レベニューキャップ制度に関する2023年度評価資料
資料の目的・背景
本資料は、レベニューキャップ制度における2023年度の事業収入全体の見通し、前提計画、費用計画を整理し、料金制度専門学会合での議論と審議を目的としている。本資料では、事業収入の評価、費用計画の実績、及び課題などについて詳細に示す。
主要な検討内容・論点
本日議論する主な事項は以下の通りである。
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事業収入全体の見通し
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費用計画
- OPEX(運営費用)
- その他の費用
- 控除収益
- 制御不能費用
- 事後検証費用
- CAPEX(資本的支出)や次世代投資費用は次回以降報告予定
期中評価の実施目的
期中評価の目的は以下の通りである。
- 料金下げ等の必要性が認められた場合、速やかに収入の見通しや託送供給約款を変更する必要があると定められている。
- 各事業者が5年間の事業計画を着実に実行しているかどうかのフォローアップ。
具体的には以下の観点から計画の実施状況を確認する必要がある:
- 計画的な実施
- 必要な投資の確保
- コスト効率化
- 事後調整の予見性
- 第2規制期間に向けた課題検討
課題および重要な数値・データ
1. 事業収入全体の見通し
- 全10事業者が2023年度の実績収入が想定収入を下回る結果となった。
- 指針で規定された料金下げ基準に該当する事業者はいなかった。
| 事業者 | 想定収入 | 実績収入 | 乖離幅 | 乖離率 | 主な乖離要因 |
|---|
| 北海道NW | 1,995 | 1,946 | 49 | 2.5% | 低圧の節電、省エネ影響による減 |
| 東北NW | 4,833 | 4,777 | 57 | 1.2% | 高圧の産業用需要減による収入減 |
| 東京PG | 14,803 | 14,606 | 196 | 1.3% | 節電、省エネ影響や生産水準の低下 |
| 中部PG | 6,378 | 6,280 | 98 | 1.5% | 高圧の需要減による収入減 |
| 北陸送配電 | 1,479 | 1,470 | 9 | 0.6% | 産業用の生産減による需要減 |
| 関西送配電 | 7,208 | 7,100 | 109 | 1.5% | テレワーク、節電の影響による収入減 |
| 中国NW | 3,172 | 3,048 | 124 | 3.9% | 節電の影響による需要減 |
| 四国送配電 | 1,585 | 1,570 | 15 | 1.0% | 節電、省エネ影響による需要減 |
| 九州送配電 | 5,005 | 4,979 | 26 | 0.5% | 節電の影響による需要減 |
| 沖縄電力 | 683 | 668 | 14 | 2.1% | 節電、省エネ影響による需要減 |
2. 費用計画
- 費用計画の合計において、実績額が承認額を上回る事業者が3社であった。
| 事業者 | 直近承認額 | 実績額 | 乖離値 | 乖離率 | 主な乖離費用区分 |
|---|
| 北海道NW | 1,976 | 1,983 | +8 | +0.4% | 制御不能費用およびCAPEXの影響 |
| 東北NW | 4,545 | 4,543 | +2 | 0.0% | その他費用及び制御不能費用の影響 |
| 東京PG | 14,178 | 14,166 | +12 | 0.1% | 制御不能費用およびOPEXの影響 |
| 中部PG | 6,051 | 5,947 | -104 | 1.7% | 事後検証費用の減少 |
3. OPEX実績の概要
OPEX合計と内訳
2023年度のOPEX合計額と内訳は以下のとおりである。
| 事業者 | OPEX合計額 (億円) | 人件費社内 (%) | その他OPEX (%) |
|---|
| 北海道 NW | 518 | 53.1 | 46.9 |
| 東北 NW | 1,206 | 61.7 | 38.3 |
| 東京 PG | 3,251 | 44.1 | 55.9 |
| 中部 PG | 1,765 | 56.7 | 43.3 |
| 北陸送配電 | 367 | 51.4 | 48.6 |
| 関西送配電 | 1,716 | 56.0 | 44.0 |
| 中国 NW | 798 | 57.6 | 42.4 |
| 四国送配電 | 385 | 61.2 | 38.8 |
| 九州送配電 | 1,276 | 34.3 | 65.7 |
| 沖縄電力 | 144 | 54.4 | 45.6 |
主な内訳の詳細
- 人件費社内: 各事業者における人件費がOPEXに占める割合。
- その他OPEX: 委託費、修繕費、諸費などの種類で構成される。
4. 労務費単価等要因の影響
各事業者における労務費の単価上昇などがOPEXにどのように影響しているかは以下の通りである。
| 事業者 | 外生的な要因 | 労務費単価要因 | 主な費目/項目 | 算定根拠 |
|---|
| 北海道 NW | +0.7 | +0.6 | 委託費 | 単価上昇率44.6% |
| 東北 NW | +5.8 | +1.8 | 修繕費 | 労務費上昇分8.1% |
| 東京 PG | +23.5 | +12.2 | 委託費 | 労務費上昇率0.74% |
| 中部 PG | +1.0 | +0.8 | 修繕費 | 単価上昇額292円/工量 |
その他費用の概要
- その他費用には修繕費や委託費が含まれ、各事業者ごとの承認額と実績額を比較し、乖離要因を評価した。
- 各事業者の状況を基に、増加及び減少要因が特定された。
電力事業者の控除収益と制御不能費用の分析
1. 控除収益の状況
各事業者の控除収益に関して、直近承認額と実績額を比較した結果は以下の通りである。
| 事業者 | ① 直近承認額 | ② 実績額 | ③ 乖離値 (②-①) | 事業間精算収益 | 乖離要因の分解 |
|---|
| 北海道NW | 66 | 64 | +2 | +8 | 電気事業雑収益の増加、振替供給電力量の減少 |
| 東北NW | 269 | 265 | +5 | +8 | 電気事業雑収益 +10、補償金工事益減 +9 |
| 東京PG | 715 | 666 | +49 | +45 | 電気事業雑収益 +29、臨時工事費の減 +3 |
| 中部PG | 266 | 300 | +34 | +34 | 託送収益が増加 |
| 北陸送配電 | 59 | 55 | +3 | +5 | 電気事業雑収益および契約超過金の増加 |
| 関西送配電 | 308 | 331 | +22 | +30 | 電気事業雑収益の増加 |
| 中国NW | 138 | 161 | +23 | +7 | 電気事業雑収益の増加、供給雑収共架料工事補償金の増加 |
| 四国送配電 | 82 | 103 | +22 | +26 | 託送収益が増加 |
| 九州送配電 | 173 | 164 | +9 | +7 | 電気事業雑収益の減少 |
| 沖縄電力 | 9 | 6 | +3 | - | 電気事業雑収益の減少 |
2. 制御不能費用の状況
制御不能費用についても、承認額と実績額を比較した結果、以下のことが確認された。
| 事業者 | ① 直近承認額 | ② 実績額 | ③ 乖離値 (②-①) | 調整力確保費用 | その他の乖離要因 |
|---|
| 北海道NW | 556 | 614 | +59 | +16 | マストラン運転の増加による調整力確保費用の増加 |
| 東京PG | 5,474 | 5,260 | -214 | +353 | 最終保障供給対応の収支改善 |
制御不能費用の内訳
2023年度の制御不能費用実績の主な内訳およびその割合は以下の通りである。
| 事業者 | 制御不能費用合計額 (億円) | 主な内訳 (割合) |
|---|
| 北海道 NW | 614 | 減価償却費 44.1% |
| 東北 NW | 1,708 | 電源開発促進税 17.1% |
| 東京 PG | 5,260 | 減価償却費 40.0% |
| 中部 PG | 2,214 | 減価償却費 45.2% |
| 四国送配電 | 480 | 減価償却費 51.0% |
事後検証費用と調整力確保費用
調整力確保費用(三次調整力)
- 三次調整力①の調達費用について、全エリアで調達量の未達が発生した。
- それにより、7社では承認額が実績額を上回ったが、調達量未達によって高額商品が約定したエリアがあり、2社では承認額が実績額を下回った。
電源持替費用
- 電源持替費用は、一般送配電事業者が調整電源の出力調整を行うための費用である。
- 調整力の調達状況等により、費用が増減する。
結論
本資料は2023年度のOPEXの実績や乖離要因を示したものであり、各事業者間での比較や分析を通じて、今後の費用管理や効率化の指針となることを目的としている。引き続き、事業者の実績と計画の乖離要因を深く分析し、効果的な施策を講じる必要がある。