需給調整市場における追加調達一時中断に関する報告
資料の目的・背景
2024年5月15日付のこの資料は、需給調整市場における追加調達一時中断に関する報告及び課題に対する「応急対策」の基本的考え方を示している。2024年度より需給調整市場が全面運開し、新たな調達メカニズムが導入される中で、応札不足や調達費用の高騰といった課題に直面している。これらの問題に対処するため、本小委員会により市場の必要性や調達力検討が行われている。
主要な検討内容・論点
需給調整市場の運開と調達の現状
- 2024年度より需給調整市場が全面運開し、一次、二次、三次商品および複合商品の週間調達が開始される。
- 現在、応札不足の状況が続いており、前日断面での追加調達を行っているものの、調達不足が発生している。
- 特に、前日の三次②取引において調達費用が高騰している。
調達費用の高騰とその影響
- 三次②調達費用の高騰は、FIT賦課金や託送費の増大を招き、国民負担の増大につながっている。
- 調達不足の影響を受け、追加調達の一時中断が求められている。
追加調達一時中断に関する決定事項
- 2024年4月30日取引分(5月1日受渡分)より、追加調達を一時中断することが決定された。
- この決定は、資源エネルギー庁との協議や事業者ヒアリングを踏まえたものである。
今後の予定と対応策
課題に対する「応急対策」の基本的考え方
- 重篤な課題に対し、早急かつ効果的な対策を講じることが重要である。
- 市場として本来あるべき姿を目指しつつ、ディスインセンティブが生じないような対応が求められる。
検討が必要な課題
- 調達競争を活性化し、資源経済性を向上させるための上限価格設定や追加調達の見直しが必要となる。
- 市場外調達や余力活用契約の動向についても注視し、全体コストの動向を確認する必要がある。
重要な数値・データ
三次②取引実績
| 取引期間 | 募集量 | 応札量 | 落札量 | 平均単価 |
|---|
| 2024年4月 | 約2.9倍増 | 約0.7倍 | 変わらず | 約3.6倍 |
- 三次②募集量: 昨年比で約2.9倍
- 三次②応札量: 昨年比で約0.7倍
- 平均落札単価: 昨年比で約3.6倍の高額
調達費用の動向
| エリア | 週間商品 | 前日商品 | 総額 |
|---|
| 北海道 | 1,213 | 1,397 | 2,611 |
| 東京 | 486 | 7,002 | 7,488 |
| 関西 | 2,173 | 1,596 | 3,768 |
- 各エリアで調達費用の高騰が確認されており、2023年度年間総額を上回る可能性がある。
課題・リスク
- 需給調整市場が未熟な状態であるため、競争の不適切さや調達不足が続いている。
- 応急対策の実施が市場の本来の姿を損なわないように配慮が求められている。
結論
需給調整市場における現在の状況は、応札不足や調達費用の高騰といった課題が存在するため、追加調達の一時中断及び課題に対する「応急対策」を早急に講じる必要がある。この基本的考え方に基づき、今後はより持続可能で競争的な市場の構築が期待されている。
追加調達一時中断の効果(影響評価)
背景
追加調達の一時的な中断により、電力市場における募集量と高値での約定に関して以下の影響が生じた。
主要なポイント
-
募集量の減少:
- 二次②及び三次①の追加調達が中断された結果、募集量は約6割減少。
-
高値での約定の変化:
- 4月に多く見られた100円/ΔkW・h以上の高値での約定も約6割減少。
影響評価
- 追加調達の中断は5月1日から始まっており、現時点での事業者の応札行動には目立った変化はない。
- 現在、影響を評価するには時期尚早とされるが、4月の高値約定が減少していることから、競争効果が働いていると考えられる。
今後の対応
- 競争効果に関する定量的な分析は行われていないため、応札事業者への影響を観察する必要がある。
- 現在実施中の追加調達の中断については、取引状況を分析しながら、5月中に開催予定の作業部会で最終判断を行う予定。
募集量と高値約定のデータ
| 単位千kWh | 前日商品の募集量合計 | 高値等の定義100円/ΔkWh以上 |
|---|
| (A) 2024年4月24日30日 | 887,769 | 19,690 |
| (B) 2024年5月1日7日 | 377,454 | 8,458 |
| 1-(B)/(A) | 57.5% | 57.0% |
今後の市場に向けた検討事項
応急対策の評価
- 今回の応急対策は一時的なものであり、以下の点を重視することが求められる。
- より多くの安価な電源が市場に参加できる環境の整備。
- 本質的に不要な断面の調整力を削減する。
実施内容
- 中長期的なアプローチが必要であり、技術的検討や規制的措置を含む。
- 実務的・技術的な論点は既に整理済みであり、今後の取り組みが重要である。
市場運営に関する検討体制
- 需給調整市場の創設に向け、資源エネルギー庁、広域機関、監視等委員会が一体的に検討を行う。
検討の枠組み
| 機関 | 役割 |
|---|
| 資源エネルギー庁 | 市場設計、運営主体・ルールの検討 |
| 電力広域的運営推進機関 | 市場運営に係る詳細検討 |
| 電力・ガス取引監視等委員会 | 参入要件・市場監視等の在り方について検討 |
まとめ
本資料では、追加調達の一時的な中断が市場に与える影響や今後の市場運営に向けた検討事項が示された。引き続き市場状況の観察と分析が重要である。