一般送配電事業者の託送収支に関する事後評価資料
資料の目的と背景
この資料は、経済産業省が作成した一般送配電事業者の託送収支に関する事後評価を目的とする。電力小売市場の全面自由化に伴い、送配電部門の効率化と託送料金の低廉化を促進するため、定期的な評価が求められている。
資料の構成
本資料は以下の内容で構成されている:
- 一般送配電事業者の託送収支の事後評価に関する説明
- 今年度の事後評価の進め方
- 平成29(2017)年度の託送収支の分析
- 事後評価における各項目の評価視点(案)
一般送配電事業者の収支状況等の事後評価
事後評価の必要性
- 電力小売全面自由化後も、送配電部門は地域独占の状況が残るため、効率化と託送料金の低廉化を促進する必要がある。
- 定期的に事後評価が行われており、平成28年度決算から評価が開始された。
評価項目
事後評価における主な評価項目は次の通りである:
- 超過利潤累積額の確認
- 想定原価と実績単価の乖離率の確認
- 効率化の取り組み状況
- 託送収支(収益・費用)の増減要因分析
- 研究開発や情報セキュリティに対する投資方針
評価結果に基づく対応
- 各社の取り組み状況に応じた柔軟な審議周期の検討が求められている。
- 先進的な取り組みの共有を促進することが検討されている。
- 効率化に向けたインセンティブ付与の仕組みが検討される。
今年度の事後評価の進め方
今年度の評価は以下のポイントに注目して進める計画である:
- 経営効率化や高経年化対策のフォローアップ
- 単位当たりの調達単価、新規電源の工事費負担金評価
- 一般送配電事業者のサービスレベルの確認・評価
平成29(2017)年度託送収支の分析
託送収支の管理
事後評価では、以下の2つの管理が行われる:
-
ストック管理
- 超過利潤累積額が一定基準を超えた場合、値下げ届け出が必要。
-
フロー管理
- 想定単価と実績単価の乖離率が特定の比率を超えた場合も値下げが必要。
新しい評価基準の追加
平成29年度からは、廃炉等負担金を踏まえた評価も行う。この評価は以下の基準で行われる:
- 通常のストック管理に比べて厳格な基準値
- 他社の経営効率化状況との比較
- 東京電力グループの負担との比較
今後のスケジュール
今後の主なスケジュールは以下の通りである:
- 12月以降:4回程度の議論を経て評価結果をまとめる。
- 3月:評価結果をとりまとめる。
- 2019年度:秋以降に次年度の事後評価を実施する予定である。
この資料は、一般送配電事業者の託送収支評価の透明性を高め、効率化と質の高い電力供給の両立を実現するために重要なものである。
廃炉等負担金を踏まえた評価
1. 廃炉等負担金の評価基準
- 東京電力PGにおいては、廃炉等負担金を踏まえた厳格な値下げ基準が適用される。
- 平成29年度の収支状況を確認した結果、基準に抵触していなかった。
基準の概要
-
ストック管理・フロー管理の基準
- 超過利潤累積額が、通常のストック管理基準(固定資産額×事業報酬率)の 3/5を超過する場合
- 実績単価と想定原価の乖離率が、▲3%(通常のフロー管理基準の3/5)を超過する場合
| 指標 | 数値 | コメント |
|---|
| 超過利潤累積額 | 282億円 | 基準値751億円を超過していない |
| 乖離率 | 1.98% | ▲3%を超過していない |
-
他の一般送配電事業者との比較
- 他の一般電気事業者3社以上が託送料金を値下げする場合、または他の事業者5社以上の乖離率が**▲5%を超過**している場合。
- 現状では値下げ予定の一般送配電事業者はなく、乖離率も**▲5%を超過**していない。
-
東電グループ他社との比較
- 東電PGが支払う廃炉等負担金が特定算定額を超過する場合に適用される。
2. 平成29年度実績費用の比較
実績収入の増減
実績収入が想定原価を下回った地域(6社)のデータは以下の通り:
| 区分 | 北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 沖縄 |
|---|
| 想定原価 | 1,913 | 4,587 | 14,541 | 6,085 | 1,305 | 7,055 | 2,820 | 1,501 | 4,494 | 535 |
| H29実績 | 1,834 | 4,582 | 14,300 | 6,157 | 1,337 | 6,808 | 2,805 | 1,486 | 4,537 | 552 |
| 増減額 | 79 | 5 | 241 | 72 | 32 | 247 | 15 | 16 | 43 | 18 |
| 増減率 | 4.1% | 0.1% | 1.7% | 1.2% | 2.5% | 3.5% | 0.5% | 1.0% | 1.0% | 3.3% |
実績費用の増減
実績費用が想定原価を上回った地域(7社)のデータは以下の通り:
| 区分 | 北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 沖縄 |
|---|
| 想定原価 | 1,913 | 4,587 | 14,541 | 6,085 | 1,305 | 7,055 | 2,820 | 1,501 | 4,494 | 535 |
| H29実績 | 1,927 | 4,748 | 14,319 | 6,107 | 1,337 | 6,827 | 2,858 | 1,501 | 4,479 | 561 |
| 増減額 | 14 | 161 | 222 | 23 | 33 | 228 | 38 | 0 | 15 | 26 |
| 増減率 | 0.7% | 3.5% | 1.5% | 0.4% | 2.5% | 3.2% | 1.4% | 0.0% | 0.3% | 4.9% |
3. 実績費用の経年変化
平成29年度の実績費用は前年に比べて増加した地域が多く、特に東京は5%以上の増加が見られた。
| 地域 | H28実績費用 | H29実績費用 | 増減額 | 増減率 |
|---|
| 北海道電力 | 1,887 | 1,927 | 40 | 2.1% |
| 東北電力 | 4,712 | 4,748 | 36 | 0.8% |
| 東京電力PG | 13,512 | 14,319 | 807 | 6.0% |
| 中部電力 | 6,088 | 6,107 | 20 | 0.3% |
| 北陸電力 | 1,315 | 1,337 | 22 | 1.7% |
| 関西電力 | 6,631 | 6,827 | 195 | 2.9% |
| 中国電力 | 2,970 | 2,858 | 112 | 3.8% |
| 四国電力 | 1,598 | 1,501 | 96 | 6.0% |
| 九州電力 | 4,303 | 4,479 | 176 | 4.1% |
| 沖縄電力 | 593 | 561 | 32 | 5.4% |
4. 実績費用の増減要因
増減要因について詳細は次の通りである:
| 区分 | H29FY実績費用の増減率増減額 | 増減理由 |
|---|
| 北海道電力 | 0.7% (14) | 委託費や減価償却費が減少し、人件費が増加。 |
| 東北電力 | 3.5% (161) | 人件費や固定資産除却費が増加。 |
| 東京電力PG | 1.5% (222) | 廃炉等負担金の増加や他社購入電源費の増加が影響。 |
| 中部電力 | 0.4% (23) | 修繕費減価償却費が減少し、給与手当が増加。 |
| 北陸電力 | 2.5% (33) | 給料手当の増加と減価償却費が減少。 |
| 関西電力 | 3.2% (228) | 修繕費減価償却費の減少。 |
| 中国電力 | 1.4% (38) | 給料手当が増加。 |
| 四国電力 | 0.0% (0) | 減価償却費が減少し、給料手当や委託費が増加。 |
| 九州電力 | 0.3% (15) | 修繕費が減少し、人件費が増加。 |
| 沖縄電力 | 4.9% (26) | 修繕費が減少し、燃料費が増加。 |
まとめ
本資料は、各事業者の託送収支に関する透明性の向上を目指し、効率化と質の高い電力供給の両立を図るためのものである。各地区の実績費用や収入の詳細なデータを示し、今後の改善を促進する意義を持つ。