資料の目的・背景
この資料は、経済産業省が提出したガスの卸取引に関する競争促進についての審議資料である。内容は、第40回制度設計専門会合に関するものであり、以下の点が目的として挙げられる。
- ガス業界の競争環境の改善
- 中途解約補償料に伴う長期契約の在り方
- 需要家情報の取り扱いについての議論
主要な検討内容・論点
これまでの議論
- 第35回から38回の専門会合で、ガスの卸調達や適正取引に関するさまざまな論点を調査し、ヒアリングを通じて議論が行われてきた。
ヒアリングの結果
-
東京ガスからの指摘
- LNG取引の長期契約が下流の卸取引に当然適用されるか疑問。
- 中途解約補償料が合理的ではない水準である場合、スイッチングを阻害する可能性がある。
-
JERAからの指摘
- 旧一般ガス事業者のLNG調達実態を考慮し、適正な卸契約を検討する必要性が指摘された。
決定事項・制度変更
本会合では、以下の2点に焦点を当てて議論が求められた。
- 中途解約補償料を伴う長期契約のあり方
- 需要家情報の取り扱い
中途解約補償料に関する考え方
- 中途解約補償料は、客観的な裏付けに基づく合理的な根拠で設定されるべきであり、長期契約による競争者の取引機会への影響やリスク負担の適切性についても考慮される。
中途解約補償料の構成要素
以下が適切な中途解約補償料の構成要素である。
| 構成要素 | 説明 |
|---|
| 転売差損 | 中途解約により発生する転売差損 |
| 逸失利益 | 合理的に算出された逸失利益 |
| 原料費金利 | 原料費に関連する金利 |
| 未回収の固定費 | 未回収となる固定費用 |
契約期間に関する考え方
- 都市ガスの卸売契約の多くは、長期契約であり、契約期間が10年以上であることが一般的である。
- 一方で、卸受事業者が考える適切な契約期間は短い傾向がある。
卸元事業者の意見
| 事業者 | 意見 |
|---|
| A社 | 契約期間の長期化は市場の閉鎖性を高めるため、自制すべき |
| B社 | 短期的取引は需要の見通しを困難にするため5年契約を基本とする |
| C社 | 切り替えを狙う立場から3年が望ましい |
| D社 | 10年程度の契約を行い、違約金は規定しない |
今後の前向きな方針
- 有力な市場地位を持つ卸元事業者には、合理的な根拠がない場合は中途解約補償料を求めないことを促す。
- フォローアップ調査を行い、適切なタイミングで設定と実態を見直すことを提案する。
需要家情報の取り扱い
- 競争事業者間で顧客情報を共有することは、反競争的行為を助長する恐れがあるため、慎重な対応が求められる。
- 需要家情報の取得や共有は、合理的な理由がある場合について検討されている。
特定の需要家情報の利用場面
- ワンタッチ供給の受付や新規需要開拓など、具体的な理由が明確な場合に限り、需要家情報の取得が考慮されている。
卸売事業者の評価に関する分析
取引慣行についての評価
- 特定の需要家情報が卸売事業者に提出される事例はあるが、一般的ではない。
- 卸市場における競争の阻害要因になる可能性が指摘されている。
各卸受事業者の見解
- 卸受 A
- 個別の需要家情報を用いて卸価格を決定したことはなく、今後の情報のやりとりができなくなっても影響はない。
- 卸受 B
- 大口需要家向けに段階的な卸料金が設定されており、需給契約書が必要である。
- 卸受 C
- 卸売事業者が自エリアで小売を行う状況下で、需要家の具体名などの情報が知られることがスイッチングを促進するプレッシャーとなる。
需要家情報の共有に関する論点
現状の課題として、卸売事業者が将来の需給情報を容易に取得できることは望ましくないとの意見があり、一方で協力して需要開拓を行う例もあるため、情報の完全遮断は実業務に影響を及ぼす恐れがある。
提案される検討事項
- 特定の需要家情報の取り扱いを整理することが重要である。
- 検討すべき項目は以下の通り。
- 需要家情報の共有による新たな需要開拓や競争促進効果の期待。
- 需要家を特定可能な粒度の情報の必要性。
- 卸売事業者が小売市場との競争関係にある場合、小売市場での競争に影響を与えない措置について。
このように、各卸売事業者の見解や現在の問題点を整理して、今後の対応を考慮することが求められている。