資料の目的と背景
本資料は、2023年8月17日に開催された第41回需給調整市場検討小委員会および第51回調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会向けに作成されたものであり、主なテーマは「下げ調整の価値」や需給調整市場における下げ調整力の扱いについての具体的な検討である。
検討内容
再エネ抑制の現状
- 近年の再エネ(特に太陽光)の導入増加に伴い、需要の少ない昼間帯に再エネ抑制が実施されている。
- 東京エリアを除く9エリアで再エネ抑制が行われており、この状況を改善するための様々な対策が検討されている。
下げ調整力の現状
- 需給調整市場では上げ調整力が中心に調達されているが、下げ調整力は2024年度以降に余力活用契約を通じて確保される見込みである。
- 現在、変動再エネは下げ調整力が不足する場合には優先給電ルールに従って出力制御が行われている。
出力制御の実施状況
再エネの出力制御は、供給が需要を上回る見込みの時に実施されており、その実施日は次の通りである。
| 実施エリア | 実施日 |
|---|
| 九州エリア | 2018年10月 |
| 東北エリア | 2023年4月 |
| 中国エリア | 2023年4月 |
| 四国エリア | 2023年4月 |
| 北海道エリア | 2023年5月 |
| 沖縄エリア | 2023年1月 |
| 中部エリア | 2023年4月 |
| 関西エリア | 2023年6月 |
調整力の定義と役割
調整力には、次の2つのタイプが存在する。
- 事前に調達される上げ調整力(ΔkW)市場
- ゲートクローズ(GC)以降の発動意義を持つ調整力(kWh)市場
一般送配電事業者は必要な調整力を事前に予約し、その後の需給に応じて運用する。
調整力で対応する事象
- 需給調整市場で調達すべき調整力は以下の事象に対応する:
下げ調整力の調達
- 下げ調整力(下げΔkW)については、市場調達を行わない方針が整理されている。
- エリア内の供給量が需要量を上回る場合は、優先給電ルールに基づいて抑制量を決定することが可能である。
再エネ抑制の影響と今後の検討
- 再エネ抑制の原因は、予測誤差ではなく他の要因が主要因と考えられ、今後は下げ調整力の価値がエリアの供給および需給調整市場における役割を考慮して検討される必要がある。
- 下げ調整に対して新たな価値を与えることにリスクがあるため、注意深い議論が求められる。
余剰インバランスに対する出力制御
1. 現状の出力制御
- 余剰インバランスに対する出力制御(下げ調整kWh)は、現在の需給調整市場では調達されていない。
2. 再エネの調整力活用
- リソース種別に関わらず、機能に基づいて契約している。
3. 期待される効果
- 再エネの調整力kWh市場への参加は、信頼度の向上や調整費用の低減に寄与することが期待される。
中長期対策
変動再エネの調整力としての活用
- 需給調整市場では上げ調整力の調達が整理され、下げ調整力が2024年度以降に余力活用契約で確保される見込みである。
海外の事例
- スペインでは変動再エネが必要な調整力の7%を供出している例がある。
課題
- 変動再エネの増加に伴い、調整力の必要量も増加する見込みである。
- 出力制御によるスポット価格の低下時における下げ調整力の価値評価が重要である。
FIT電源における調整力の運用
需給調整取引の現状
- FIT電源による調整力の運用は現状での利用が不可となっている。
FIP制度下の市場参入
- FIP電源の参入可否を検討し、適切な参照方法を模索する必要がある。
| 入力可能市場 | 市場名 |
|---|
| 卸電力取引市場、非化石価値取引市場、容量市場、需給調整市場 | |
調整力運用に関する要件(余力活用)
- 現在の下げ調整力の運用は、2024年度以降の余力活用契約に基づいて実施されている。
- 調整力運用の条件は次の通りである。
| 項目 | 条件等 | 備考 |
|---|
| 区分 | 上げ/下げ | 下げ調整のみの参加も可能 |
| 機能 | 商品要件による | 出力増減に応じる必要あり |
ネガティブプライス導入の効果
- ネガティブプライス導入により市場の需給一致の均衡点が見つかりやすくなると考えられ、多くの議論がある。
| 状況 | 説明 |
|---|
| 供給力余剰がない場合 | 賦課金があっても均衡価格が見つかる |
| 供給力余剰があり、0円が下限の場合 | 出力抑制の対象が見つからない |
| 供給力余剰があり、下限がネガティブである場合 | 自ら停止する電源や需要の増加が現れる |
まとめ
-
下げ調整の価値には以下の3つの観点がある:
- GC以前の抑制に対する価値については注意が必要である。
- GC以降の下げ調整力確保は、供給余剰を促進する可能性がある。
- 再エネの下げ調整力参加は、信頼度向上や費用低減に寄与する期待がある。
-
今後、下げ調整の取り扱いや価値について、さらなる検討を進める必要がある。