文書の位置づけ・対象
本資料は、電力広域的運営推進機関の業務規程第32条の5に基づく「容量市場業務マニュアル 実効性テスト編」の一部であり、対象実需給年度は2024年度です。発動指令電源の実効性テストに関する手続と容量市場システムの操作方法を扱います。提示範囲には電源等リスト登録・変更、実効性テスト前の手続、テスト・算定・再テスト、発動実績の報告・審査結果確認などが含まれますが、記載範囲を超える資料全体の結論は示されていません。
対象事業者は、①メインオークションで容量確保契約を締結済みの発動指令電源提供者、②メインオークション非落札で追加オークションに参加する事業者、③追加オークションから参加する事業者です。②・③は、2024年度向け追加オークションへの参加に先立ち提供可能容量を確定するため、2022年度の実効性テストに参加する必要があるとされています。追加オークションの開催有無は、需給状況を踏まえ2023年4月頃に判断される予定です。
全体の手続・事前条件
実効性テスト関連の手続は、電源等リストの登録・必要に応じた変更と、テスト時期の調整、テスト対応、発動実績の算定・報告・登録から構成されます。容量市場へ参加予定の事業者は、電源等リストの登録申込前に事業者情報・電源等情報・期待容量の参加登録を済ませます。未登録の場合は参加登録後、2022年2月末までに電源等リストを登録します。同年度に登録する需給調整市場・電源Ⅰ’のリストとリソースが重複しても構いませんが、それぞれの要件を満たす必要があります。
発動指令電源提供者は、2022年2月末までにオンライン機能(簡易指令システムを含む)を具備し、通信対向試験を行ったうえで、属地一般送配電事業者とのオンライン指令による性能確認試験結果を容量市場システムへ提出します。容量市場へ参加予定の事業者の提出期限は、夏季テストの場合2022年6月20日、冬季テストの場合2022年11月18日です。新たに簡易指令システムを設置する場合、需給調整市場への参加予定があれば同市場用、なければ調整力公募用を選びます。既にオンライン機能を具備し、所定のサイバーセキュリティガイドラインへの準拠書類を提出している場合、性能確認試験結果の提出は不要です。
通信対向試験で未設置と判断された場合、または機能具備の求めに応じない場合、登録した発動指令電源は全量退出となります。ただし、一般に必要な工期を踏まえて適切な時期に設置を依頼し、工事が遅れている場合に限り、締切日後でも実効性テスト前までに通信対向試験を完了すれば認められます。記録型計量器・自動検針が未対応の地点は、一般送配電事業者がプロファイリングした計量値で実績評価します。
電源等リストの登録(第2章2.1)
登録依頼は2022年1月中旬~2月中旬に、電源等情報登録済みの発動指令電源提供者(市場退出済みを除く)および容量市場へ参加予定の事業者へ登録メールアドレス宛てに送られます。対象事業者は2022年1月中旬~2月末日までにリストを提出します。
申込前に、電源または需要抑制の登録項目を確認できる書類(写し可)を準備します。電源については、電源名称、受電地点特定番号、電源種別・発電方式・設備容量などに応じ、本文に列挙された届出書、明細表、検針票、FIT認定通知等を提出します。参加登録時点でFIT買取を受けている場合はFIT認定IDを確認できる書類が必要です。2024年3月末までにFIT買取が終了する電源も2022年度のテストに参加できます。需要抑制については、需要家名・供給地点特定番号が記載された請求書や検針票等と、需要家との合意書を提出します。
書類提出期限は原則2022年2月末日です。期限内に提出できない合理的理由を本機関が認めた場合は延長されることがあります。提出はCD-R等の電磁的記録媒体を郵送して行います。本機関が登録内容を確認できると判断すれば指定書類以外で代替でき、必要に応じて追加書類を求められます。
リストは指定Excel様式で作成し、2024年度時点で想定される発動指令電源の内訳を1計量単位ごとに記載します。4MB超または内訳10,000件超の場合はファイルを分割します。ファイル名にはエリア、事業者コード、対象実需給年度、電源等識別番号、分割時の枝番、改訂回数を所定形式で記載します。新設地点で番号未発番の場合は22桁の「9」を入力し、電源の受電地点特定番号は発番後速やかにリストを変更します。バイオマス混焼のFIT・非FIT分、差分計量・按分計量、部分買取、自己託送、部分供給などは該当条件に応じた区分で登録します。部分買取では全ての相対契約を記載し、不足分の実績は評価されません。実需給期間中は予定バイオマス比率で実績評価を行わないため、実需給前までに申請した調達上限比率へ変更するとされています。
リストは容量市場システムの電源等情報管理画面からアップロードし、変更理由に「電源等リストの提出」と入力します。入力・実行後の完了画面ではまだ仮申込であり、審査タブで該当申込を検索し、内容確認後に「申込完了」を操作する必要があります。受付メールは申込受付の通知であり、審査結果は別途通知されます。
審査に不備がなければ2022年4月末日までに合格通知が送られます。不合格の場合はメール通知後、審査画面のコメントで理由を確認します。不備がある場合は2022年4月末日の10営業日前までに不合格通知が行われます。再申込する場合は不備を解消して速やかに申込みます。審査終了日の2022年4月末日までに解消されない電源等はアグリゲートリソースとして認められず、リストから除外する必要があります。他事業者リストとの重複が不合格理由の場合、契約期間が記載された合意済みエビデンス(様式自由)を再申込時に提出します。登録が完了しない場合、容量確保契約締結済みの発動指令電源は全量退出となり、未締結の発動指令電源は実効性テスト、調達オークション参加、差替契約締結ができません。
電源等リストの変更(第2章2.2)
実効性テスト前は、登録時(2022年2月末まで)に未確定だった新設電源の地点特定番号・BGコード等が確定した場合、または既設電源のBGコードがその時点から変更された場合に限り更新します。更新完了期限は夏季が5月末、冬季が10月末です。更新しない地点の発動実績はテストで評価されません。計量値を取得できない地点が発動実績報告までに判明した場合は、報告前に速やかにリストから削除します。
実効性テスト後の変更申込は、テスト後に発動実績を登録し、期待容量が評価された対象事業者が行えます。申込可能期間は2023年10月~2025年2月10日で、2023年9月末までは変更できません。実需給期間中は毎月10日が締切で、当月中に審査結果が通知されます。前月11日から当月10日までに不備なく申込みを行えば、最短で翌月1日から変更後リストが有効です(例:5月1日からの変更は遅くとも4月10日までに申込)。追加には追加対象の書類が必要で、削除には書類提出不要です。審査に不備がなければ合格、不備(他事業者リストとの重複等)があれば不合格通知が送られます。変更リストのファイル名は指定形式とし、事業者コードはシステムに入力した4桁数字、改訂回数は修正したファイルのみ変更します。
実効性テスト前の手続(第3章3.1)
対象事業者は2022年4月10日までに届く調整開始依頼をメールで確認し、同月末までに属地一般送配電事業者へ希望時期(夏季または冬季)をメールで連絡します。具体的な日付・時間帯は指定できません。調整結果は2022年6月10日までに同事業者からメール通知され、通知後速やかに容量市場システムへ実施時期を登録します。
登録時は「実効性テスト以外の発動実績の利用希望」を「無」または「有」とします。「無」なら夏季または冬季を選択し、変更理由を「実効性テストの実施時期の登録」とします。「有」なら実施時期欄を空欄にし、変更理由を「実効性テスト以外の発動実績を利用するため」とします。この時点で再テスト希望の選択は不要です。入力・実行後は仮申込なので、審査画面で内容を確認して「申込完了」まで進めます。この登録に審査はなく、完了と同時に電源等情報へ反映されます。2022年6月20日までに登録できない場合は本機関へ申し出ます。
実施時期は原則として希望に沿います。夏季実施の場合、再テスト機会は夏季1回・冬季1回、冬季実施の場合は冬季1回です。テストで発生した電力量は相対契約による供給または卸電力取引所への入札を通じて提供します。卸市場へ入札する場合はJEPX会員資格手続きと属地一般送配電事業者との発電量調整供給契約または需要抑制量調整供給契約が必要です。リソースのバランシンググループ組成に制約等はありません。
テスト実施・算定・再テスト(第3章3.2)
属地一般送配電事業者から、夏季(7月1日~9月30日)または冬季(12月1日~2月末日)の特定の6コマについて、実施指令を3時間前までにオンライン機能(簡易指令システムを含む)で受けます。指令設定時間は9時~20時(土日祝日を除く)で、テストが2日連続となる場合があります。代替実績を提出するためテストを受けない判断をした場合は、速やかに同事業者へ連絡します。指令後は各リソースから供給力を提供し、発電販売計画または需要抑制計画へ反映します。調整力としての精算はありません。
算定では各地点の発電量調整受電電力量・接続供給電力量(30分値×6コマ)と、ベースライン用の接続供給電力量(指令日前30日分)を取得します。計量値を得られない地点は報告前に速やかにリストから削除します。削除せず虚偽の実績を報告した疑いがある場合、本機関は提出情報の詳細確認を求めることがあります。
電源のベースラインは0です。需要抑制では、DR実施日を含まない直近5日間から平均需要量の多い4日(high 4 of 5)のコマ平均を仮ベースラインとし、DR実施時間の5時間前から2時間前までの6コマで当日調整値を算定します。最終値がマイナスのコマは0とします。直近5日から土日祝日、過去のDR実施日(電源Ⅰ’発動日を含む)、平均需要量が直近5日総平均の25%未満の日を除外し、4日分に足りない場合は本文注記の方法で補充します。ベースライン算定では端数処理をしません。
発動実績は電源・需要抑制ごとにコマ・地点単位で算定し、リスト全体で合算します。各コマの達成率・未達成率からリクワイアメント未達成量を求め、6コマ合計を3で除して実効性テスト未達成量(kW)を算定します。未達成率が負の場合は0です。2日連続テストの場合、未達成量は1日目、2日目、または2日間平均のいずれかを選択できます。未達成量が0なら6コマの発動実績合計を3で除してテスト後期待容量を算定します。0を超える場合は、アセスメント対象容量(容量確保契約書がない場合はテスト前登録期待容量)から未達成量を差し引きます。端数処理は本文指定の電圧区分別丸め、達成率等の桁処理、未達成量の切上げ、期待容量の切捨てに従います。
再テストを希望する場合、同時期ならテストの1週間後、別時期なら2か月後を期限として属地一般送配電事業者に希望時期を連絡し、その後速やかにシステム登録します。夏季・冬季それぞれ再テストは1回が上限です。申込後に受けない判断をした場合も速やかに連絡します。登録は「再テスト希望の登録」と変更理由に入力し、仮申込後、審査画面で申込完了します。完了と同時に情報へ反映され、審査はありません。
発動実績の報告・審査(第3章3.3、3.3.3、3.3.4)
2023年2月10日頃、市場退出済みを除く全電源等リスト登録者へ報告依頼がメール送付されます。未報告の対象事業者は2023年3月10日までに、テスト実績または条件を満たす他の発動実績を報告します。依頼前の自主報告も可能です。期限までに報告しない場合、容量確保契約締結済みの発動指令電源は全量退出となります。ただし2023年2月にテストを行い期限までに報告できない場合は本機関へ申し出ます。契約未締結の発動指令電源は調達オークション参加・差替契約締結ができなくなります。実需給年度中の報告方法・期限は別途マニュアルで案内されます。
報告は電源等リスト単位で、様式10「発動実績算定諸元一覧」(Excel)を作成し、システムにアップロードします。2日連続テストでは選択した未達成量に対応する実績を報告し、2日間平均を選ぶ場合は両日の実績等も報告します。代替実績は、対象実需給年度2024~2025年度ならテスト実施年度に発動された電源Ⅰ’実績、2026年度以降なら一般送配電事業者の発動指令への対応実績です。例として2024年度対象では2022年度の電源Ⅰ’実績が対象です。代替時はリスト内全地点が同一事業者に対する同一期間の同一指令に応じた電源等である必要があります。電源Ⅰ’実績では各リソースを確認できる契約書等の写しを提出し、元の需要抑制ベースラインがhigh 2 of 3等ならhigh 4 of 5で再算定します。
ファイル名は指定形式とし、4MB超または内訳10,000件超なら分割します。変更後期待容量等を入力し、算定諸元一覧を添付して仮申込後、審査画面で申込完了します。審査開始前に限り取り下げ可能です。テスト後期待容量が契約容量以上なら契約容量は変わらず期待容量のみ変更され、契約容量未満なら契約容量と期待容量の両方が変更されます。メインオークション登録時の期待容量と契約容量が異なる場合も同じ扱いです。
申告値と本機関算定値が一致すれば、審査結果と期待容量変更登録完了が登録メールアドレスへ通知されます(3.3.3)。本機関は登録申込の期待容量情報を変更し、「変更後期待容量」に評価容量を入力するとともに、提出されたExcelと審査結果CSVをシステムにアップロードします。不一致の場合は審査結果および期待容量変更登録の否認が通知されます(3.3.4)。理由は容量市場システムの審査タブから「期待容量審査情報管理」へ進み、該当情報の詳細にある審査コメントで確認し、3.3.2の発動実績報告を再度行います。
期待容量・不備未解消時の扱い
容量確保契約締結済みの発動指令電源は、期待容量が1,000kW未満なら全量退出となります。1,000kWを上回り、容量確保契約容量を下回る場合は差分が部分退出となります。市場退出通知後は、別マニュアル「実需給前に実施すべき業務(全般)編」第2章2.6・第3章を参照して手続を行います。期限は2023年4月10日で、期限までに退出手続が行われない場合、または報告不備が解消されない場合、本機関が市場退出手続を行います。2023年2月にテストを実施し4月10日までに不備を解消できない場合は、本機関へ申し出ます。
契約未締結の発動指令電源は、期待容量が1,000kW未満の場合、調達オークション参加および差替先としての電源等差替ができません。不備が解消されない場合も、調達オークション参加や電源等差替ができないとされています。
様式・改定履歴
Appendix.1には様式1~10が列挙され、様式9は「電源等リスト」、様式10は「発動実績算定諸元一覧」です。各様式の入力上限は10,000件で、超える場合は分割します。電源等リストでは空白行以降は受け付けられません。発動実績算定諸元一覧は電源・需要抑制シート等を含み、複数ファイルに分かれる場合の転記・合算方法が示されています。Appendix.2は第1~3章の図表一覧、Appendix.3は業務手順全体図です。後半の手順図には本文と異なる名称・章題があるため、図示された名称として扱われています。
第2版(2021年12月1日)の改定点として、第3章3.2.2.2「ベースラインの算定」の当日調整対象時間が、DR実施時間の「4時間前から1時間前まで」から「5時間前から2時間前まで」に変更されたと記載されています。