発動制限ΔkWに関する技術検討資料のまとめ
資料の目的・背景
本資料は、第55回調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会の一環として、同時市場における発動制限ΔkWの取り扱いについての議論を整理したものである。また、海外事例の調査を通じて、日本におけるΔkWマージンの考え方や発動制限の課題を明確にした。
主要な検討内容・論点
海外の事例調査
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第2回同時市場の検討会(2023年9月20日)
- 同時市場における発動制限ΔkWの課題について意見を収集。
- 海外事例の調査と連系線マージンの見直しの必要性が指摘された。
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第53回作業会(2023年10月5日)
- 増加する混雑に対する調整力や予備力のマージンについての課題が提起された。
調整力および発動制限の取り扱い
- 電源起動・出力配分のロジックでは、kWhだけでなくΔkWも扱う手法が検討された。
- 技術的課題が発生した場合、ΔkW確保エリアの細分化や発動制限への対応を進める必要がある。
送電容量制約の検討
- 系統制約を避けるため、発動制限ΔkWを含む送電容量制約の最適化が求められる。
- 現状では、計算負荷の面で課題があり、海外の実績も見受けられない。
海外事例:PJMの混雑処理
- 米PJMでは、混雑発電線を対象にΔkWの確保エリアを細分化し、発動制限を回避する方法が採用されている。
- ただし、細分化エリア内でも混雑が発生する可能性があり、その対策が求められる。
今後の予定・課題
- 海外の事例を参考にしつつ、同時市場におけるΔkWの調整力確保の方法およびマージンの取り方について議論が行われる。
- 系統制約と調整力の関係についても、引き続き検討が必要であり、合理的な運用戦略の策定が求められる。
発動制限ΔkWへの対応に関する広域機関事務局の所見
米国における考え方と示唆
- 米国では運用容量をkWhで使い切る方針を取っており、アンシラリー用のマージンは確保していない。
- kWh・ΔkWを合わせた運用容量制約は複雑で、実装が難しいという感触が示された。
- ΔkW発動時の超過問題については、レギュレーションの場合は瞬時超過を無視し、リザーブの場合はコンティンジェンシーとして切り替える考え方がある。
日本の運用容量の厳格さ
- 日本の運用容量の考え方は厳密すぎる可能性があり、米国との系統構造の違いに起因する。
- メッシュ形の米国に対して、日本は長距離形の系統で、安定度・周波数制約が主な要因となっている。
今後の検討方針
- 厳密なロジックによる制約条件の検証を続けつつ、米国と日本の違いも考慮し、運用容量の割り切りについて検討していく意向が示された。
発動制限ΔkWへの対応(米国と日本の比較)
| 対応する事象 | 商品区分 | 判断基準 | 発動制限 ΔkWへの対応 |
|---|
| 平常時 | 時間内変動 (極短周期成分) | (強制拠出) | 平常時運用容量の瞬時超過は許容 |
| 平常時 | 時間内変動 (短周期成分) | Regulation | 平常時運用容量 (110%) |
| 緊急時 | 電源脱落 (瞬時) | Primary Reserve | SFT補正で影響緩和、超過は許容、5分後にSCED補正 |
| 緊急時 | 電源脱落 (継続) | Secondary Reserve | |
現行の日本におけるΔkWマージンの考え方
現状の前提
- 日本は「連系線しか混雑が発生しない」かつ「エリア単位の調整力必要量が存在する」ことを前提に、連系線にΔkWマージンを設定することで発動制限を回避している。
課題
- 平常時の時間内変動における二重確保の課題や、緊急時の電源脱落における割り切りが存在している。
ΔkWマージンの具体的考え
| 対応する事象 | 現行の需給調整市場 | 判断基準 | 発動制限ΔkWへの対応 |
|---|
| 平常時 | 時間内変動 (極短周期) | 一次GF | 単にΔkWマージンを設定 |
| 平常時 | 時間内変動 (短周期) | 二次①LFC | 単にΔkWマージンを設定 |
| 緊急時 | 電源脱落瞬時 | 一次二次①GF, LFC | 単にΔkWマージンを設定 |
| 緊急時 | 電源脱落継続 | 三次①EDC | |
今後のスケジュールと予定
- 二次①の広域運用は遅くとも2026年度予定。
- 広域調達は2027年度からを目指す。
- 随時、現時点でのΔkWマージンの取り扱い整理が必要。
結論
- 米国と日本の運用容量に関する考え方の違いを踏まえ、今後の運用方法の検討が求められる。特に、日本における厳密な制約が技術的にどのように影響するかを考察する必要がある。