対象・参加者
本資料は、電力広域的運営推進機関が2025年7月31日に公表した「容量市場 メインオークション募集要綱」で、対象実需給年度は2029年度(2029年4月1日~2030年3月31日)、対象地域は沖縄地域とその他地域の離島を除く全国です(第1章3)。応札を希望する事業者は本要綱に従って手続きし、落札した事業者は本機関と容量確保契約を締結します。
参加登録できるのは、実需給年度に電気事業法第22条の3に定める電気供給事業者で、自らまたは他者所有の電源等を用いて応札する意思があり、日本国内に本店または主たる事務所を持つ国内法人です(第3章3(4))。登録・応札費用は事業者負担、書類は日本語、通貨は円貨です。法令、本機関の定款・業務規程・送配電等業務指針の遵守が必要です(第2章1)。
登録対象と制約
供給計画に計上済みまたは計上見込みの電源を、安定電源または変動電源として登録できます。安定電源は所定の水力・火力・原子力・再生可能エネルギー・蓄電池等で期待容量1,000kW以上、変動電源(単独)は所定の水力または再生可能エネルギーで1,000kW以上、変動電源(アグリゲート)は同一供給区域の小規模変動電源を組み合わせて1,000kW以上が要件です。発動指令電源は、所定の電源等または特定抑制依頼等により1,000kW以上を提供するものが対象ですが、変動電源および変動電源だけの組合せは対象外で、オンライン機能が必要です(第3章3(5)、第4章3)。
FIT買取期間またはFIP適用期間が実需給年度と重なる電源は原則登録できません。本文所定の非FIT相当分、混焼バイオマスの非FIT相当分、石炭・バイオマス混焼電源の制度移行手続、洋上風力ゼロプレミアム案件におけるバランシングコスト相当分FIP交付金の受領放棄等には例外があります。電源入札で落札した電源、実需給年度に供給力を提供できない電源、専ら自家消費・自己託送・特定供給・特定送配電事業に使う電源、所定の託送契約がない電源なども原則対象外です。ただし、自己利用等に必要な容量を超えて供給力を提供できる部分は登録可能な場合があります。長期脱炭素電源オークションの契約容量は、制度適用期間が本オークションの実需給年度と重なる場合には参加できません(第3章3(5))。
応札単位は、安定電源・変動電源(単独)が計量単位ごと、変動電源(アグリゲート)が小規模変動電源リストごと、発動指令電源が電源等リストごとです。応札容量は1,000kW以上で1kW単位。同一電源の参加登録重複は認められません。一定の場合、安定電源を発動指令電源の1リソースとしても登録できます(第3章3(6)、第4章1)。
登録・応札の手続と日程
参加登録・応札は容量市場システムで行います。事業者コード、系統コード、クライアント証明書が未取得の場合は登録前に取得します。事業者情報、電源等情報、期待容量の順に登録し、各段階の完了後に次の情報を登録できます。登録後に変更があればシステムで手続きしますが、応札受付終了後から約定結果公表までは登録内容を変更できません(第3章1、第4章1)。
2025年度の主な受付期間は、事業者情報が8月4日~8月8日、電源等情報が8月4日~8月19日、期待容量が9月9日~9月19日、応札が10月14日~10月24日です。審査期間は順に8月4日~13日、8月4日~9月5日、9月9日~10月2日です。応札容量算定に用いた期待容量等算定諸元一覧は10月27日~11月4日に受け付け、約定結果は2025年12月頃に公表予定です。不測の事態による日程変更の可能性があります(第3章1)。
事業者情報として正式名称、所在地、銀行口座、担当者情報、適格請求書発行事業者登録番号等を登録し、参加登録申請に伴う誓約書(様式1)を提出します。過去の容量オークションで登録済みの情報・誓約書は、内容確認と必要な修正を行えば再登録・再提出不要の場合があります(第4章2)。電源等情報には実需給年度時点の想定情報を登録し、区分ごとの証明書類を提出します。新設電源等で合理的理由がある場合は書類提出期限が延長されることがありますが、2029年1月末予定の追加登録期限までに必要書類等が揃わない場合、全量退出となることがあります。変動電源(アグリゲート)の書類は原則2026年3月末日までに提出します(第4章3)。
期待容量は電源等ごとにkW単位で登録します。安定・変動電源は様式2の算定要領等、発動指令電源は実績と将来計画に基づき算定して様式3を提出します。アグリゲートは内訳の期待容量を合算します。FITと非FITが混在する計量単位は非FIT分で算定し、所定のバイオマス混焼FIT電源は設備全体から認定バイオマス比率相当分を差し引きます。ブラックスタート機能を持つ所定の揚水・蓄電池は必要電力量相当分を除きます(第4章4)。
参加登録完了通知後、電源等ごとに応札容量と税抜き応札価格(円/kW)を登録します。容量上限は登録済み期待容量、価格は1円単位です。受付期間中は変更・取消ができますが、終了後はできません。応札登録は容量確保契約の申込みとみなされ、約定結果公表日に公表内容に従う契約が成立します。応札後、発動指令電源を除き、指定期限までに応札情報に関する事項を記載した様式2を提出します。不備が期限までに解消されない場合、応札が認められないことがあります(第5章)。
落札・契約
落札電源は全国の需要曲線と応札価格順の供給曲線で決定し、原則、需要曲線との交点の応札価格以下の電源等が落札します。応札単位の部分約定はありません。同価格で境界となる場合などは落札容量や供給信頼度シミュレーション等に基づき調整し、エリア(ブロック)に供給力不足があれば市場を分断して追加・減少処理します。発動指令電源には応札上限容量と調整係数が適用され、調整係数反映後の容量が1,000kW未満なら非落札です(第6章1)。
約定価格は原則、落札電源の最高応札価格を全体に適用する第1価格決定方式・シングルプライス方式です。市場分断時はエリアプライスを設定します。市場競争が限定的なおそれがあるエリアでエリアプライスが隣接エリアの1.5倍を超える場合、上限は隣接エリア価格の1.5倍となり、それを上回る価格で落札した電源には個別応札価格によるマルチプライス方式が適用されます。需要曲線と供給曲線が交差しない場合は落札電源の最高応札価格が約定価格です(第6章2)。
約定結果は2025年12月頃に公表予定で、エリアごとの約定容量・価格・総額、マルチプライス分の容量・総額、落札電源ごとの事業者名・電源ID・落札容量等が公表されます。落札後の契約手続きは約定結果公表日から2026年3月頃まで、契約結果公表は2026年4月頃の予定です。落札電源は原則供給計画に計上しますが、所有者が発電事業者に該当しない場合等は不要です。必要情報の不提出や契約書面の未締結等は一定期間の参加制限などの参入ペナルティの対象となる場合があります(第3章2、第6章4~6)。
契約金額・経過措置・市場退出
容量確保契約金額は、電源等ごとの契約単価に契約容量を乗じた額を基準に、経過措置による控除額と調整不調電源の減額を差し引いて算定します。契約単価はメインオークションと調達オークションの個々の電源の約定価格を落札容量で加重平均し、円未満切捨てです。リリースオークションで部分リリースした後の契約容量に適用する単価はメインオークションで決定したものです。発動指令電源の契約容量は応札容量に調整係数を乗じ、1kW未満を切り捨てます。月額は原則年間額の12分の1を円未満切捨てとし、3月分は年間額から4~2月分の合計を差し引きます。設計効率がHHV・発電端で42%以上と確認できない非効率石炭火力は減額率20%相当を控除します。対象外ユニットとの混在時は対象外の減額率を0%として設備容量で加重平均し、契約容量と発電設備容量が異なる場合の送電端計量値は比率補正します。
安定電源・変動電源(単独)は、2010年度末までに建設され、かつメインオークション応札価格が当該エリア約定価格に応札内容に応じた控除額係数を乗じた価格以下の場合、経過措置の対象です。2011年度以降の増出力分も対象ですが、2011年度以降から電源等情報登録前までに同一構内で同時期に発電機の主要電気設備をすべて更新し、本機関が認めた場合は対象外となることがあります。約定価格が指標価格の50%以下なら控除せず、50%を超えても控除後価格が50%以下となる場合は、適用後価格が50%となるよう控除額を調整します。係数等の詳細は容量確保契約約款附則(2021年7月1日)第2条によります。
実需給年度開始前または期間中に契約容量を減らす場合は市場退出となり、退出後の契約容量が1,000kW未満なら全量退出です。年度開始前は、契約効力発生日から「容量確保契約の変更又は解約の確認」期間終了日までの退出について契約金額×5%×退出容量÷契約容量、終了日の翌日以降は5%を10%に置き換えて算定し、円未満を切り捨てます。前者のペナルティは追加オークション結果等に応じて調整され、調達オークションがない場合、または当該エリア約定価格が本オークション価格以下の場合は全額返金です。調達価格と本オークション価格の差が本オークション価格の5%未満なら、既払額から価格差×退出容量を差し引いた額を返金します。実需給期間中の退出は契約金額×10%×退出容量÷契約容量です。算定通知に異議がある場合は申し出ることができ、本機関が確認して結果を通知します。重大な違反には参加制限や期待容量評価引下げ等の参入ペナルティがあり得ます。
実需給期間前後の義務・評価
容量提供事業者は実需給期間前のリクワイアメントを履行し、評価に必要な情報を提出します。安定電源・変動電源は実需給年度の2年度前に行われる容量停止計画の調整に応じます。変動電源(アグリゲート)はこの調整の対象外です。調整機能を有する電源は属地一般送配電事業者との余力活用契約が必要で、契約容量はアセスメント対象容量以上、上げ・下げ両方の調整力を供出し、運転継続時間がある場合は応札時登録時間以上とします。
発動指令電源は実需給年度の2年度前の夏季(7~9月)または冬季(12~2月)に3時間継続の実効性テストを受け、結果を提出します。一定条件をすべて満たす場合は、属地一般送配電事業者の発動指令実績でテストを省略できます。指定期間内に電源等リストを提出し、リスト登録事業者と所有者等が異なる場合は登録前に所有者の合意を得ます。オンライン機能が必要で、発動指令は供給開始の3時間前まで、テスト時間は土日祝日を除く9時~20時です。夏季・冬季それぞれ1回まで再テストが可能です。未達成量は、結果が契約容量に不足する場合の不足量とし、情報未提出、期待容量等が1,000kW未満、または実績の妥当性を確認できない場合は契約容量全量です。
調整不調の安定・変動電源には、供給力不足量等と調整不調日数に応じた契約金額減額があります。調整機能を有する電源が余力活用契約を締結しない、または実需給期間中に解約した場合、原則として契約容量全量を市場退出とし契約金額の10%を科しますが、本機関がやむを得ない事由を認めて調整機能を無に変更する場合はペナルティを科さないことがあり、この場合は市場退出ペナルティもありません。発動指令電源が結果を提出しない、または契約容量から未達成量を引いた容量が1,000kW未満の場合は全量退出です。結果が契約容量に満たない場合は未達成量相当を一部退出とし、未達成量×契約単価×5%のペナルティを科します。
実需給年度には、安定電源は原則アセスメント対象容量以上の供給力を維持し、対象容量停止計画を提出した場合は最大8,640コマ(180日相当)まで停止等が認められます。提出遅延や承認済み作業停止計画との不整合で未達成コマ数を5倍にする場合があります。小売電気事業者等が使わない発電余力は、容量停止計画のない時間帯に卸電力取引所等へ売り入札しますが、本文所定の燃料・充電制約、非効率石炭火力の運転計画、平常時のバランス停止からの起動が不経済な場合等は入札量を減らせます。低予備率対象コマで供給指示があれば、例外を除きゲートクローズ以降の余力を供給します。非効率石炭火力は年間設備利用率50%以下とし、対象容量以上の供給力を提供します。
変動電源は原則対象容量以上を維持し、所定の容量停止計画があれば最大8,640コマまで停止等が認められます。日没・無風・渇水等の自然影響による出力低下・停止には容量停止計画の提出は不要です。アグリゲートは日単位の48コマの発電実績最大値が対象容量以上か確認されます。発動指令電源は発動指令に対応し、創出した供給力を相対契約または卸電力取引所等への売り入札で提供します。標準的な指令は年間12回(1日1回まで)、応動の3時間以上前、土日祝日を除く9~20時に3時間継続です。市場で約定しない場合に備え、属地一般送配電事業者と精算契約を締結します。
実需給期間中の経済的ペナルティは評価に応じて算定されます。安定電源・変動電源(単独)は年間停止コマ相当数が8,640を超えた分、変動電源(アグリゲート)は未達成コマ相当数を基礎に算定します。安定電源の低予備率対象コマでの未入札余力や供給指示未対応には、未達成量×契約金額÷契約容量÷90時間を適用します。非効率石炭火力の年間設備利用率が50%を超える場合、原則3月分に契約金額×20%を請求します。発動指令電源は未達成量に応じ、契約金額×110%×未達成量÷(対象容量×3時間×12回)で算定します。原則として年間上限は契約金額×110%、月間上限は契約金額×18.3%ですが、発動指令電源と非効率石炭火力の稼働抑制未達は月間上限の対象外です。月ごとに算定し円未満切捨て、経済的ペナルティが契約金額を超える部分は消費税の対象外です。
支払・秘密保持・例外
毎月、月額契約金額から実需給期間中の経済的ペナルティを差し引き、正なら事業者への支払、負なら本機関への請求となります。振込手数料は事業者負担です。契約金額の消費税等相当額は外税で、経済的ペナルティは原則課税対象ですが、年間累計が契約金額を超える部分は不課税です。
参加登録申請者は、容量市場で知った秘密情報を原則第三者に漏らさず、役職員による漏えい防止措置を講じます。公知情報等は除外され、法令に基づく開示や相対契約等の協議に必要な最小限の提供は例外です(第2章2)。本オークション落札電源は原則長期脱炭素電源オークションに参加できませんが、同制度の適用期間が本実需給年度の翌年度以降に始まる場合や既設火力を新たに脱炭素化改修する場合等は例外です(第2章1(6))。本オークションに応札しなかった電源等は原則2029年度向け調達オークションに参加できませんが、例外条件は追加オークション募集要綱で公表するとされています(第5章(12))。
電源等差替は契約に基づき可能です。戦争、大規模自然災害、契約効力発生後の法令改正・規制適用による運転停止、送電線故障による出力抑制等の不可抗力で供給困難となった場合は、リクワイアメント不履行の責任を負わないとされていますが、燃料その他発電コスト上昇等の経済的理由は除外されます(容量確保契約約款第23条)。誓約書違反、参加時情報の虚偽、容量市場運営に重大な問題を引き起こす行為がある場合、本機関は契約解除ができ、市場退出ペナルティに加え、参入ペナルティおよび市場退出までに交付された契約金額を上限とする経済的ペナルティを科す場合があります。