文書の範囲と対象年度
本文は、需給調整市場の取引規程本則および商品別冊の抜粋で、各ページに2026年7月1日改定と表示されています。対象年度は明記されていません。改定履歴は示されていますが、個々の改定内容や改定前後の差分は特定できません。目次にある事前審査、入札、約定、調整、アセスメント、精算等のうち、具体的な内容は提示範囲に記載された事項に限ります。
目的・対象商品(第1・2条)
規程は、需給調整市場における需給調整力の取引、運用、精算等を定めます。対象商品として、FIT特例制度①・③を利用する再生可能エネルギーの予測誤差に対応する三次調整力②(RR-FIT)、ゲートクローズ以降の長周期予測誤差等に対応する三次調整力①(RR)・二次調整力②(FRR)、時間内変動や電源脱落等に対応する二次調整力①(S-FRR)・一次調整力(FCR)が挙げられています。沖縄電力の供給区域を除き、一般送配電事業者が全国一市場で調達し、余力活用契約で調達した電源等とあわせた広域的な調整を行い、全国大で最経済となることを目指すとされています。第2条は、取引会員、リソース、ΔkW、調整電力量、供出可能量、応動・継続・遅れ時間、基準値、計画、システム、商品区分等を定義します。
営業日・会員資格・加入と脱退(第3~11条)
市場は原則、年間各日を営業日としますが、市場運営者は必要に応じ臨時休業日を設定できます。入札以外の申込や問い合わせ等の受付は、平日9時~17時です(平日は土日祝日、1月2・3日、12月29~31日を除く)。
会員資格には、法人格、純資産額1,000万円以上、適格請求書発行事業者であることの全要件が必要です(第4条)。発電・需要双方のリソースで取引を予定する事業者には、希望により資格を2つ付与する場合があります。会員は毎年3月末現在の純資産額調書を作成し、原則毎年7月末までに提出します。市場運営者が請求した場合、調書の内容を証明する書類も添付します(第5条)。加入時の調書は、入会申込日直前の年度末現在のものです。
重大な規程違反、反社会的勢力排除条項への該当、破産等の手続中、他市場等からの除名事由が未解消などの場合は欠格事由となります。取得後に欠格事由に該当した場合、または資格要件を満たさなくなった場合、市場運営者は除名できます(第6条)。
加入希望者は規程等を守ることに同意し、所定の参加申込書に記名捺印して郵送します。誓約書、純資産額調書、登記事項証明書、直近事業年度の貸借対照表等を添付し、誓約を証明する書類は必要に応じて提出します(第7条)。市場運営者は審査後、拒絶時には理由を付して通知し、承認時には審査結果通知書を送ります。通知が到達した時点で資格を取得します。審査のため臨席や意見聴取を求める場合があります(第8条)。資格取得後、取引関連業務の委託は申請し、市場運営者が承諾した場合に限り可能です。任意脱退は脱退予定日を事前に通知し、解散・除名では当然脱退となりますが、脱退前の取引債務は免れません(第9~11条)。
取引資格、リソース要件、登録・システム(第12~24条)
取引できるのは取引会員であり、リソースが第13条および各別冊第26条の要件に適合し、会員が属地エリアの一般送配電事業者と需給調整市場に関する契約を締結していることが必要です。取引会員自身はΔkWを調達できません(第12条)。
会員は提供期間中、約定ΔkWを供出可能な状態に保ち、計画・発電上限に約定量や出力制約を反映し、一般送配電事業者の指令に従います。一次調整力は周波数偏差を検知し調定率に基づき調整します。提供期間終了時の復帰指令はありません。発動指令電源の発動指令(実効性テストを除く)および実効性テスト指令は、それぞれ優先されます(第13条)。受電点参入・機器点参入では契約、承諾、情報共同利用等の条件が異なり、同一受電点で両方式を併用できません。機器点参入では特例計量器等の設置・計量申込み等が必要で、設備・通信条件や参入要件未達の場合、申込みが承諾されないことがあります。1受電点あたり特例計量器等は最大4台で、2台目以降は他の計量との重複を避ける並列接続です。特例計量器の場合、特定計量開始の30日前までに経済産業大臣への届出が必要です。
設備・性能要件には、原則オンラインでの出力制御(一次調整力を除く)、商品ごとの応動時間、入札単位、通信・計量設備等が含まれます。例として、二次調整力①の遅れ時間は120秒以内(2023年4月以降に系統連系申込みを行う新設発電機は30秒以内)、一次調整力の応動開始は2秒以内です。契約受電電力や供出可能量等に応じて入札単位が異なり、設備費用は会員負担です。
取引は需給調整市場システムで行い、必要機材、操作、会員名義の取引責任は会員が負います(第15条)。稼働は原則営業日0~24時で、市場運営者は稼働時間変更や臨時停止等を行えます。仮想取引、相場操縦、虚偽報告、要件不適合リソースへの差替え、供出可能量超過入札や指令不応動、計画の実態乖離、計量データ改ざん、不合理な情報漏えい等は禁止され、違反時は除名の対象となり得ます(第16条)。会員は取引データを登録し、変更時は遅滞なく再登録します(第17条)。
V1・V2単価は原則登録しますが、一次調整力のみの場合は不要です。初期単価は事前審査申請に合わせて登録し、通常の週次単価は毎週火曜14時までに当該週土曜から翌週金曜分を登録します。未登録なら初期単価が適用され、変更は各30分コマの実需給開始1時間前までです(第18条)。マスタパターン等は属地エリア・商品区分ごとに登録し、各リスト・パターンは最大499件です(第19条)。通常変更は前回申込(初回登録を含む)から3か月経過後ですが、既登録リソースを使い供出可能量が基準パターンの±10%以内の派生パターン変更は入札希望日の10営業日前までに申込可能です。群リソースの変更、切替え、トラブル、番号変更、契約廃止等には条件付きの例外があります。異なる属地エリアのリソースの同一パターン登録や所定の重複登録は禁止です。
性能確認(第21条)はデータ登録時に申請し、一般送配電事業者が原則3か月以内に確認します。必要資料を登録し、大容量データは指定媒体等で提出します。資料で確認できない場合等は実働試験を行い、費用は会員負担です。不適合リソースは当該商品で取引できず、性能データ変更時は再登録・再申請し、原則再確認を受けます。派生パターン変更は原則10営業日以内に確認し、条件該当時は第26条要件に適合するものとみなす扱いがあります。第22・23条は指令・監視、通信、応動、継続、並列可否等の確認項目と提出資料を定めます。稼働データは三次調整力②で5分ごと、三次調整力①・二次調整力②で1分ごとの値が示され、供出可能量到達の確認時間はそれぞれ60分、15分、5分です。第24条の実働試験は原則リソース・商品区分ごとに行い、候補日時を会員が通知し、一般送配電事業者が系統状況等を考慮して決定します。指令応動、継続時間、一部指令、ゼロ指令等を確認し、三次調整力②は5分ごと全点が許容範囲内、三次調整力①・二次調整力②は30点中90%以上が許容範囲内なら適合と判断します。条件により別商品区分の試験省略が認められる場合があります。
入札・約定・計画(第25~34条)
取引対象ΔkWは供給電力量の増加または制御する消費量の減少による調整です。リソースは属地エリアの一般送配電事業者とオンライン接続し、指令制御とオンライン監視が可能であることが必要です。応動時間上限は三次調整力②60分、三次調整力①15分、二次調整力②5分で、入札量上限は確認済み供出可能量、最低入札量は1,000kWです(第25・26条)。
取引は原則、翌日の30分商品ブロックを対象とし、入札受付は実需給前日11時30分~14時、取消・変更も同時間内です。調達希望量は前日11時30分に公開されます。市場運営者は必要時に受付延長、取引停止・休止等を行えます。三次調整力①・二次調整力②では当面、商品別上限価格を実需給日の2週間前までに公開します(第27~30条)。会員は商品ブロックごとに登録済みリソースを選び、電源等コード、希望ΔkW、最小約定希望量、単価等を登録します。確認済み上限超過や同一時間帯の同一系統コードの複数パターン使用は禁止されます。同一電源の異なる単価での分割入札は可能です。商品間入札には重複を避ける等の制約があり、三次調整力①・二次調整力②は当面、公開上限価格以下で入札します(第31条)。
約定は全国一市場のマルチプライス方式で、商品ブロックごとに必要量を満たし調達費用が最小となるよう行います。複合商品では複合必要量も考慮します。約定順位は単価の安い順、同単価なら経由連系線数の少ない順、さらに同数なら系統上優先されるエリアの順ですが、最小約定希望量、連系線容量、計算収束等により順位どおりとならない場合があります。原則、前日15時までに処理し、混雑時は分断後エリアごとに行います(第32条)。市場運営者は約定結果を速やかに通知し、通知で取引が成立します(第33条)。会員は約定ΔkWを維持し、指令に従います。
約定会員は約定結果を反映した計画等を提出・登録します(第34条)。記載された多くの計画・基準値計画等は商品ブロック開始1時間前までに登録し、開始まで1時間未満となったブロックの値は変更できません。需要リソースの直前計測型では、複合商品の別冊に基づき開始5分前から開始までの需要実績を1分ごと等で送信し、1分基準値はその平均値とします。未送信実績が所定期限までに補完通知されれば送信扱いとなる場合があります。直前計測型基準値内訳実績は商品ブロック月の翌月10日までに登録します。約定パターン番号と計画等の番号が不一致の場合、該当計画等は未提出扱いとなります。
調整・差替え・トラブル・アセスメント(第35~41条)
指令は属地エリアの一般送配電事業者が行います(第35条)。簡易指令システムでは、三次調整力②は到達時刻60分前、三次調整力①は15分前、二次調整力②は5分前までの指令が基本です。指令がない場合は直前指令または所定の計画等に基づく運転を継続し、初回指令がない場合に指令量をゼロとみなす扱いがあります。専用線指令の方法は契約・リソース等で異なります。提供期間終了時の復帰指令はありません。上げ指令は原則V1単価の安い順、下げ指令はV2単価の高い順ですが、系統制約等の例外があります。
差替えは提供期間開始1時間前までにシステムへ再登録し、計画等も直ちに提出・登録します(第36条)。差替可能量、同一時間帯のパターン使用、商品区分、要件適合、属地エリア等の制限があり、差替後の単価は原則差替前を上回れません。供出不能時は開始1時間前までに代替リソースを再登録し、できない場合は代替不可申請を登録して一般送配電事業者へ連絡します(第37条)。地内系統混雑による場合には連絡・理由書の例外があります。一般送配電事業者から開始1時間前までに要請があれば、会員は可能な範囲で代替供出等に協力します(第38条)。
一般送配電事業者は30分コマごとに、約定量を供出可能な状態に保ち指令に従って調整したかを確認します(第39条)。アセスメントⅠでは供出可能量が約定量を下回らないかを評価し、未提出計画や標準規格不適合の計画等は供出可能量ゼロ扱いとなる場合があります。同一リソースの複数約定は単価等に基づき評価し、参入方式・電圧・リソース種別に応じて供出可能量を算定します。直前計測型の需要実績等が全く送信されない場合や内訳実績未提出の場合もゼロ扱いとなる条件があります。アセスメントⅡでは指令への実調整を評価し、商品により30分単位または1分単位で確認します。三次調整力①・二次調整力②は30点中90%以上が許容範囲内なら適合とされます。許容範囲は約定量の10%幅を基本とし、指令変更、応動時間、接続方式、余力活用契約等に応じて算定します。欠測・計測誤差等では協議や代用データによる再算定があり得ます。
アセスメント不適合のペナルティは30分コマごとです(第40条)。アセスメントⅠはΔkW料金×未達率×1.5が基本、代替不可申請等は所定の倍率で別途算定します。アセスメントⅡはΔkW料金×1.0が基本で、アセスメントⅠにも該当する場合は所定の未達率算式を用います。系統起因の出力抑制や一般送配電事業者起因等には、倍率変更またはペナルティ・不適合回数積算の対象外となる条件があります。
第41条では、不適合時の是正勧告、取引停止、除名等を定めます。同一暦月内の不適合回数等により新規取引停止となる場合があり、解除に実働試験を要することがあります。想定外事故等を市場運営者が認めた場合、その後の期間を処分や回数積算の対象外とできる規定があります。不正行為が確認された場合は停止・除名の対象となり得ます。
計量・精算・違約処理等(第42~66条、別表)
第42条は、受電点または機器点での30分計量、欠測時の補完等を定めます。機器点では取引会員側が検針データをIoTルートで送信し、補完できない場合に実績電力量を0kWhとする扱いがあります。第43条はリソース種別、参入点、電圧、計画・基準値等に応じた調整電力量の算定を定め、正値を上げ、負値を下げとします。所定の供出不能等では算定対象外となる場合があります。
第44条の返還情報は、持ち下げ単価や起動費を含む入札・約定等の条件に該当する場合、提供期間が属する月の翌月第1営業日までに登録します。起動費返還は、原則として供出のために起動しなかった場合が対象ですが、余力活用契約下で起動指令を受けた場合等の例外があります。第45~50条は約定料金、調整電力量料金、ペナルティ、手数料、税、端数処理等を規定します。料金算定期間は毎月1日から月末までです。
一般送配電事業者は原則、提供期間の翌々月15日までに料金を通知します(第47条)。通知翌日から5日以内に誤りの連絡がなければ仕入明細等に同意した扱いとなり、差額請求書は原則通知翌日から6日以内に送付、請求額は同月末までに支払います(第51条)。未払いには所定の条件で年10%の延滞利息が発生します。第52~54条は規程違反時の取引停止・除名等、第55~65条は情報管理、責任、規程改定、反社会的勢力排除等を定めます。第66条の売買手数料はΔkW約定量に応じた従量制で、翌年度分を当該年度最初の実需給日の2週間前までに公開します。年度途中改定も所定条件と事前公開期限があります。
別表1~4は、瞬時供出電力の算定、専用線オンラインの事業者別指令方式・周期、複数商品約定時の指令方法、機器点計量値の供給地点換算に用いる変圧器損失率等を示します。別表4の販売年度区分には2026年度以降が含まれます。改廃履歴は2020年1月9日の制定から2026年7月1日まで列挙されていますが、提示本文から各改定の具体的内容は特定できません。