飛騨信濃周波数変換設備に関する検討資料
本資料は、**飛騨信濃周波数変換設備(飛騨信濃FC)**の調整力広域運用に関する検討を目的としたものであり、2023年3月22日に第84回調整力及び需給バランス評価等に関する委員会で提出された。
利用状況
飛騨信濃FCの概要
- 運転開始日: 2021年3月31日
- 目的: 広域の調整力運用のため、15分ごとの調整力のやり取りを行っている。
現在の問題点
- 連系線潮流の変化頻度が想定を超えて増加しており、電圧調整のための調相設備の使用頻度が増加。
- 開閉器の開閉回数がメーカー保証値を超過する見込み。
提案された対策
- 臨時点検の必要性: 開閉器の点検に伴い、FCの停止が増加する。
- 初期対策:
- 段差制約の導入: 第29回需給調整市場検討小委員会で提案。これは開閉回数を抑制し、点検周期を延長することを目的としている。
重要な数値・データ
ファクターによる影響額試算
- 広域運用中止、段差制約あり、段差制約なしの影響額を以下に示す。
| 状況 | 年間影響額 |
|---|
| 広域運用中止 | 約138,177億円 |
| 段差制約あり | 約812億円 |
| 段差制約なし | 約3,334億円 |
調相設備の開閉頻度
- 段差制約なしの場合: 調相開閉回数は14回
- 段差制約ありの場合: 調相開閉回数が2回に抑制される。
課題・リスク
課題
- 点検と停止の増加: 開閉器の臨時点検に伴うFCの作業停止が音ウリート市場の分断や緊急時の電力融通能力の減少を引き起こす懸念。
リスク
- 需給ひっ迫時の対応: 需給ひっ迫時には段差制約を解除する必要があり、安定供給を維持する方法の検討が求められる。
今後の予定
- 恒久対策については、設備対策の要否や系統のあり方を含めて検討する予定である。
調整力必要量に関するギャップ分析
各地域における調整力必要量の状況及び再生可能エネルギー(再エネ)との比較は以下の通りである。
北海道エリア
- 調整力必要量: H3需要に対して年間平均11%
- 調整力必要量:
| 年間平均値 | 年間最小値 | 年間最大値 |
|---|
| 50万kW | 14万kW | 116万kW |
東北エリア
| 年間平均値 | 年間最小値 | 年間最大値 |
|---|
| 149万kW | 42万kW | 308万kW |
東京都エリア
| 年間平均値 | 年間最小値 | 年間最大値 |
|---|
| 361万kW | 133万kW | 732万kW |
中部エリア
| 年間平均値 | 年間最小値 | 年間最大値 |
|---|
| 193万kW | 61万kW | 517万kW |
北陸エリア
| 年間平均値 | 年間最小値 | 年間最大値 |
|---|
| 54万kW | 12万kW | 115万kW |
関西エリア
| 年間平均値 | 年間最小値 | 年間最大値 |
|---|
| 151万kW | 68万kW | 363万kW |
中国エリア
| 年間平均値 | 年間最小値 | 年間最大値 |
|---|
| 82万kW | 29万kW | 192万kW |
四国エリア
| 年間平均値 | 年間最小値 | 年間最大値 |
|---|
| 52万kW | 12万kW | 133万kW |
九州エリア
| 年間平均値 | 年間最小値 | 年間最大値 |
|---|
| 155万kW | 43万kW | 439万kW |
まとめ
各エリアにおける調整力必要量は、再エネの設備導入に大きく影響を与える。需要に対する調整力の割合が地域ごとに異なるため、適切なエネルギーの供給を確保するためには地域ごとの特性を理解し、対策を講じる必要がある。
二次調整力②の広域運用開始について
概要
2023年4月より二次調整力②の広域運用が開始され、5分ごとの調整力の広域運用が実施される予定である。これにより、広域需給調整システム(KJC)の演算間隔が5分化される。
進捗と計画
- KJCは5分間隔の演算機能を既に実装し、各社の中継システムの改修を行っている。
- 今年度下期からKJCと各社中継システムの対向試験を実施予定。
スケジュール
| 年度 | 2020年度 下期 | 2021年度 上期 | 2021年度 下期 | 2022年度 現在 | 2022年度 上期 | 2022年度 下期 |
|---|
| 広域需給調整システム改修 | | 5分間隔の演算機能を実装済み | | | | |
| 中継システム改修 | 要件定義 | 仕様検討 | 詳細設計 | システム改修試験 | 対向試験 | 3/6 切替運用試験 運用 |
恒久対策案における費用便益評価
評価結果
飛騨信濃FCの活用と恒久対策に伴う費用便益評価(B/C比)は、いずれのケースでも1を超える結果となる。
費用便益評価の数値
| 項目 | 数値 |
|---|
| イニシャル+ランニング費用 | 208〜246億円 |
| 算定対象期間 | 22年 |
| C(費用/年) | 9.45〜11.18億円 |
| B(便益) | 20.2〜30.6億円 |
| B/C(便益/コスト) | 1.81〜3.24 |
まとめ
- 飛騨信濃FCを用いた調整力の広域運用について、年間で約20億円から30億円の需給コスト低減効果が確認された。今後、電圧状況の変化やFCの運用方法の検討などにより、対策が不要になる可能性もあるため、一般送配電事業者による検討が進められることが期待される。