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北海道本州間連系設備の工事費増額――中間検証でどこまで分かったか

北海道本州間連系設備の30万kW増強で、交直変換設備の物価上昇を理由に北海道電力ネットワークが工事費増額の中間検証を求めた。9月時点では検証の開始が確認できる一方、増額幅の妥当性や最終的な費用負担は決まっていない。系統投資を評価する側は、元の概算額、申告された増額、検証結果を別の時点で追う必要がある。12
3 件参照

この記事でわかること

  • 北海道本州間の30万kW増強で、どの費用が検証対象になったか
  • 中間検証の開始と増額の承認をどう区別すべきか
  • 別の日本海ルート計画と混ぜずに、何を監視すべきか

2026年9月は増額の報告段階だった

北海道電力ネットワークは2026年7月、交直変換設備の価格上昇を理由に、北海道本州間連系設備の広域系統整備計画について工事費増額の中間検証を依頼した。9月15日の計画評価及び検証小委員会では増額内容が説明され、9月28日の広域系統整備委員会へ中間検証の実施を報告する流れになった。後者の資料も事務局が内容を確認中とし、合理性・妥当性の結論を示していない。12

計画の増強規模は、北海道本州間の連系容量を90万kWから120万kWへ30万kW増やすもの。資料にある元の概算額は総額1,014億円で、工事費479億円、運転維持費535億円に分かれ、工事完了予定は2027年度末とされる。これらは増額検証より前に示された計画の規模であり、「今回1,014億円増える」という意味ではない。今回の具体的な増額幅は、9月の資料から読み取れない。1

個別工事件名の概算工事費、変動額、契約完了比率を示す表に数字が入っていないため、北海道NWの増額分を総額や他社分へ割り当てることもできない。概算額から増額の上限を推定したり、交直変換設備の価格指数を一律に掛けて新総額を作るのは根拠を欠く。投資モデルでは「増額幅未公表」の変数として感度を置くのが妥当だ。2

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中間検証では物価上昇の根拠を複数の指標で見る

広域系統整備計画のガイドラインでは、工事費の物価上昇実績は最終検証で確認するのが基本だが、事業実施主体は中間検証を求められる。今回のように調達価格や工事費の増加が見込まれる場合、建設資材価格指数・労務費指数など、費目に合う複数の指標を使い、指標の選定理由、算定期間、算定方法の妥当性を示す必要がある。単一の全国物価指数が上がったことだけで、特定の交直変換設備の増額を認定する仕組みではない。12

検証の流れは、事業者による資料提出、事務局の確認、検証小委員会での審議、広域系統整備委員会への報告である。9月資料が示すのは途中の段階で、検証結果そのものではない。増額が合理的と認められるか、いくらが対象になるか、その後のレベニューキャップ第2規制期間でどう扱われるかは別の確認を要する。資金調達のために早めに見通しを作ることと、費用回収の確定を同じ状態へ置かない。2

物価要因と工程変更も分ける。交直変換設備の価格上昇が今回の説明の中心でも、実際のプロジェクト総額は契約締結時期、工法、設計、施工遅延、運転維持費で動き得る。各項目を同じインフレ率で伸ばす試算は、費用増の所在を見失う。中間検証の結果が出たら、認められた費目と期間を元の計画費用に対応させる。

「北海道本州間」と「日本海ルート」は別の計画

同じ北海道と本州を結ぶ話題でも、北海道本州間連系設備の30万kW増強と、北海道・秋田・新潟を結ぶ日本海ルートの200万kW級直流計画は別の広域系統整備計画である。後者の2026年6月資料は有資格事業者による実施案の予備評価を扱い、工事費・工期だけでなく、プロジェクトファイナンスを前提とした総事業費や資金調達方法も検討中とする。後者の費用・金利・工期の論点を、前者の交直変換設備の増額として合算してはいけない。3

ニュース見出しや社内資料で「北本の増額」とだけ書くと、どちらの設備計画か分からなくなる。計画名、増強容量、ルート、実施主体、事業段階を一行に併記する。今回の中間検証は2027年度末完了予定の30万kW増強であり、日本海ルートの予備評価は別の計画の総事業費検討だ。23

投資評価では三つの日付で費用を更新する

第1の日付は、元の広域系統整備計画で概算額と工期が定まった時点。第2は、事業者が増額を報告し中間検証を依頼した時点。第3は、指標・費目・算定期間が検証され、結果が公表される時点だ。この三つを同じ「承認済み工事費」として扱わなければ、未確定額を確定キャッシュフローへ紛れ込ませずに済む。1

資金調達モデルには、物価上昇が認められる場合と一部しか認められない場合、費用回収が遅れる場合を分けて置く。運開予定の変更がないことと、費用の合理性が確認されたことも別だ。後続の進捗報告で2027年度末の工期と変換設備の施工が維持されているかを追う。2

社内の投資メモには、費用の数字ごとに「元の概算」「事業者が増額を申し出た額」「検証で妥当と認められた額」「規制収入へ反映された額」の欄を作る。現時点で後ろ三つの数字が空欄なら、ゼロ円ではなく未公表・未決定と記す。こうしておけば、工事が進んでいる事実と費用回収が確定したという判断を切り離せる。金利や部材価格の感度分析は、増額が認められないケースも含め、正式な検証結果で更新する。また日本海ルートの予備評価は別行に置き、両計画の投資額や容量を足して今回の事業費として示さない。

判断項目確認条件判断への示唆
計画の特定30万kW増強か日本海ルートか、実施主体同名の地域間設備を混同しない
元の費用概算1,014億円の工事費・運転維持費増額分の数字として使わない
中間検証対象費目、複数物価指数、算定期間開始を妥当性確認済みと呼ばない
回収・工程検証結果、収入上限申請、2027年度末予定費用認定と運開時期を別に追う
Key Points·立場別に見る実務ポイント

インフラ投資・調査担当者

  • 計画IDを分ける。 30万kW増強と日本海ルートを別の案件として費用・工程を管理する。
  • 未公表額は空欄にする。 物価指数による独自推計は感度として示し、検証結果と区別する。
  • 費用と回収を分ける。 中間検証の結論と第2規制期間の料金への反映を別の更新点にする。

まず行うこと

  1. 対象計画の増強容量・ルート・元の概算額を確定する。
  2. 増額対象の費目と物価指数の対応を検証結果で確認する。
  3. 工期と費用回収時期を別のシナリオで更新する。

監視する指標

  • 中間検証の結論。 妥当とされた費目・増額幅を確認する。
  • 交直変換設備の契約額。 物価指数と実調達額の差を見る。
  • 2027年度末の工事進捗。 費用と工程を別に追う。
  • 収入上限への反映。 検証結果と料金認定の差を記録する。2

参考文献

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