文書の対象と位置付け
本要綱は、電力広域的運営推進機関が2020年2月5日に公表した、2024年度(2024年4月1日~2025年3月31日)を実需給年度とする容量市場メインオークションの募集要綱および関連する契約条件の抜粋です。参加資格、登録・応札、落札・価格決定、アセスメント、経済的ペナルティ、交付、契約変更・解除等を扱います。本文は一部抜粋であり、記載されていない条件や、提示範囲以降の規定は特定できません。
参加者・電源等の資格(第3章)
参加登録の対象は、電気事業法第23条に定める電気供給事業者で、自らまたは他社所有の電源等を用いて応札する意思がある者です。沖縄地域およびその他地域の離島を除く全国が対象で、相対契約の有無は参加可否に影響しません。
登録対象は原則として期待容量1,000kW以上の次の電源等です。
- 安定電源:安定的な供給力を提供できる水力・火力・原子力・再生可能エネルギー。
- 変動電源(単独):安定的な供給力を提供できない水力または再生可能エネルギー。
- 変動電源(アグリゲート):同一供給区域内の期待容量1,000kW未満の変動電源をまとめ、合計1,000kW以上を提供するもの。
- 発動指令電源:所定の事業用電気工作物、特定抑制依頼、または期待容量1,000kW未満の発電設備等により、単独または同一供給区域内の組合せで1,000kW以上を提供するもの。変動電源または変動電源だけの組合せは対象外で、オンライン機能(簡易指令システムを含む)が必要です。
実需給年度とFIT買取期間が重なるFIT電源は原則登録できません。ただし、混焼バイオマスの非FIT相当分、所定の比率変更を行う石炭混焼FIT電源、ごみ焼却施設のバイオマス発電で買取上限を新設する場合は、本文記載の条件内で登録できます。バイオマス比率変更のFIT制度上の手続は実需給開始前に行い、変更があれば本機関へ申告します。
業務規程第33条による電源入札で落札した電源、実需給年度に供給力を提供できない電源、自家消費・自己託送・特定供給・特定送配電事業者利用のみに供される電源は原則登録できません。各用途に必要な容量を超えて供給力を提供できる場合は登録可能です。異なる区分のユニットを含む計量単位では区分を一つ選び、その区分に該当するユニットだけを登録します。応札単位は、安定電源・変動電源(単独)が計量単位、アグリゲートが小規模変動電源リスト、発動指令電源が電源等リストです。応札容量は1,000kW以上、登録単位は1kWです。
登録・応札の手続と期限(第3~5章)
登録・応札は容量市場システムで行います。事業者コード、系統コード、クライアント証明書が未取得の場合は登録までに取得します。登録は事業者情報、電源等情報、期待容量の順で、前段の完了後に次段へ進みます。登録後に情報変更があれば、システム上で変更します。
2020年の予定日程は、事業者情報受付3月2~6日・審査3月2~10日、電源等情報受付3月11~31日・審査3月11日~4月30日、期待容量受付・審査5月7~21日(審査は6月19日まで)、需要曲線公表6月24日、応札受付7月1~7日、約定結果公表8月31日です。不測の事態により変更される可能性があります。
事業者情報には事業者名、所在地、銀行口座、連絡先、事業者コード等を登録し、参加登録申請に伴う誓約書(様式1)を提出します。電源等情報は実需給年度時点の想定情報を登録し、同じ計量単位を複数の申請者が登録することはできません。区分ごとに指定書類が必要です。新設電源等は合理的理由により期限延長となる場合があり、アグリゲートの書類は原則2021年2月末まで(本機関が合理的理由を認めれば延長の場合あり)です。発動指令電源のオンライン指令性能確認試験結果は実効性テスト前までに提出します。指定書類の代替や追加提出を求められる場合があり、不備は通知後に再申込みできます。後日提出書類が期限を過ぎると市場退出となる場合があります。
期待容量は安定電源・変動電源について供計ガイドラインに基づき、発動指令電源は実績・将来計画に基づきkW単位で算定します。アグリゲートは内訳電源の期待容量合計です。FIT・非FIT混在の計量単位は非FIT分で算定し、石炭混焼を除くFITバイオマス混焼は、設備全体の期待容量から認定バイオマス比率相当分を控除します。新設、余剰の自家用電気工作物、設備更新による増出力等で登録後に変更が生じた場合、判明後速やかに書類を再提出します。
参加登録完了通知後、電源等ごとに期待容量以下の応札容量と応札価格を登録します。応札容量は1,000kW以上・1kW単位、価格は1円単位です。応札情報登録は容量確保契約の申込みとみなされ、約定結果公表日に公表内容に従う契約が成立します。受付中は変更・取消ができますが、終了後はできません。受付終了後、発動指令電源を除き、応札情報を記載した様式2を期限までに提出します。不備が期限までに解消されない場合は契約解約となることがあります。応札しなかった電源等は、登録時点で供給力として確定していないものを除き、原則2024年度向け調達オークションに参加できません。例外条件は同オークションの募集要綱で公表されます。
落札・約定価格・契約時期(第6章)
入札は封印入札です。全国の需要曲線と応札価格順の供給曲線の交点を基に落札を決め、応札単位の部分約定はありません。供給信頼度基準を満たさないエリア(ブロック)があれば市場を分断し、供給不足側で低価格の未落札電源を追加し、供給過剰側で高価格の落札電源を減じて再処理します。発動指令電源には別途公表の調達上限容量があります。
約定価格は原則、落札電源中の最高応札価格を用いる第一価格決定方式・シングルプライス方式です。市場分断時はエリアごとに決めます。市場競争が限定的となるおそれがあるエリアで、エリアプライスが隣接エリアの1.5倍を超える場合は、当該エリア価格を隣接価格の1.5倍とし、その価格を超える応札で落札した電源には各自の応札価格を適用するマルチプライス方式を用います。
契約締結手続期間は約定結果公表日から2020年10月30日まで、契約結果公表は2020年11月の予定です。容量停止計画調整は2022年度以降、実効性テストは2022年度夏季・冬季、契約変更・解約確認は2023年3月、追加オークション実施有無の公表は2023年4月、実施時は同年6月の予定です。落札電源は原則供給計画に計上しますが、所有者が発電事業者に該当しない場合等は不要です。契約必要情報の不提出など市場運営を妨げる行為には参入ペナルティが科される場合があります。
契約金額・共通ペナルティ・交付
契約金額は、原則として約定価格×契約容量×経過措置係数から、調整不調電源の経済的ペナルティを差し引いて算定します。2010年度末までに建設された安定電源・変動電源(単独)は経過措置対象で、2024年度の係数は0.58(控除率42%)です。2011年度以降の増出力分も対象です。対象・対象外ユニットが混在する計量単位は設備容量で加重平均します。同一構内で同時期に発電機の主要電気設備をすべて更新し、本機関が認めた場合は対象外となることがあり、更新資料等が必要です。附則の控除率は2024年度42%、2025年度35%、2026年度28%、2027年度21%、2028年度14%、2029年度7%で、2029年度を最後に廃止されます。係数は参加資格通知時点で決まり、その後の新増設・市場退出では変わりません。
実需給前に契約容量を減らして退出する場合、契約効力発生日から2023年3月の変更・解約確認期間終了日までは契約金額×5%×退出容量÷契約容量、それ以降は5%を10%に置き換えた額がペナルティです。前者は調達オークションの実施有無・価格に応じ全額または一部が返金される場合があります。実需給中のリクワイアメント未達成には経済的ペナルティがあり、年間上限は契約金額の110%、月間上限は18.3%です(発動指令電源の月間上限なし)。実需給中の市場退出は契約金額×10%×退出容量÷契約容量です。重大違反には参加制限や期待容量評価引下げ等が科される場合があります。
約款では、容量確保契約金額の12分の1から各月のペナルティを差し引いた額を月ごとに交付し、交付額が負なら不足額を請求します。支払は原則各月末(金融機関休業日は前営業日)までで、振込手数料は事業者負担です。本機関は交付・徴収額と根拠を通知し、疑義がある場合は受領日から5営業日以内に理由を付して通知できます。本機関は確認・再算定し結果を通知します。
電源区分ごとの要件・アセスメント
安定電源
安定電源提供者は、2年度前の容量停止計画調整に応じ、供給力を維持し、計画停止を除く余力を卸電力市場等へ応札し、需給ひっ迫のおそれがある場合の一般送配電事業者の供給指示に対応します。調整機能を「有」とした電源は一般送配電事業者との余力活用契約が必要です。需給ひっ迫のおそれがある場合、容量停止計画を提出していないコマについて、前日断面以降の需給評価に基づく供給指示に応じ、ゲートクローズ以降の余力を提供するのが原則です。ただし給電申合書等が未締結、一般送配電事業者が直接出力制御できる電源、本機関が合理的と認めるやむを得ない理由がある場合は例外です。
毎月、必要情報を容量市場システムで提出します。所定の除外条件に該当せず指示に応じていないと判断された場合、ゲートクローズ以降の余力全量を未達成量とし、アセスメント対象容量を上限とします。純揚水の対象容量は各月の管理容量、それ以外は各月の供給力で、純揚水は需給ひっ迫のおそれがあるコマが対象です。ペナルティは未達成量(kWh)×契約金額÷(契約容量×Z)で、本オークションのZは30時間です。
市場応札量の減少が認められる例外として、相対契約上の締切後に入札可能な市場がない場合、燃料制約等(需給ひっ迫のおそれがある時間帯を除く)、平常時のバランス停止からの起動が不経済な場合、最大供給力が対象容量以上の場合、本機関が合理的と認めるやむを得ない理由等が示されています。
変動電源(単独)
2年度前に定期補修・中間補修の容量停止計画調整に応じます。供給信頼度への影響または追加設備量利用の場合に調整できなかった電源は調整不調電源となり得ます。ペナルティは追加設備量利用の場合、契約金額×0.3%/日×調整不調日数、供給信頼度確保に影響する場合は0.6%/日を基礎に算定します。調整不能の事由を本機関が合理的と判断する場合や、送配電設備停止等に伴い一般送配電事業者と調整した場合等は対象外となることがあります。調整後に提供者の事由で停止期間を追加・変更し供給信頼度に影響する場合、0.6%/日の算定額の1.5倍となる場合があります。
実需給中は供給可能状態を維持し、容量停止計画は年間8,640コマ(180日相当)まで認められます。自然影響による停止・出力低下は計画提出不要です。毎月情報を提出し、コマごとに評価されます。対象容量は水力(自流式)・太陽光・風力について各月の供給力です。提出時期、需給状況、休日・夜間、承認済み作業停止計画との整合により未達成コマ数に1倍または5倍を乗じます。未達成コマ総数が8,640を超えると、超過分に契約金額×0.0125%/コマを乗じたペナルティが科されます。
変動電源(アグリゲート)
供給力を提供できる状態を維持し、容量停止計画は8,640コマまで認められます。毎月必要情報を提出し、対象容量相当の供給力がないと判断されたコマを未達成コマとします。需給ひっ迫のおそれがあるコマは未達成コマ数を5倍します。総数が8,640を超えた場合、超過コマ数×契約金額×0.0125%のペナルティが科されます。
発動指令電源
実需給年度の2年前の夏季(7~9月)または冬季(12~2月)に実効性テストを受け、契約容量以上の供給力を確認します。前々年度の一般送配電事業者による他の発動実績があり、確定するリストの各リソース期待容量が当該実績を構成した各リソースの期待容量以内で、本機関が合理的と判断すれば、その実績提出によりテストを省略できます。指定期間内に電源等リストを提出し、オンライン機能を備える必要があります。テストは一般送配電事業者の指令で3時間継続し、開始3時間前までに指令、設定時間は平日9~20時(土日祝を除く)です。夏季・冬季各1回まで再実施でき、初回・再実施のいずれかを選べます。2日連続の場合は1日目、2日目、2日平均から選び、3日以上連続では実施しません。
実績が契約容量未満なら不足分が未達成量です。必要情報未提出、実績1,000kW未満、または妥当性を確認できない場合は契約容量全量が未達成となります。実効性テスト未達成のペナルティは約定価格×5%×未達成量で、未達成量相当を市場退出として扱い、この未達成には共通の市場退出ペナルティを重ねません。実需給年度は指令に応じ、原則年間最大12回、1日1回、1回3時間、契約容量以上を提供します。本文には上限を超える供給依頼もあり得るが、その依頼はペナルティ対象外との記載があります。発動時は相対契約や卸電力市場等で供給し、市場で約定しない場合に備え一般送配電事業者との精算契約を締結します。指令未達のペナルティは、約定価格×契約容量×110%÷(契約容量×36)×未達成量(kWh)です。
市場退出、不可抗力、契約変更等(約款第12~34条等)
市場退出事由には休廃止時の差替不足、書類の未提出・不足・虚偽、給電申合書等の未締結、発動指令電源のリスト・テスト結果の未提出やテスト不足、FIT電源であることの判明等があります。退出容量や契約容量が1,000kW未満となる場合の取扱いも定められています。実需給中の計画停止は原則供給力を維持しつつ年間8,640コマまで認められ、提出時期・需給状況等で未達成コマの算定倍率が変わります。
大規模自然災害、戦争等、契約後の法令改正・規制適用による運転停止、送電線故障による出力抑制等で供給が困難な場合、遅滞なく本機関へ連絡します。本機関は第13~18条の経済的ペナルティを例外的に適用しない場合がありますが、市場退出ペナルティは対象外ではありません。燃料費等の発電コスト上昇は不可抗力に含まれません。影響を最小限にし、解消時に直ちに通知します。
契約は契約書(別紙を含む)と約款で構成され、契約期間は約定結果公表日から対象年度末までです。追加・リリースオークション、退出、電源差替、実効性テスト最終結果、リストや登録情報の変更、地位譲渡等があれば契約変更を行い、原則システムを通じた手続と本機関の変更契約書承認で成立します。権利・義務等の譲渡・承継には事前同意が必要で、承継後も既発生債権債務は移転せず、リクワイアメント達成状況は引き継がれます。信用・倒産関連事由や市場の公正を害する行為等では解除され、契約容量全量を市場退出として退出ペナルティを科す場合があります。重大な関連規程違反には参入ペナルティを科すことができます。
第14条に基づく月次アセスメント結果や金額通知への疑義は、受領日から5営業日以内に理由を付して通知できます。本機関が確認・再評価または再算定し、結果を通知します。約款には守秘義務(契約終了後も存続)、個人情報の管理・漏えい時の対応、反社会的勢力排除、日本法準拠、東京地方裁判所の専属管轄等も定められています。