資料の位置づけと対象
本資料は、電力広域的運営推進機関が業務規程第32条の5に基づいて作成した、2023年度実施の長期脱炭素電源オークションに関する業務マニュアルの抜粋である。容量市場システムを使った参加登録、電源等情報・期待容量の登録、応札、容量確保契約の締結・変更・解約または解除を扱う。参加登録後に必ず応札する必要はない。本文に記載された手続や期限は2023年度オークション時点のものであり、抜粋にない事項やその後の変更は特定できない。
受付期間と主な期限
2023年度オークションの受付期間は、事業者情報が2023年10月16~20日、電源等情報が10月24日~11月8日、期待容量が12月1~12日、応札が2024年1月23~30日である。応札容量算定に使った期待容量等算定諸元一覧は、応札受付終了後の2024年1月31日~2月7日に登録を受け付ける。各登録情報の審査期間は事業者情報が10月16~26日、電源等情報が10月24日~11月30日、期待容量が12月1~27日とされる。予定は変更される可能性があり、本機関ホームページまたは容量市場システムで案内される。約定結果は応札受付終了から3か月後を目途に公表予定だが、監視等委員会の監視状況等により前後する。
接続検討回答書は有効期限内のものが必要で、2024年1月15日までに提出できない場合、参加資格通知書を発行できず応札に参加できない。登録時に回答書が未準備の場合は、接続検討申込の受付受理時に一般送配電事業者等から通知される証憑で代替できる。接続検討申込から回答書発行までは通常約3か月とされる。期待容量登録・変更の具体的受付期限は募集要綱を参照する扱いで、この抜粋中には別途示されていない。
登録可能な電源等(1.2、Appendix.1)
対象は、設備投資が必要で、応札時点で供給力提供開始前の安定電源または変動電源である。既設火力の改修は、改修工事後の供給力提供開始前が対象となり、電源等情報登録時に本機関が審査する。参加可能設備容量は送電端で算定し、発電端容量から所内消費、自家消費、自己託送・特定供給、特定送配電事業者の利用、FIT/FIPに供する容量等を控除する。同時落札条件で複数電源の容量を合算する場合でも、原則として各電源の参加可能容量は1万kW以上である。
主な最低容量・要件は次のとおり。
- 調整式・貯水式水力、熱量ベースで水素10%以上混焼または水素専焼の火力、原子力、地熱、対象バイオマスの新設・リプレース等は原則10万kW以上。既設火力のバイオマス専焼改修は新たに生じるバイオマス部分が10万kW以上、アンモニア混焼(熱量ベース20%以上)または水素混焼(10%以上)改修は該当する新規部分が5万kW以上である。水素混焼ガスタービン追設には追設設備等10万kW以上が必要となる場合がある。
- 揚水式水力・蓄電池の新設・リプレースは送電端1万kW以上で、1日1回以上、3時間以上の運転継続が可能であることが必要。
- 流込式水力、太陽光、陸上・洋上風力の新設・リプレースは原則10万kW以上。LNGのみを燃料とする火力の新設・リプレースも原則10万kW以上。
同一場所の別電源との同時落札条件による容量要件の合算が認められる場合がある。水力リプレースの範囲、対象バイオマス燃料、火力改修等の詳細条件・例外は本文の注記に定められている。CCS付火力、アンモニア混焼を前提とするLNG火力の新設・リプレース、合成メタン発電所は制度上の対象とされる一方、本文記載の2023年度オークションでは対象外である。
火力(水素・アンモニア混焼、水素専焼を含む。ただし既設火力改修を除く)、揚水式水力、蓄電池には調整機能が必要で、制度適用期間中も維持する。一定の場合、1万kW以上10万kW未満の設備に簡易指令システムを認め、その場合LFC機能は必須ではない。
原則として、既にメイン・追加オークションで落札された電源(差替電源としての参加を含む)、FIT/FIP適用電源、業務規程第33条の電源入札で落札した電源、専ら自家消費等に使う電源、制度適用期間中に発電量調整供給契約がない電源は参加できない。ただし、既設火力の脱炭素化改修や2022年11月実施のメインオークションで初めて落札した電源などには例外がある。また、FIT/FIP等の対象外で供給力を提供できる部分や、自家消費等に必要な量を超えて逆潮流できる部分は登録可能となる場合がある。蓄電池・揚水を他種電源と同一場所に併設する場合の対象外条件や、同一場所の複数号機の扱いも本文に定める。
事前準備と事業者情報(1.3、第2章)
事業者情報・電源等情報の登録前に、事業者コード、クライアント証明書、系統コードを準備する。申込集中時は取得に最大3週間程度かかる場合がある。証明書は事業者コードごとに必要で、有効期限前に新しい証明書情報を登録する。系統コード未採番時は第3章所定の仮値を入力する。
落札後に国内法人を設立するコンソーシアムは、法人未設立の状態で事前手続を行った代表事業者名義で登録し、事業者情報にはコンソーシアム名と代表企業の正式名称を記載する。法人設立、契約名義変更・契約承継は約定結果公表日から原則1年以内とされ、法人設立後は直ちに契約承継手続を行う旨が記載されている。
事業者情報の登録にはシステム入力と様式1の誓約書提出が必要である。誓約書は記載・押印してシステムにアップロードし、原本郵送は不要。既登録事業者は新規登録不要で、内容を確認し必要に応じて修正する。審査合格後、登録完了通知と管理者ユーザ2件分のログイン情報がメールで届き、初回ログイン時にパスワード変更が必要。仮パスワードは通知日を含む3日間(翌々日まで)有効。不合格時は理由が通知され、再申込は最初から行う。
事業者情報の変更は登録期間中に限られ、終了後は原則不可。やむを得ない事情があれば速やかに本機関へ連絡し、可否は個別判断となる。変更申込では理由を入力し、内容に応じ誓約書提出を求められる場合がある。変更・取消とも、システムで仮申込をした後、審査画面で申込完了操作が必要で、審査開始前なら取下げ可能。取消が合格するとシステムにログインできなくなる。
電源等情報の登録・変更・取消(第3章)
対象は事業者情報登録済みの事業者で、電源(ユニット・号機)単位に安定電源または変動電源として登録する。2023年度時点では専用画面がなく、メインオークション用の画面・機能を便宜利用する。指定様式に正式情報を記載して添付し、システム画面には本機関指定の情報を入力する。安定電源では電源等情報登録様式と、対象となる水素・アンモニア混焼等の電源向け脱炭素化ロードマップを用意する。変動電源は登録様式を用いる。ロードマップ提出対象は、水素専焼火力(グレー水素に限る)、水素・アンモニア混焼火力、既設改修バイオマス、LNG専焼火力である。
システムでは「参加登録」から「電源等情報管理」に進み、安定電源または変動電源(単独)を選択する。実需給年度は一律3023年度とし、事業者コードは自動設定。未採番時の受電地点特定番号は22桁の9、系統コードは電源の場合「YYYYY」を入力する。様式の参加可能設備容量(送電端)と同じ値を同時最大受電電力・設備容量に入力する。電源種別は「99:その他」、発電方式は「999:その他」とする。提出資料をアップロードして実行した段階は仮申込であり、審査画面で「申込完了」を押して申請を完了する。6ファイル以上は完了画面の「提出書類追加」から提出する。
提出書類には登録様式、押印済み事業計画書、受電地点明細表、接続検討回答書等が含まれる。条件に応じて、複数系統エリアの確認資料、自家消費等の供出容量証憑、所有者と応札事業者の関係を示す体制図、環境アセスメント方法書手続開始の証拠、支援制度の補助金受領額証明、資金調達資料、該当するバイオマス燃料調達・証明書類等を提出する。環境アセスメントでは方法書そのものは手続開始の証拠とみなされない。合理的理由で期限までに様式・証憑が準備できない場合、延長が認められることがある。ロードマップ審査の結果、2050年までの脱炭素化の道筋がない、または技術動向に比べ取組が明らかに遅い等の場合、応札が認められない場合がある。
審査結果は登録様式に記載され、メールで通知される。総合結果は合格・条件付き合格・不合格、項目別結果は合格・仮合格・不合格である。合理的理由による未記入・未提出項目は仮合格となり、全項目合格なら総合合格、一部仮合格なら条件付き合格、一部不合格なら総合不合格。合格・条件付き合格は期待容量登録に進める。条件付き合格は不足情報・証憑を後日提出する。同時落札条件付き電源は、合格等の後に双方の電源等識別番号を登録様式へ追記し、互いに番号を連携して再アップロードする。不合格時は理由を確認して様式等を修正し再申込する。仮申込後に再度申込完了操作が必要である。
電源等情報の変更は、誤植修正・証憑追加等について登録受付期間中に申請する。期間終了後は条件付き合格電源の証憑追加、同時落札条件に関する番号追記等を除き、約定結果公表まで原則変更できない。やむを得ない場合は本機関が個別判断する。取消も仮申込後に審査画面で完了操作を行う。既にオークションに参加し容量確保契約を締結している場合等は電源等情報を取り消せず、契約解約等の手続が必要とされる。
期待容量(第4章)
期待容量は本オークションで応札できる最大容量であり、応札希望事業者は応札前に登録する。供計ガイドライン、本機関の考え方・調整係数および期待容量等算定諸元一覧を用いて算定し、電源区分別の様式を電源単位で作成する。数値は整数で入力する。安定電源(蓄電池・揚水以外)は月ごとの供給力最大値を1kW単位で入力し、計画補修等の停止電力は差し引かない。FIT/FIPと非FIT/FIPが混在する場合は非FIT/FIP分を入力する。蓄電池・揚水は能力減分反映後の月別発電可能電力と、最大出力での運転継続時間(3以上の整数)等を入力する。変動電源は指定項目を入力し、調整係数等は自動計算・設定される。
システム登録時は電源等識別番号、実需給年度、算定値を登録し、算定諸元一覧を添付する。実需給年度について、本文は3023年度と記載する一方、表4-4には蓄電池・揚水の年度を「302324年度」と記載しており、表記が不一致のため抜粋だけでは一方に決められない。赤いエラー表示がないことを確認するが、正当な理由があればエラー表示があっても提出できる例として同時落札条件による容量要件充足が示される。実行後は仮申込であり、審査画面で申込完了操作を行う。不合格時は理由を確認して修正・再提出する。
期待容量の変更は登録期間中に限られ、終了後は原則不可。やむを得ない事情は本機関へ速やかに連絡し個別判断を受ける。変更理由を記載して修正・書類追加を行い、審査画面で申込完了操作をする。審査開始前なら取下げ可能。不合格時は審査コメントを確認して再申請する。
応札(第5章)
応札には本機関発行の参加資格通知書が前提となる。期待容量登録を完了し参加資格を持つ事業者に、応札開始の一定期間前に発行される。通知書や画面に「メインオークション」と表示される場合があるが、本文では実需給年度3023年度・メインオークションを選択して検索し、長期脱炭素電源オークションの通知書として扱う。応札開始前営業日までに発行通知がなければ、システムで状況を確認して本機関へ問い合わせる。
期待容量登録時の算定諸元一覧をダウンロードして応札容量を算定し、ファイル名を「エリア_長期応札容量_電源等識別番号.xlsx」とする。安定電源(蓄電池・揚水以外)は月別供給力を最大値以下の1kW単位で入力し、表示された自動計算の応札容量を用いる。蓄電池・揚水は月別管理容量を応札出力以下で入力し、運転継続時間を運用リスクを踏まえて1時間単位で入力する。変動電源の応札容量は登録期待容量以下とする。
応札は電源(ユニット・号機)ごとに行い、同一電源の複数応札は原則不可。実需給年度は3023年度、容量オークション区分はメインオークションを選択し、識別番号、応札容量、価格を入力する。応札価格は10万円未満なら実価格、10万円ならシステム上0円を入力する(0円は10万円として扱われる)。画面の「円/kW」は本オークションでは「円/kW/年」と読む。登録後、一覧の状況が「応札済」であることを確認する。受付期間中は応札容量・価格の変更・取消が可能である。
応札登録完了は容量確保契約の申込みとみなされ、約定結果公表日に公表内容に従う契約が成立する。応札容量算定に使った一覧は、応札受付期間終了後5営業日以内に提出する。登録時のファイルを削除せず、応札容量を追記した一覧を変更申込みとして提出し、期待容量欄は変更せず、変更理由を記載する。審査により応札容量との一致を確認し、不備は速やかな修正・再提出を求められる。期限までに適切な一覧を提出しない場合、市場退出とみなされる場合がある。
監視等委員会が価格に含めることを認めない費用を指摘した場合、事業者は価格を再算定し、監視等委員会の確認後、通知日から14日以内に本機関へ修正を申し出る。事業報酬・事業税も再計算する。約定処理は修正前価格で行い、落札時の契約金額は修正後価格を基に算定する。指摘費用が認められず投資回収困難と判断した場合は、通知日から14日以内に監視等委員会と本機関へ取下げを申し出る。本機関へはシステム、監視等委員会へはメールで申し出る。監視完了後、本機関が約定処理を行い、落札・非落札結果をメール通知する。結果公表後に参加登録情報やロードマップの変更が必要な場合は、速やかに本機関へメールで依頼する。
容量確保契約(第6章)
落札事業者は契約書確認依頼に対し、修正不要なら「修正無し」、修正が必要なら内容を返信する。本機関の承認後、契約書本紙2部が郵送され、事業者は甲として記名・押印し1部を返送、1部を保管する。記名日は契約締結日と異なり、締結日・効力発生日はいずれも約定結果公表日。収入印紙は不要とされる。契約書は本紙・別紙・約款で構成される。
契約変更の例は、契約上の地位等の譲渡や事業者名変更、市場退出、支援予想額と実額との差、落札後に支援制度適用が決まった場合等であり、詳細は約款第4章第31条を参照する。アセスメント対象容量の再算定が必要な場合は、本機関の依頼に応じて諸元一覧を更新し、「エリア_長期契約変更_電源等識別番号_変更回数.xlsx」の形式で提出する。審査画面で申込完了操作を行い、審査結果に対応する。変更契約書も確認・修正連絡の後、承認通知を受け、2部のうち1部に記名・押印して返送する。
全電源等が全量市場退出する場合は解約合意書を用いる。監督官庁による業務停止、支払停止・不能、不渡り、一定の差押等、信用資力に影響する重要な運営変更、債務超過のおそれ、倒産手続等、解散決議、市場支配力の行使その他市場の公正を害する違反行為等は、解除通知書が送付される場合として列挙される。本機関が該当すると判断した場合も手続対象となる。解約合意書は内容確認・修正連絡、承認後の記名・押印・返送を行い、本機関が解約を登録する。解除通知書を受領した場合は、本機関指定日付で契約が解約される。契約変更・解約等の具体的な日付期限は抜粋に示されていない。
付録・抜粋の範囲
Appendix.2では個別規則がない提出書類に「L2023_事業者コード_電源の名称_ファイルコード_R改定回数」を用い、初回は改定回数を省略する。50文字を超える場合は電源名を短縮する。電源等情報登録様式はExcelとPDF、その他はPDFで提出する。Appendix.3では応札受付期間中の応札変更・取消と一時保存後の登録方法を示すが、5.5の価格修正・取下げには適用しない。様式例や業務手順図は記入例・手順の流れを示すものであり、そこにある年度・数値・名称を一般要件とはできない。変更履歴は2023年10月4日付の初版(新規作成)のみ。抜粋末尾には手順図等も含まれるが、資料全体の結論や本文にない条件は特定できない。