の開始を示す書類を提出時に添付できない場合は、落札結果公表後5か月以内に提出し、提出できないと契約解除となる。補助金は計画書提出時に適用決定済みなら記載・証明書添付。
資金調達計画では総額、自己資本、借入形式・金融機関等を記載する。プロジェクトファイナンスの場合は融資実績書類と金融機関の関心表明書またはコミットメントレターを添付する。それ以外は、自己資金の社内手続または外部資金の調達方法・検討状況・今後の手続を記した事業者名義の誓約書を添付する。審査合格後の変更は更新・再提出不要。
様式3はバイオマス燃料調達計画で、全燃料の種類・区分、年間使用量、調達先・地域を記載する。変更時は速やかに変更計画を提出し、国内森林由来木質バイオマスの変更は事前に都道府県・森林管理局と調整する。燃料に応じて安定調達、証明、合法性・持続可能性、ライフサイクルGHG等の書類を添付し、国内森林由来木質バイオマスでは調整記録、最新計画、調整完了通知書も提出する。
様式4は蓄電池事業計画で、登録時に導入可能性が最も高い蓄電池を記載する。登録内容(1~8)に変更があれば落札後に再提出し、審査合格までは変更不可。未提出、空欄、不十分な記載は応札不可。メーカー・型番・見積、安全設計、電池種別に応じた認証・類焼安全性、該当時の過去10年間の事故件数、公衆安全、セキュリティ、地元説明、広域認定、廃棄委託先・メーカー誓約、異常時の復旧・部品供給体制等を記載・提出する。広域認定未取得時は登録期間中に環境省の受理確認書類を出し、2025年1月9日までに認定取得書類を提出する。
様式5の脱炭素化ロードマップには、建設・環境アセス期間、脱炭素技術・比率と運転開始時期、追加改修投資に係る落札時期、燃料種類・由来区分、前提条件を最低限記載する。様式6は期待容量等算定諸元一覧。火力・水力・原子力・地熱・バイオマス等は識別番号、区分、電源種、エリア、参加可能容量、月別供給力等を登録し、期待容量・応札容量は自動計算される。期待容量が応札容量の上限で、追加投資がなければ登録した月別供給力がアセスメント対象容量となる。揚水・蓄電池は月別発電可能電力・連続時間、管理容量等を登録し、応札容量用の上池・蓄電池容量は同月の期待容量算定用値以下とする。太陽光・風力・流込式水力は変動電源として登録し、月別供給力は参加可能設備容量(送電端)を上限に記載した値がアセスメント対象容量となる。