資料の対象と位置付け
本資料は、電力広域的運営推進機関が2025年9月3日に公表した「容量市場 長期脱炭素電源オークション募集要綱」の一部であり、2025年度実施分の募集、参加要件、登録・応札、落札、契約および関連様式を説明しています。落札者は本機関と容量確保契約を締結します。募集要綱と容量確保契約約款の内容が異なる場合は、約款が優先します。以下は提示された本文の範囲での要約であり、抜粋に含まれない約定価格の詳細や後続の契約条件は扱いません。
募集対象・参加条件
- 脱炭素電源の募集量は500万kWです。内訳として、脱炭素火力50万kW、揚水式水力(新設を除く)とリチウムイオン蓄電池の合計40万kW、揚水式水力(新設)・リチウムイオン以外の蓄電池・長期エネルギー貯蔵システムの合計40万kW、既設原子力の安全対策投資150万kWを募集上限とします。LNG専焼火力の募集量は2,929,036kWです。
- 制度適用期間は供給力提供開始年度の翌年度から原則20年間です。提供開始年度が2025年度なら始期は2027年度です。20年を超える期間も1年単位で希望できます。
- 対象エリアは、沖縄地域とその他地域の離島を除く全国です。
- 参加登録者は、電源を維持・運用する一義的な責任と権限を持ち、応札意思のある国内法人です。電源の所有は必須ではありません。責任・権限を複数者が持つ場合は代表者が応札します。落札後速やかに国内法人を設立する前提の一定のコンソーシアムも対象となり、代表企業が応札します。
- 対象電源は、設備投資を必要とし、応札時点で運転開始前の安定電源・変動電源です。既設原子力の安全対策投資は新規制基準導入後初めて再稼働する前、既設火力の改修は改修後の運転開始前が対象時点です。参加可能容量は、設備容量から所内消費・自家消費等やFIT/FIP供出分などを差し引いて扱います。
- 電源種・投資区分ごとに、種別、投資区分、容量、混焼率・CO₂回収率、運転継続能力等の要件があります。蓄電池・揚水式水力・長期エネルギー貯蔵システムは、区分に応じて連続運転時間や調整機能の要件があります。火力(既設火力改修を除く)、揚水式水力、蓄電池、長期エネルギー貯蔵システムは調整機能を備え、制度適用期間中維持する必要があります。
- 既にメイン・追加オークションで落札された電源、FIT/FIP適用電源、電源入札落札電源、専ら自家消費等に使う電源などは原則参加できません。ただし、FIT/FIP対象外の供給力や自家消費等に必要な容量を超えて供給できる部分など、本文に記された例外があります。既設火力の脱炭素改修を前提とせず過去の容量オークションで落札した後に改修する電源なども例外として記載されています。
- 応札価格は電源種・投資区分別の上限価格以下である必要があります。上限価格は第3章2(6)に示され、設置エリア等により区分が異なります。
登録・提出手続
参加登録は容量市場システムで、事業者情報、電源等情報、期待容量の順に行います。事業者コードとクライアント証明書が未取得の場合は、事業者情報登録前に取得します。電源等情報は事業者情報の登録完了後、期待容量は電源等情報の登録完了後に登録できます。同一電源の重複登録はできません。
- 事業者情報:事業者コード、申請者名、所在地、銀行口座、担当者、適格請求書発行事業者登録番号等を登録し、様式1の誓約書を提出します。既登録者は内容を確認し必要に応じ修正します。誓約書を提出済みなら再提出不要です。
- 電源等情報:制度適用期間中に想定される情報を登録し、様式2の事業計画書を提出します。バイオマスは様式3の燃料調達計画、蓄電池は様式4の事業計画、本文で対象として列挙された火力等は様式5の脱炭素化ロードマップも提出します。未定事項が多い場合やロードマップが要件を満たさない場合など、応札が認められないことがあります。
- 原則、電源等情報の必要書類は登録時に提出します。新設電源等で合理的理由がある場合は期限延長の可能性があります。接続検討回答書等の指定証憑を登録時に提出できない場合、参加資格通知書が発行されず応札できません。不備の通知を受けた場合は該当項目を修正して再申込みできます。
- 期待容量:電源ごとに様式6の記載要領等に基づいて算定し、kW単位で登録します。調整係数は応札年度に公表される値を制度適用期間中適用し、実需給年度ごとには変更しません。
2025年度の登録・応札日程
- 事業者情報登録:2025年10月14~17日、審査は10月14~22日。
- 電源等情報登録:2025年10月20~24日、審査は10月27日~12月9日。
- 期待容量登録:2025年12月10~16日、審査は12月17~26日。
- 応札受付:2026年1月19~26日。受付終了後、様式6に応札情報(制度適用期間を含む)を記載し、2026年1月27日~2月3日の受付期間内に提出します。
- 約定結果は応札受付終了から3か月後を目途に、応札年度の翌年度に公表予定ですが、監視状況等で前後する場合があります。不測の事態による日程変更の可能性もあります。
応札は容量市場システムで電源ごとに行います。応札容量は登録済み期待容量以下、1kW単位、税抜応札価格は1円単位で登録し、契約単価の物価・金利変動等に伴う補正方法を提出します。受付期間中は応札情報の変更・取消が可能ですが、終了後は原則できません。監視で認められない費用が含まれるとされた場合は価格修正が必要で、投資回収が困難と判断する場合は応札を取り下げられます。入札方式は封印入札、約定価格はマルチプライス方式です。過年度に非落札だった電源の再応札でも、算定根拠と証憑を改めて提出し説明する必要があります。
落札決定・価格・公表
脱炭素電源は応札価格順に募集量を満たすまで選定します。募集上限付き電源は電源種ごとに価格順に並べ、上限を超える電源までを「募集上限内電源」とします。同価格で上限を跨ぐ場合は上限超過量が最小の組合せを選び、複数ならランダムに決定します。同時落札条件で結ばれた電源は、紐付く全電源が募集上限内と判定されてから次へ進みます。
募集上限内電源と上限のないその他電源を価格順に並べ、限界電源までを落札候補とします。募集量を跨ぐ限界電源は、落札時の超過量が非落札時の不足量の10倍以下なら落札、10倍を超えれば非落札です。同価格で募集量を跨ぐ複数電源は超過量が最小の組合せを選び、複数ならランダムに決定します。限界電源が非落札となり同時落札条件がある場合は、紐付く電源もすべて非落札とし、該当する場合は定められた手順を再実施します。
蓄電池はリチウムイオンとそれ以外に分け、日本以外のセル製造国・地域ごとの落札容量を各区分の全落札容量の30%未満とする制限があります。制限を満たさないときは、該当電源を価格の高い順に除外し、同価格はすべて除外します。さらに価格順に選定を調整し、同価格電源で制限を満たせない場合は、制限内で容量が最小となる組合せを選び、複数ならランダムに決定します。募集量不足時の追加選定では、所定の募集上限付き電源を追加し、同時落札条件や10倍基準を適用します。揚水式水力(新設を除く)・リチウムイオン蓄電池、および揚水式水力(新設)・リチウムイオン以外の蓄電池・長期エネルギー貯蔵システムは、それぞれ募集上限の2倍を跨ぐ電源以下に限定されます。脱炭素火力は募集上限を跨ぐ電源を超えて落札されません。
LNG専焼火力は価格順に募集量まで選定し、限界電源に10倍基準を適用します。限界電源が非落札なら同時落札条件で結ばれた電源も非落札とし、残る電源で再実施します。同時落札条件で紐付く電源の価格は最も高い電源の価格と同等とみなし、同条件で価格が同じ場合は1電源とみなします。
監視を受けて事業者が応札を取り下げた電源は除いて約定処理します。価格修正があった場合は修正前価格で約定処理し、落札後の契約金額は修正後価格を基に算定します。約定価格は各落札電源の応札価格です。結果公表後、本機関は脱炭素電源・LNG専焼火力それぞれの約定総容量・総額を公表し、試算還付額控除後の総額も参考公表します。脱炭素電源は事業者名、案件名、電源種(蓄電池・揚水の区分を含む)、落札容量を、LNG専焼火力は事業者名、案件名、落札容量を公表します。脱炭素化ロードマップは結果公表から3か月後を目途に公表します。試算還付額は過去3年の市場価格等に基づき、実際の還付額とは異なります。
落札後の契約・金額調整
応札情報の登録を容量確保契約の申込みとして扱い、契約の効力発生日は約定結果公表日です。コンソーシアム応札では代表企業による申込みとして、同日に代表企業と本機関間で契約が成立します。落札後に必要情報を提出しない、契約書面を締結しないなど市場運営に支障をきたす行為があれば、約款第33条に基づき契約解除となることがあります。落札電源は原則、供給計画に計上します。
契約金額は落札電源ごとの年間契約単価と契約容量を基準に算定する年間予定額で、詳細は約款第6条によります。応札価格に含めた系統接続費より精算額が低い場合は支払額を差額修正します。応札時点の最新見積額等より実際の工事費負担金が高くなったことによる経済性悪化で市場退出する場合、不可抗力事由として退出ペナルティを科しません。
アンモニア・水素利用火力について、参加登録申請者または一定のパートナー事業者が、価格差支援制度に令和7年3月31日まで、または拠点整備支援制度に令和7年6月30日までに申請した場合の調整があります。応札前に制度適用が決定し、応札価格に含められる費用が支援金に含まれる場合は支援金額を控除して応札します。未決定なら該当費用を含む支援希望額(予想額)を控除します。契約締結後3年以内に希望どおりの交付決定を受けないことが決まった場合、または3年経過後も未決定の場合、その事由による市場退出は不可抗力としてペナルティを科しません。支援額が予想より増えた場合や、支援額を控除せず応札して落札後に適用が決まった場合は支払額を差額修正します。契約締結後3年以内に適用が決定した場合は、決定時点から供給力提供開始期限を設定します。接続費精算額・支援額が制度適用期間開始前までに確定した段階で、根拠証憑を速やかに提出します。
火力の追加投資に伴う再応札で制度適用期間が重複する場合、混焼設備を専焼化する建替えの場合、また供給力提供開始期限が10年以上かつ参加可能設備容量(送電端)が30万kW以上の新設・リプレースで、法令上の規制・審査や行政指導対応による他律的かつ事前見積り困難な費用が契約期間中に増加した場合は、約款第6条に沿った取扱いです。
市場退出・履行・支払等
市場退出の基準・契約上の取扱いは約款第11条、経済的ペナルティ算定は第12条です。本機関がペナルティを通知し、事業者は異議を申し出られます。本機関は内容を確認し、変更の有無と変更後の額を通知します。
リクワイアメント・アセスメント・ペナルティの適用区分は、①約定結果公表から制度適用期間開始まで、②各対象実需給年度の前、③制度適用期間中の各対象実需給年度、④その他です。対象実需給年度は制度適用期間中の特定の1年間を指します。各区分でリクワイアメント達成と業務マニュアルに沿ったアセスメント情報提出が必要です。詳細は制度適用期間前が約款第13~15条、対象実需給年度前が第16~18条、対象実需給年度が第19~21条、その他が第22~24条で、重大な違反行為は第33条による契約解除の可能性があります。対象実需給年度のペナルティ年間・月間上限は第25条を参照します。
月次の支払・請求額は月額契約金額から対象の経済的ペナルティ、還付額、契約解除の経済的ペナルティを差し引いて算定し、正値は支払、負値は請求です。支払は登録銀行口座へ振り込み、手数料は事業者負担です。請求額は本機関指定口座へ振り込みます。落札事業者は実際の他市場収益の約9割を本機関に還付します(約款第28条)。監視委員会の監視に応じて算定方法・証憑を提出し説明する必要があり、相対契約を締結した場合は契約後速やかに契約書等を提出します。
消費税等相当額は外税です。ペナルティ・還付額控除後の金額が課税対象ですが、年間累計ペナルティと還付額の合算が契約金額を超える部分は不課税です。電源等差替えは約款上の特例に該当する場合に限り可能です。不可抗力による供給困難ではリクワイアメント不履行の責任を負いませんが、燃料その他発電コスト上昇等の経済的事由は除外されます。誓約違反、提出情報の虚偽、容量市場運営に重大な問題を生じさせる行為等は契約解除の対象となり得ます。
地熱・太陽光・陸上/洋上風力・バイオマスの落札事業者にはFIT/FIP制度の事業規律確保が求められます。太陽光の廃棄費用は制度適用期間終了10年前から積み立て、額は1万円/kW×発電端設備容量、月次で120分の1ずつ、利息なしです。制度適用期間中、参加可能設備容量は原則メイン・追加オークションに参加できませんが、増出力や自己託送廃止等による増加分、既設火力改修で新規投資により生じる脱炭素化容量以外の部分は参加可能です。また、供給力提供開始年度のみ参加可能設備容量の参加が可能です。
様式・提出内容
- 様式1(誓約書):募集要綱・法令等の遵守、正確な情報提供、公正を害する行為の禁止、応札登録を契約申込みとし公表日に契約成立することへの同意、落札時の契約書締結、情報提供・調査協力、個人情報の適切な取扱い、反社会的勢力との関係排除等を誓約します。
- 様式2(事業計画書):事業者・コンソーシアム、電源区分・名称・種別・場所、所有者、発電端・送電端容量、接続、事業実施、資金調達、補助金等を記載します。コンソーシアムは代表企業・構成員の予定出資比率・議決権割合も記載します。接続検討回答書、体制図、環境影響評価手続開始の証憑等、該当する添付書類が必要です。方法書手続開始証憑を計画書に添付できない場合は落札結果公表後5か月以内に提出し、提出できない場合は契約解除とされます。バイオマスは様式3、資金調達の詳細は別紙1に記載します。
- 様式3(燃料調達計画):バイオマス設備の全燃料について、2025年10月20~24日の登録受付期間時点の内容を記載します。落札後に変更する場合は再提出し、審査合格まで変更は認められません。国内森林由来木質燃料の変更には変更元・変更先の都道府県・森林管理局との事前調整が必要です。燃料種別に応じ、安定調達、証明・認定、合法性・持続可能性、ライフサイクルGHG等の資料を添付し、国内森林由来燃料は調整状況等と最新の計画書・調整完了通知書も添付します。
- 様式4(蓄電池事業計画):2025年10月20~24日の登録受付期間時点の計画を記載し、蓄電池は当時最も導入可能性の高いものを対象とします。記載・証憑不足は応札不可です。登録項目に変更があれば落札後に再提出し、審査合格が必要です。セル製造国・地域の変更は不可です。不合格時は不合格項目のみ再申込みでき、合格項目は修正できません。メーカー・型番、安全設計、公衆安全、セキュリティ、地元調整、広域認定による廃棄、レジリエンス等を資料で示します。リチウムイオン、リユース、NASには該当する安全性証明が必要です。過去10年に発煙・発火事故を起こしたメーカーは、年別事故件数と主要10件の原因・対策資料を提出します。地元調整では地権者、立地市町村、敷地境界から100m以内の住民・事業者への説明等を記録し、該当者がいない場合等も記載します。廃棄は原則、指定された広域認定メーカー等へ委託する旨を誓約します。
- 様式5(脱炭素化ロードマップ):建設・環境アセス期間、段階ごとの技術・脱炭素比率と運転開始時期、追加改修投資に係るオークション落札時期、燃料種(必要に応じ水素・アンモニア等の由来区分)、前提条件を最低限記載します。本文の記載例は例示です。
- 様式6(期待容量等算定諸元一覧、対象応札年度2025年度):火力等は2025年12月10~16日に電源識別番号、区分、設備容量、月別供給力最大値等を登録し、期待容量は自動計算され応札容量の上限になります。2026年1月27日~2月3日の登録で応札容量算定用情報を提出します。制度適用期間は20以上の整数です。揚水・蓄電池・長期エネルギー貯蔵システムは、期待容量登録時に月別発電可能電力、連続発電可能時間等を登録し、連続発電可能時間は3以上の整数です。後の登録では月別管理容量を各月の発電可能電力以下で任意に定め、この値をアセスメント対象容量とします。応札用の連続発電可能時間は運用リスクを踏まえ任意設定し、期待容量算定用の蓄電・上池容量以下とします。太陽光・風力・水力(安定的に供給力を提供できる水力を除く)向けの様式では、区分は変動電源で固定し、設備容量(送電端)以下で運用リスク分等を差し引いた月別供給力を登録します。期待容量・応札容量は自動計算され、応札時に算定値を入力します。制度適用期間は20年以上の整数です。
- 様式7(調整機能の詳細情報):提出対象は、落札した「調整機能有」の安定電源を保有する事業者です。仕様確定後、極力速やかに提出します。C~K列は電源等情報登録様式(D1)の内容、L~P列は需給調整市場の商品要件を確認したうえで一次~三次②の調整力供出可能量(発電設備の設計値)を記載します。供給力提供開始後に実際の供出可能量が変わっても再提出は不要です。指定先へ電子メールで提出し、ファイル名は「long_2025_youshiki7_調整機能の詳細情報_事業者コード_事業者名_R0.xlsx」とします。年次には電源等情報の応札年度を記載します。提出・問い合わせ先は youryou_chouseiryoku@occto.or.jp です。