対象と参加者
本要綱は、電力広域的運営推進機関が実施する、実需給年度を2026年度(2026年4月1日~2027年3月31日)とするメインオークションの参加要件、登録・応札、落札・価格決定および契約条件を定めます(第1章3、第3章3)。対象エリアは沖縄地域とその他地域の離島を除く全国です。応札を希望する事業者は本要綱と容量確保契約書の条件を確認して手続を行い、落札後は本機関と容量確保契約を締結します。
参加できるのは、電気事業法第22条の3に定める電気供給事業者で、自らまたは他者が所有する電源等を用いて応札する意思のある者です。相対契約の有無は参加条件ではありません(第3章3(4))。
登録できる電源等と応札単位
登録区分は、①期待容量1,000kW以上の水力・火力・原子力・再生可能エネルギーによる安定電源、②期待容量1,000kW以上で安定的な供給力を提供できない水力または再生可能エネルギーによる変動電源(単独)、③同一供給区域内の1,000kW未満の水力または再生可能エネルギーを組み合わせ、合計1,000kW以上とする変動電源(アグリゲート)、④対象となる事業用電気工作物、特定抑制依頼、または1,000kW未満の発電設備等を用いて1,000kW以上の供給力を提供する発動指令電源です。発動指令電源にはオンライン機能(簡易指令システムを含む)が必要で、変動電源および変動電源のみの組合せは対象外です(第3章3(5))。
安定電源は、応札容量を超える供給力を需給ひっ迫時に提供できる場合、同一計量単位で発動指令電源の1リソースとしても登録できます。1計量単位内に異なる区分のユニットがある場合は、区分を一つ選び、その区分に該当するユニットを登録します。
実需給年度にFIT買取期間が重なるFIT電源(所定の非FIT相当分等を除く)、FIP買取期間が重なるFIP電源、電源入札で落札した電源、供給力を提供できない電源、試行ノンファーム型接続適用電源、専ら自家消費等に使う電源、所定の発電量調整供給契約または接続供給契約がない電源等は登録できません。ただし、基幹系統のノンファーム型接続電源、自家消費等に必要な容量を超えて供給できる部分、差分計量等で確認できるFIT電源の非FIT相当分などは、記載された要件に応じて登録可能です(第3章3(5)カ)。応札単位は安定電源・変動電源(単独)が計量単位、変動電源(アグリゲート)が小規模変動電源リスト、発動指令電源が電源等リストです。応札容量は1,000kW以上、1kW単位で登録します(第3章3(6))。
登録・応札手続と期限
事業者情報、電源等情報、期待容量の順に容量市場システムへ登録し、前段の登録完了後に次の登録を行います。事業者コード、系統コード、クライアント証明書が未取得の場合は事前に取得します。登録情報に変更があればシステム上で手続しますが、応札受付終了後から約定結果公表までは変更できません(第4章1)。
本文記載の2022年募集スケジュールは、事業者情報が8月4日~10日受付・8月4日~15日審査、電源等情報が8月17日~30日受付・8月17日~9月13日審査、期待容量が9月20日~10月4日受付・9月20日~10月18日審査、応札が11月1日~15日、様式2の提出が11月16日~22日、約定結果公表が2023年1月頃(予定)です(第3章1)。登録不備は申請者に通知され、再申込みができます。電源等情報の書類は原則登録時に提出しますが、新設電源等では合理的理由により期限延長となる場合があります。アグリゲートの書類は原則2023年3月末日までで、本機関が合理的理由を認めれば延長される場合があります。発動指令電源のオンライン指令を示す書類は実効性テスト前までに提出します。必要書類が期限後も提出されない場合、市場退出となることがあります(第4章3)。
期待容量は電源等ごとに登録し、過去のメインオークションに登録済みでも2026年度向けに再登録が必要です(第4章4)。安定電源・変動電源は供給計画に計上する見込みの電源について供計ガイドラインに基づき算定し、発動指令電源は実績と将来計画を踏まえます。アグリゲートは内訳の小規模変動電源ごとの期待容量の合計です。FIT・非FIT混在の計量単位は非FIT分で算定し、石炭混焼を除くバイオマス混焼FIT電源は「設備全体の期待容量-設備全体の期待容量×認定バイオマス比率」で算定します。提出書類は原則、安定・変動電源が様式2、発動指令電源が様式3です。新設電源、余剰の自家用電気工作物、設備更新による増出力で登録後に変更が判明した場合は速やかに再提出します。
応札情報として容量(kW)と価格(円/kW)を登録します。容量上限は登録済み期待容量、価格は1円単位です。受付期間中は変更・取消が可能ですが、終了後はできません。受付終了後、発動指令電源を除き、様式2に必要事項を記載して指定期限までに提出します。不備が期限までに解消されない場合、容量確保契約が解約されることがあります(第5章1)。
落札・価格・公表
原則、応札価格の低い順に供給曲線を作成し、全国の需要曲線との交点をもとに落札電源を決定します。応札単位の一部落札はありません。同価格の応札が交差する場合等は、超過落札容量を最小にする組合せや供給信頼度シミュレーションで決め、なお複数の最適な組合せが残る場合はランダムに決定します。供給信頼度が基準を満たさないエリアでは低価格の非落札電源を追加し、充足エリアでは高価格の落札電源を減じる市場分断処理を行います。発動指令電源には応札上限容量があり、受付後に定める調整係数を応札容量に乗じて処理します。係数反映後に1,000kW未満となるものは非落札です(第6章1)。
約定価格は原則、落札電源中の最高応札価格を全落札電源に適用する第1価格決定方式(シングルプライス方式)です。市場分断時はエリア別に価格を定めます。競争が限定的となるおそれのあるエリアで価格が隣接エリア価格の1.5倍を超える場合は、隣接価格の1.5倍をエリア価格とし、その価格を上回って応札した落札電源には個別応札価格を適用するマルチプライス方式を一部適用します。需要曲線と供給曲線が交差しない場合は、落札電源の最高応札価格が約定価格です(第6章2)。公表内容にはエリア別の約定容量・価格・総額(マルチプライス分を除く)、マルチプライス分の容量・総額、落札電源ごとの事業者名・電源ID・落札容量が含まれます。契約締結期間後にはエリア別の契約締結容量・価格・総額等も公表します(第6章4、6)。
契約金額、経過措置、市場退出
応札情報の登録を容量確保契約の申込みと扱い、約定結果公表日に公表内容に従って契約が成立します。落札者は所定期間に契約締結手続を行います。契約に必要な情報の不提出など市場運営に支障をきたす行為には、参加制限等の参入ペナルティが科される場合があります。落札電源は原則供給計画に計上しますが、所有者が発電事業者に該当しない場合等は不要です(第6章5)。
年間契約金額は契約単価と契約容量の積から経過措置控除額および調整不調電源の経済的ペナルティを差し引きます。契約単価はメインオークションと調達オークションの個別約定価格を落札容量で加重平均し、円未満を切り捨てます。月額は原則年間額の12分の1で、最終月に端数調整します。主燃料が石炭で、設計効率がHHV・発電端42%以上と確認できない非効率石炭火力は契約金額を20%減額します(第7章1)。
経過措置は安定電源・変動電源(単独)のうち、2010年度末までに建設された電源、または応札価格がエリア約定価格に入札内容に応じた控除額係数を乗じた価格以下の電源が対象となり得ます。2011年度以降の増出力分も対象です。一方、所定の主要電気設備を同時期に全て更新し本機関が認めた場合は対象外となることがあります。個別約定価格が指標価格の50%以下なら控除せず、控除で50%以下となる場合は50%となるよう控除額を調整します。控除係数等の詳細は容量確保契約約款附則に定めるとされています(第7章2)。
実需給年度開始前の契約容量減少による市場退出では、退出後容量が1,000kW未満なら全量退出扱いです。契約効力発生日から契約変更・解約確認期間の終了日までは、契約金額×5%×退出容量÷契約容量、翌日以降は5%を10%に置き換えて算定し、円未満を切り捨てます。追加オークションの実施有無や結果による調整規定があり、調達オークションが実施されない場合、または当該エリアの約定価格が本オークション以下の場合には全額返金する扱い等があります(第7章3(1))。実需給期間中の契約容量減少にも経済的ペナルティがあり、退出後容量が1,000kW未満なら全量退出扱いです。本文の詳細部分では「契約金額×10%×退出容量÷契約容量」とし、円未満切捨て、通知後に異議申出と本機関による確認・再通知ができると記載されています。
リクワイアメント、アセスメントおよびペナルティ
実需給期間前のリクワイアメントの多くは実需給年度の2年度前に行われます(第4章4-1)。安定電源と変動電源は容量停止計画の調整に応じますが、変動電源(アグリゲート)は対象外です。調整機能を持つ安定電源は属地一般送配電事業者との余力活用契約も必要です。発動指令電源は同年度の夏季(7~9月)または冬季(12~2月)に実効性テストを受け、結果または準ずる結果を提出します。所定条件をすべて満たす場合、属地一般送配電事業者の発動実績でテストを省略できます。テストは指令に基づき3時間継続して供給力を提供し、指令は開始3時間前まで、実施時間は土日祝日を除く9~20時です。発動指令電源提供者は指定期間内に電源等リストと所定情報・書類を提出し、オンライン機能を備えます。未提出や確認不能の場合、契約容量全量が未達成量となることがあります。
調整不調電源には、不足量等に応じ、調整不調日数1日当たり0.3%(追加設備量利用)または0.6%(供給信頼度への影響)を基礎とする減額が適用される場合があります。合理的理由や送配電設備停止等は対象外となることがあり、事業者都合の停止期間変更等で供給信頼度に影響する場合は所定額の1.5倍となることがあります。調整機能を持つ電源が余力活用契約を締結しない、または実需給期間中に解約した場合、契約容量全量の市場退出と契約容量金額×10%のペナルティが規定されています。やむを得ない事由を本機関が認めれば調整機能を「無」に変更し、ペナルティを科さない場合があります。発動指令電源で結果未提出等、または未達成量控除後の容量が1,000kW未満の場合も全量退出扱いとなり、結果が契約容量に満たない場合は未達成量相当を退出として「未達成量×契約単価×5%」を科します。これらは第3章の市場退出ペナルティを重ねて科さないとされています。
実需給期間中、安定電源は対象容量以上の供給力を維持し、停止計画等による停止・対象容量以下の出力は合計8,640コマ(180日相当)まで認められます。停止計画のない時間帯に小売電気事業者等が使わない余力は卸電力取引所等へ入札しますが、入札可能市場がない場合、燃料制約等(需給ひっ迫のおそれがある時間帯を除く)、平常時のバランス停止からの起動が不経済な場合などには入札量を減らせます。需給ひっ迫のおそれがある場合の供給指示にも所定の例外を除き応じます。非効率石炭火力は年間設備利用率50%以下を保ちます。変動電源も対象容量以上を維持し、停止計画による停止等は合計8,640コマまでです。日没・無風・渇水等の自然影響による低下・停止は停止計画提出不要で、アグリゲートは日単位の発電実績(48コマ)の最大値を確認します。
発動指令電源は指令に対応して創出した供給力を小売事業者等への供給または卸電力取引所への入札で提供します。標準的な指令は年間12回(1日1回まで)、応動の3時間以上前、継続3時間、土日祝日を除く9~20時です。属地一般送配電事業者による別の供給力提供依頼は本文上ペナルティ対象外です。指令時に供給力を提供し、市場で約定しない場合に備えた精算契約を同送配電事業者と締結します。
供給力維持に関するペナルティは、安定電源・変動電源(単独)では年間停止コマ相当数が8,640を超えた場合、契約金額×超過コマ数×0.0125%で算定します。アグリゲートは未達成コマ相当数に同様の算式を用います。安定電源の入札未達・供給指示未達には未達成量×ペナルティレートを適用し、レートは契約金額÷(契約容量×Z)です。本文にはZについて、入札未達と供給指示未達の箇所に30時間との記載がある一方、供給指示の説明箇所に「本オークションにおいては90時間」との記載もあります。非効率石炭火力の稼働抑制未達は契約金額×20%で、原則3月分に請求します。発動指令電源の未達ペナルティは契約金額×110%×未達成量÷(対象容量×3時間×12回)です。
経済的ペナルティの上限は年間で契約金額×110%、月間で×18.3%です。ただし発動指令電源および非効率石炭火力の稼働抑制未達は月間上限の対象外です。毎月算定し、円未満を切り捨てます。毎月の支払・請求額は月額契約金額からペナルティを差し引き、正額なら本機関が事業者へ支払い、負額なら事業者へ請求します。振込手数料は容量提供事業者負担です。契約金額の消費税等相当額は外税で、経済的ペナルティは原則課税対象ですが、調整不調電源のペナルティを除き、年間累計が契約金額を超える部分は不課税とされています。
改定記載とその他
本文冒頭には2025年3月28日追記として、第62回容量市場の在り方等に関する検討会での審議を踏まえ、発電余力の卸電力取引所等への入札および電気の供給指示への対応に関する経済的ペナルティ算定式でZを90時間とする旨があります(本要綱P.51、52参照)。提示本文にはその算定式の詳細がなく、また上記のとおりZの記載に30時間と90時間の両方があります。
容量提供事業者は契約に基づき電源等を差し替えられます。本要綱の前提にない事象は本機関が取扱いを検討して通知または公表します。戦争、大規模自然災害、契約効力発生後の法令改正・規制適用による停止、送電線故障による出力抑制等の不可抗力で供給力提供が困難な場合はリクワイアメント不履行の責めを負いませんが、燃料その他発電コスト上昇等の経済的理由は除外されます。誓約書違反、虚偽情報、容量市場運営に重大な問題を生じさせる行為がある場合、本機関は契約を解約し、市場退出・参入ペナルティや、市場退出までに交付された契約金額を上限とする経済的ペナルティを科すことがあります。