2025年市場価格算定方法検証についての資料
資料の目的・背景
本資料は、資源エネルギー庁と電力広域的運営推進機関が、2025年の市場価格算定方法に関する検証の進め方を整理したものである。特に、価格算定の方法が市場価格に与える影響や回収漏れ費用(Uplift)について検証することを目的としている。
主要な検討内容
1. 検証Bの概要
- 検証Bでは、価格算定の方法による市場価格等への影響を検証し、起動費や最低出力費用に関連する回収漏れ費用(Uplift)がどの程度発生するかを分析する。
2. 進捗報告
- 第1回本検討会は2023年8月3日に開催され、今後のスケジュールに関する議論が行われた。複数回にわたり検証状況の進捗報告が実施され、第11回および第12回本検討会にて中間取りまとめが報告された。
今後検証が必要と考えられる論点
以下の論点について、今後の検証が必要である。
- 地内混雑発生時のkWh市場価格
- 各課題を考慮したΔkW市場価格
- 約定電源(青)と約定価格(黄)の相互関係性
- 今後の検証全体像
検証Bの位置づけ
検証Bは、同時市場の仕組みの具体化や実現性・妥当性に関するディスカッションを行うものであり、以下の目的で実施されている。
目的
- 同時市場の仕組みの具体化
- 価格算定方法による市場価格等への影響を検証
検証内容
- 検証A: 電源起動・出力分のロジック検証
- 検証B: 価格算定の方法による市場価格の平均値等の計測・比較
- 検証C: 事業者への影響
- 検証D: 関係法令等との整理
これまでの検証結果
検証Bにおいては、以下の項目が実施された。
| 検証項目 | 内容 |
|---|
| kWh価格 | 前日市場、時間前市場、インバランス価格の検証 |
| ΔkW価格 | 約定量に応じた約定価格の変化分析 |
| 回収漏れ費用の補填 (Uplift) | 起動費等の回収漏れ状況の変動解析 |
まとめと今後の検証の進め方
現時点では、ΔkW約定のタイミングや価格決定方法など、さらに詳細な検証が必要な論点がいくつか存在する。今後の検証では、以下の内容を重点的に議論・検証することが求められている。
- 地内混雑時の市場価格決定方法
- Upliftの規模感の算定
- 約定価格の計算方法や費用の回収方法
これにより、同時市場における市場価格の透明性と信頼性の向上を目指す。
海外における混雑管理と市場価格の動向
1. 混雑管理の市場主導型の構成要素
北米における市場主導型の混雑管理は、以下の2つの要素から構成される。
- スケジューリング & ディスパッチ(SCUC・SCED): 市場統合によるCentral Dispatchと混雑管理を考慮した同時最適化
- ノーダルプライシング(LMP): 混雑を市場価格に反映させる仕組み
2. 海外の価格シグナルの考え方
市場価格の仕組みは、以下の3つの考え方が存在する。
- 米国ISO型: LMPを用いて価格精算を行う。
- カナダIESO型: シャドウプライスの計算は行うが、市場価格には反映しない。
- 欧州アイルランド型: LMPおよびシャドウプライスのいずれも導入していない。
3. 主要な比較表
| No. | 機能の切り分け | 機能の内容 | 対応する機能 | 米国ISO型 | カナダIESO型 | 欧州アイルランド型 |
|---|
| 1 | スケジューリング & ディスパッチ | 市場統合によるSCUCの混雑管理 | SCUC | 発電単位でのスケジュール(混雑管理含む) | 発電単位でのディスパッチ(混雑管理含む) | 発電単位でのスケジュール |
| 2 | スケジューリング & ディスパッチ | 市場統合によるSCEDの混雑管理 | SCED | LMPの計算を行い精算に用いる | シャドウプライス計算は行うが市場反映なし | LMPおよびシャドウプライス共に導入せず |
| 3 | 価格シグナル精算 | ノーダルプライシングによる価格反映 | LMP/Shadow Price | LMPの計算を行い精算に用いる | シャドウプライス計算は行うが市場反映なし | LMPおよびシャドウプライス共に導入せず |
4. 日本市場に向けた調査計画
- 日本の同時市場における地内混雑時の市場価格に関する調査が行われる。調査日程は、2024年10月9日(PJM)および2024年11月21日〜24日(IESO)である。調査項目は以下の通り。
- 需要側の入札・精算方法
- 市場の約定価格
- 小規模リソースの取り扱い
- 送電ロスの取り扱い
5. PJM及びIESOの概要
5.1 PJM(PJM Interconnection)
- 米国のISO/RTOであり、最大需要は14,793万kWであり、再エネ比率は約**10%**である。
5.2 IESO(Independent Electricity System Operator)
- カナダのISOであり、最大需要は2,701万kWで、原子力・水力が約**80%**を供給している。
6. 地内混雑時の市場価格決定(PJM)
- 市場主導型が導入されており、系統制約を考慮した後、ノード単位のLMPが算出される。
7. 地内混雑時の市場価格決定(IESO)
- Two-schedule systemを採用し、系統制約を考慮したSCUC・SCEDを行っている。
8. 今後の市場制度の動向(IESO)
- 2025年にTwo-schedule systemを廃止し、Single-schedule system(LMP)への移行が予定されている。
資料の目的(再掲)
本資料は、電力市場における**ΔkW(デカワット)**価格決定の議論と、それに関する意見、試算結果を整理したものである。特に、kWhとΔkWのコスト配分や機会費用に関する検討が中心に取り上げられている。
重要な検討内容・論点
ΔkWの機会費用の扱い
- 山本オブザーバーは、同時市場における電源起動がkWhとΔkWの両方のために動かされる可能性があることを指摘し、費用負担についての議論を呼び掛けた。
- 金本座長は、起動費用がkWh市場とΔkW市場で共通であるため、ΔkW市場に特有の要素についての明確化が必要であると述べた。
ΔkW約定量特定の必要性
- kWhとΔkWの同時最適化において、ΔkWの確保制約は不等式条件(ΣΔkW供出量≧ΔkW必要量)となり、余力がΔkW必要量を上回る場合は、約定量の割り当てと価格算定が重要とされている。
価格サンプル
以下の表は、kWhのみの算定結果と同時最適化の結果を示している。
| 計算種別 | 需要 | ΔkW必要量 | 余力 | kWh約定価格 |
|---|
| kWhのみ | 400 | - | - | 4円/kWh |
| 同時最適化 | 400 | 30 | 100 | 4円/kWh |
ΔkW特定方法の改善案
これまでの特定方法(例Ⅲ〜例IV)
-
例Ⅲ: ΔkW供出可能量を全て約定量として扱う方法
- 役割: 逸失利益の取り漏れを防止する観点からの検討が求められている。
-
例IV: ハイブリッド精算方式
- 機会費用をマルチプライス精算に適用し、シングルプライス精算に逸失利益を反映させる方法である。
| ΔkW特定方法 | ΔkW価格平均 | 年間取引総額 |
|---|
| 例 I (安価順) | 4.5 | 高額 |
| 例 II (高額順) | 0.30 | 低額 |
| 例 III (すべて約定) | 2.8 | 中程度 |
| 例 IV (ハイブリッド) | 0.64 | 高額 |
検証と今後の予定
今後は、ΔkW価格とUpliftの規模感を定量評価し、従来の試算と比較して特徴を洗い出すことが予定されている。また、機会費用の取り扱いについて、過去の問題点を踏まえてケーススタディを行うことが示唆されている。
重要な前提条件
- 燃料費や最低出力費用の取り扱いは基本試算ケースを元に行う。
- Upliftの算定期間は、米国市場を参考に1日単位で行うことを考慮する。
米PJMにおけるスケジューリングプロセス
スケジューリングプロセスの概要
米PJMのスケジューリングプロセスは、以下の3つの段階に分かれている。
- 前日市場
- RAC(Reliability Assessment and Commitment)
- リアルタイムオペレーション
各段階の目的
- 前日市場: 入札需要に基づいてスケジューリングが行われ、最もコスト効率の良い発電ミックスを確保する。
- RAC: PJMの需要予測を満たすために追加のリソースがスケジューリングされ、SCUCに相当する。
- リアルタイムオペレーション: 潜在的な送電制約に対処するためのスケジューリングが行われる。
電源起動と価格算定の関係性
- 米PJMにおける前日市場での決定は、小売入札需要に基づく電源起動および価格算定を実施しており、その詳細が説明されている。
結論
本資料では、2025年の市場価格算定方法に関する検証の進め方、海外における混雑管理の事例、ΔkW価格決定に関する議論などを包括的にまとめている。これにより、今後の市場制度の改善に向けた示唆が得られることが期待される。