卸電力市場の監視機能に関する検討結果
資料の概要
この資料は、卸電力市場の現状に基づいた市場監視の在り方について、電力・ガス取引監視等委員会(電取委)による検討結果を示すものである。令和6年5月28日に提出された事務局資料を基に、卸電力市場における監視機能の強化や今後の方針について議論が行われた。
主要な検討内容
議論の目的
- 電取委の業務状況が変化していることを受け、これまでの活動実績を検証する。
- 中期方針や監視機能強化に向けた方針を策定するための検討を進める。
卸電力市場の現状
- 複数の有識者から、監視の必要性が指摘され、市場運営者や規制当局の役割分担の見直しが求められている。
中期方針(案)の概要
- メカニズムや参加者の多様化に応じた監視対応の必要性。
- 日本卸電力取引所(JEPX)での体制強化の検討が進められている。
電取委検証の経緯
- 2023年12月26日:電力システム改革に関する検証規定が策定され、電源確保や電気料金制度の根本的な検討が開始された。
- 情報漏えいや市場の変化が影響し、監視機能強化が求められている。
市場監視の具体的な対応
卸電力市場の監視機能強化
- 各市場に応じた監視業務の精緻化。
- 市場運営者の監視機能を強化する。
DX・AI化の推進
- 市場監視や料金査定等に係るシステムのデジタル化を進める。
- 組織体制の強化も視野に入れる。
卸電力市場のデータと変化
市場の成長
- スポット市場の取引量は2016年度から2023年度にかけて約10倍に増加。
- 市場参加者数は96社から234社に増加し、約2.5倍となっている。
| 年度 | 年間約定量 (GWh) | 市場参加者数 (社) |
|---|
| 2016年度 | 約23,000 | 96 |
| 2023年度 | 約260,000 | 234 |
取引構造の変化
- 売り入札における旧一電の割合が減少し、多様な主体が参入している。
- 買い約定量における旧一電の割合も変化が見られる。
課題と展望
監視体制の見直し
- 多様化する市場に応じた監視ルールのアップデートが必要である。
- 誤入札事案の防止に向けた取り組みも重要な課題である。
将来的な方向性
- 卸電力市場における監視方法やルールの見直しを進め、海外の事例を参考にしつつ、監視機能の強化を図ることが求められている。
規制当局と市場運営者における監視ルールの整合性
監視対象の整合性の重要性
- 監視の役割を確認するためには、監視対象行為の整合性を確認する必要がある。
JEPXにおける規程の差異
- JEPX規程ではインサイダー情報の非開示を禁止する規定が存在せず、監視対象行為に差異が生じている。
| 対象行為 | 適取GL | JEPX規程 |
|---|
| インサイダー情報の非開示 | インサイダー情報の公表を行わないことを禁止 | 該当する行為を禁止する規定はなし |
| インサイダー取引 | 一部電気事業者のみがインサイダー情報を知って取引を行うのを禁止 | 公表前の発電所事故情報に基づく取引を禁止 |
| 相場操縦 | 市場相場を人為的に操作する行為を禁止 | 仮装取引や情報の誤流布を禁止する規定がある |
| 誤入札 | 現状では記載なし | 不注意または怠慢な取引を禁止する規定あり |
今後の監視機能の強化(JEPX)
市場変容への対応
- JEPXは市場の実態変容に対応し、継続的な監視機能の強化が求められている。
監視ツールの高度化
- 取引量の増加に伴い、疑わしい取引を検知するための監視ツールの高度化が必要である。
監視業務の独立性
- 市場監視業務の判断の独立性を確保し、秘密情報の管理を徹底することが重要である。
技術の進化の活用
- 情報技術の進化を踏まえ、人工知能などを活用した市場監視の実現を提案する。
監視機能の強化と市場参加者の視点
- 規制当局・市場運営者に加え、市場参加者による監視の重要性が強調される。
- 市場取引に関連する情報提供窓口の設置が提案されており、既存の情報提供窓口としてACERや証券取引等監視委員会が考慮されている。
この資料は、卸電力市場の監視機能を強化し、より公正で透明な市場を実現するための重要な指針となるものである。