第30回料金審査専門会合報告書の要約
1. 資料の概要
この資料は、経済産業省が平成30年3月8日に提出した「第30回料金審査専門会合」に関するものであり、平成28年度の託送収支の事後評価に向けた内容をまとめている。
資料構成
資料は以下の構成に分かれている:
- 評価の視点の修正・追加について
- 事業者説明資料に基づく各項目の取組状況
- 平成28年度託送収支の事後評価の方向性
2. 評価に関する考え方
効率化に資する取組
- 各社の効率化に関する取組を評価するための視点を修正・追加する提案がなされている。
- 評価の基本的考え方:
- 優れた取組を他社に促すことが目的である。
- 取組の評価は、費用削減率、展開性、先進性に基づく。
評価軸
具体的な評価の確認点は以下の通りである:
- 削減率が大きい取組を高く評価する。
- 展開性・汎用性が高い取組を探求する。
調達の状況
- 各社の調達価格水準を評価し、費用削減の努力を定量的に把握することが求められている。
- 調達価格の経年変化をもとに、高評価の事業者の取組を他社に展開することが提案されている。
3. 各事業者の効率化取組状況
経営業務効率化に資する体制
各社は、経営・業務効率化に向けた体制を構築している。
| 地域 | 経営業務効率化に資する体制 | 目的 | 設置時期 | 第三者の関与例 |
|---|
| 北海道 | 経営基盤強化推進委員会 | 安定した利益を生み出せる経営体質の構築 | H29.1設置 | 委員会及び社内各本部をサポート |
| 東北 | 経営効率化推進会議 | 生産性向上 | H29.2設置 | 計測課題抽出対策立案効果検証 |
| 東京 | PGカイゼン担当会議 | 生産性向上 | H29.2設置 | 各プロジェクトにおける指導 |
| 中部 | 生産性向上検討会 | 厳しい収支状況に対処 | 設置時期不明 | - |
| 北陸 | 経営基盤強化委員会 | - | 設置時期不明 | - |
資機材調達等の効率化体制
各社は資機材調達の効率化を図るための体制も整えている。
| 地域 | 資機材調達等の効率化に資する体制 | 目的 | 設置時期 | 第三者の関与例 |
|---|
| 北海道 | 調達検討委員会 | 全社的な資機材調達コストの低減 | H24.5設置 | 良好事例を踏まえた助言 |
| 東北 | 調達改革委員会 | 収支財務性質の改善 | H25.7設置 | 外部有識者からの知見提供 |
| 東京 | 調達委員会 | 従来の調達構造の見直し | H24.11設置 | 審査助言 |
| 中部 | 調達委員会 | - | 設置時期不明 | - |
| 北陸 | 調達委員会 | - | 設置時期不明 | - |
4. 平成28年度の設備投資計画と実績
概要
平成28年度における各社の設備投資状況について、計画と実績を比較した資料である。
設備投資計画と実績の比較
| 区分 | H28計画 (a) | H28実績 (b) | 差 (b-a) | 変化率 ((b-a)/a) | 理由 |
|---|
| 北海道 送電 | 164 | 166 | 2 | 1.2% | 供給工事等の工事工程の変更や資材調達価格の低減等 |
| 北海道 変電 | 134 | 131 | 3 | 2.2% | - |
| 北海道 配電 | 148 | 130 | 18 | 12.2% | - |
| 北海道 合計 | 447 | 427 | 20 | 4.5% | - |
| 東北 送電 | 535 | 421 | 114 | 21.3% | 計画工事の内容見直し繰り延べ等による差 |
| 東北 変電 | 387 | 317 | 70 | 18.1% | 調達価格の低減による差 |
| 東北 配電 | 528 | 506 | 22 | 4.2% | - |
| 東北 合計 | 1,450 | 1,244 | 206 | 14.2% | - |
| 東京 送電 | 667 | 622 | 44 | 6.7% | 大口件名の工事内容変更、調達価格低減等 |
| 東京 変電 | 441 | 459 | 18 | 4.1% | - |
| 東京 配電 | 1,137 | 1,039 | 97 | 8.6% | - |
| 東京 合計 | 2,244 | 2,112 | 122 | 5.4% | - |
| 中部 送電 | 315 | 251 | 64 | 20.3% | 工期変更や資材契約工事実施段階での価格減等 |
| 中部 変電 | 561 | 450 | 111 | 19.8% | 工事内容の変更による増 |
| 中部 配電 | 382 | 343 | 39 | 10.2% | - |
| 中部 合計 | 1,258 | 1,043 | 214 | 17.0% | - |
| 北陸 送電 | 125 | 94 | 31 | 24.8% | 用地交渉難航等による減 |
| 北陸 変電 | 61 | 63 | 2 | 3.3% | 調達低減による減 |
| 北陸 配電 | 88 | 81 | 7 | 8.0% | 調達低減による減 |
| 北陸 合計 | 274 | 239 | 35 | 12.8% | - |
決定事項・課題
- 各社は工事の効率化及び内容・時期の精査を行い、概ね計画的に設備投資を実施している。
- 投資実績と計画の差異は地域や分野によって異なり、特に東北地区で大きな差が生じていることがわかる。
5. 研究開発に関する取り組み
案件採択・継続可否の判断基準
平成30年1月25日現在の研究開発の判断方法は、各社共通して次の要素を考慮している。
新規案件の判断基準
- 研究開発の妥当性
- 期待される効果
- 費用対効果
- リスク評価
- 実施計画及び体制の妥当性
継続案件の判断基準
- 効果の再評価
- 費用対効果の再検証
- 成果活用の具体性
研究進捗状況の評価
6. 情報セキュリティに関する取り組み
外部攻撃に対するセキュリティ体制
各社は情報セキュリティに関する責任者や担当部署を設け、以下の取り組みを行っている。
| 地域 | 責任者 | 常設担当部署 | 研修 | 訓練 | 外部教育 | その他 |
|---|
| 北海道 | 情報通信部担当役員 | 情報通信部 | eラーニング | 標的型メール攻撃予防 | 電力ISAC活動への参加 | 資格取得支援 |
| 東北 | 副社長(情報通信戦略委員会長) | 東北電力SIRT | eラーニング | 訓練 | 情報インフラ演習参加 | セキュリティ教育 |
| 東京 | 情報セキュリティ担当役員 | 専任CSIRT | セキュリティ運用教育 | 実施 | IPAサイバー教育 | 知識習得 |
| 中部 | 情報システム部 | セキュリティ統括チーム | eラーニング等 | 擬似標的型攻撃訓練 | 教育プログラム参加 | 知識習得 |
| 北陸 | 副社長(セキュリティ対策委員会委員長) | 情報通信部 | セキュリティ教育 | 資格取得支援 | 演習参加 | 知識習得 |
システムの信頼性
各社は責任者や報告体制を定め、チェック項目を設定している。
| 地域 | 開発プロジェクト責任者 | 報告監視体制 | チェック項目 |
|---|
| 北海道 | 主導部署の部長 | 経営層に報告 | 進捗管理、費用対効果等 |
| 東北 | 担当役員または部長 | 経営層に報告 | 開発管理、業務運営体制 |
| 東京 | 業務担当役員 | CIO直下のCIOオフィス | 生産性、品質管理 |
| 中部 | 主管部署総括責任者 | リスク報告体制 | 設計内容、レビュー |
| 北陸 | 主管部長 | 経営層の指示に基づく | 稼働率目的達成度 |
7. 料金審査専門会合での主な御意見
全体的な意見
- 送配電部門の費用が固定費に偏重しており、kWhの減少により費用回収が困難な状況であると認識されている。
- ただし、kWh減少によるコスト減もあり、これを算定時には注意深く観察する必要がある。
- 北海道電力の超過欠損額が**▲42億円**であったが、インバランスは含まれていないと確認された。
人件費と委託費に関する意見
- 人件費の削減は難しく、従業員のモチベーションを考慮すべきだが、送送料料金への影響も配慮されるべきである。
- 東北電力の人件費が**+120億円**、設備関連費が**+97億円**という状況で、差額の説明が求められた。
特定企業に関する意見
- 四国電力の委託費が想定原価に比べ50%増加したが、その要因について明確な説明が求められた。
8. 総括
この資料は、電力業界において効率化を図るための取組状況や評価方法について詳述している。各社は経営・業務効率化を進め、人件費削減や調達の合理化に向けた具体的な施策を実施していることが見受けられる。今後、これらの取組がどのように評価・展開されていくかが注目される。