次世代投資費用の検証結果について
資料の目的・背景
本資料は、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会が提出したものであり、次世代投資費用の検証結果を整理している。対象は次世代投資の実施状況や関連する費用の妥当性である。
検討内容・論点
主要な検討内容は以下の通りである。
-
検証内容の整理
- 次世代投資に関する効率化係数の設定の有無について調査を実施。
- 第19回料金制度専門委会での結果を踏まえ、具体的な検証を行う。
-
主要な検証項目
- アセットマネジメント
- データ活用
- 発電予測精度向上
- 共同システム
- ダイナミックレーティング
- DX機器
- 分散グリッド化
- サイバーセキュリティ
- 系統増強、その他
検証プロセス
次世代投資に関する検証プロセスは以下の通りである。
- 効率化係数の設定: 設定なしまたは0.5%/年として評価される項目がある。
- 提出された計画の確認: 一般事業者からの投資計画に基づく妥当性の評価。
重要な数値・データ
次世代投資費用に関する合計額の概要は以下の通りである。
| 事業者 | 脱炭素 竣工額計 | 脱炭素 費用額計 | レジリエンス強化 竣工額計 | レジリエンス強化 費用額計 | 合計 竣工額計 | 合計 費用額計 |
|---|
| 北海道電力NW | 1,944 | 285 | 445 | 270 | 1,395 | 611 |
| 東北電力NW | 2,404 | 402 | 359 | 51 | 2,909 | 588 |
| 東京電力PG | 1,132 | 853 | 84 | 48 | 1,274 | 923 |
| ... | ... | ... | ... | ... | ... | ... |
今後の予定
今後、以下の事項が重視される予定である。
- 再エネ主力電源化・レジリエンス強化に必要な資量の確保
- 送配電ネットワークの次世代化
- 電力の安定供給に向けた対応費用
課題・リスク
- 各社における費用のばらつきが見られ、合理的な費用水準の推定が困難な場合がある。また、各社の取組において明確な便益の示し方に差が存在する。
このように、次世代投資費用の検証は、多岐にわたる項目において計画の妥当性や必要性を確認し、未来のエネルギーシステム整備に資するものである。
検証結果について
アセットマネジメント
検証結果①
- 設備のリスク評価に関して、広域機関の高経年化ガイドラインに対応することは10社の共通事項である。
- 各社によって、対象設備の数量や集約するデータの種類、既存の設備管理・リスク評価システムの改修範囲が異なるため、必要なシステム対応の範囲が様々であることが確認されている。
- 事業者ごとに費用計上に差異が生じることは妥当とされる。
各社のアセットマネジメント投資比較
| 事業者 | 取組予算全期間 | 設備状況管理システム | リスク量評価システム | 行動計画策定システム | その他の機能 | 便益金額算定期間 | 規制期間見積費用 |
|---|
| 東北電力 NW | 301.4億円 | 102.4億円 | 30.0億円 | - | 追加・高度化機能多数含む | 303.3億円/20年度以降 | 114.8億円 |
| 中部電力 PG | 69.4億円 | 61.2億円 | 8.2億円 | - | 年度別リスク量更新、設備管理等 | 17.0億円/年/20年度以降 | 31.8億円 |
| 北陸電力送配電 | 0.4億円 | - | 0.4億円 | - | リスクの進捗管理 | 0.1億円/年/20年度以降 | 0.4億円 |
| 関西電力送配電 | 49.1億円 | - | 44.1億円 | - | リスク算定推移更新計画 | 69.0億円/20年度以降 | 32.8億円 |
| 中国電力 NW | 43.9億円 | 1.7億円 | 42.2億円 | - | 投資最適化提案等 | 66.0億円/20年度以降 | 24.8億円 |
| 四国電力送配電 | 23.1億円 | 1.0億円 | 22.1億円 | - | リスク算定、故障率等の出力管理 | 0.1億円/年/20年度以降 | 22.5億円 |
| 九州電力送配電 | 40.6億円 | 13.7億円 | 3.7億円 | 23.2億円 | リスク量の実績管理等 | 50.2億円/20年度以降 | 40.6億円 |
| 沖縄電力 | 2.6億円 | 1.3億円 | 1.3億円 | - | リスク関連情報の更新状況確認 | 0.28億円/年/20年度以降 | 0.7億円 |
検証結果②
- 企業が自社の設備利用部門向けに新たに設備状況管理システムを構築または改修する場合、特に高額な予算が計上されることが確認される。
- 他社がアセットマネジメントシステムとの連携に必要な改修費用のみを計上する中、特定の事業者については差額費用をCAPEXに計上することが妥当とされる。
データ活用
- データ活用に関しては、災害時などの緊急時における電力データの提供を目指し、10社共通の集約システムを開発中である。
- 自社の基幹システムと連携するための改良が必要で、効率化係数の対象外とすべきとの意見が示されている。
各社のデータ活用投資比較
| 事業者 | 取組予算全期間 | 分担金 | その他予算 | その他予算内訳 | 新規データ取込対象先数 | 便益金額算定期間 | 規制期間見積費用 |
|---|
| 北海道電力 NW | 8.6億円 | 6.5億円 | 0.7億円 | 自社システム改修 | - | 13.5億円/20年度以降 | 7.2億円 |
| 東北電力 NW | 25.4億円 | 11.5億円 | 13.9億円 | 自社システム構築等 | 合計120件 | 22.3億円/20年度以降 | 20.0億円 |
| 中部電力 PG | 15.8億円 | 15.8億円 | - | - | - | 16.0億円/提供後5年間 | 13.5億円 |
| 北陸電力送配電 | 7.3億円 | 5.8億円 | 1.5億円 | 自社システム改修 | - | 0.4億円/20年度以降 | 6.3億円 |
| 関西電力送配電 | 21.6億円 | 19.1億円 | 2.5億円 | 自社システム改修 | - | 27.1億円/提供後5年間 | 18.7億円 |
| 中国電力 NW | 16.0億円 | 9.4億円 | 6.6億円 | 自社システム改修 | 合計26千件 | 14.9億円/20年度以降 | 12.5億円 |
| 四国電力送配電 | 9.3億円 | 6.8億円 | 2.5億円 | 自社システム改修 | - | 12.0億円/20年度以降 | 7.3億円 |
| 九州電力送配電 | 23.9億円 | 12.3億円 | 11.7億円 | 自社システム改修 | 合計175千件 | 25.7億円/20年度以降 | 20.4億円 |
| 沖縄電力 | 6.3億円 | 4.7億円 | 1.6億円 | 自社システム改修 | - | 1.7億円/20年度以降 | 4.8億円 |
ダイナミックレーティングに関する取り組み
概要
ダイナミックレーティングは、リアルタイムで現地の気象条件を監視・分析し、送電可能な容量を調整する技術である。これは次世代の電力ネットワーク構築に寄与する取り組みと位置付けられ、効率化係数の対象外とすべきであるという意見もある。
各社の費用見積り状況
| 事業者 | OPEX / CAPEX見積り |
|---|
| 北海道電力 NW | ● |
| 東北電力 NW | ● |
| 東京電力 PG | ● |
| 中部電力 PG | ● |
| 北陸電力送配電 | ● |
| 関西電力送配電 | ● |
| 中国電力 NW | ● |
| 四国電力送配電 | ● |
| 九州電力送配電 | ● |
| 沖縄電力 | ● |
具体的な取り組み内容
- 送電可能容量の設定において、従来の一律設定法からリアルタイム監視による柔軟な設定方式への移行が進められている。
- これにより、既存の系統を活用し次世代の電力ネットワークの発展が目指される。
中長期的な目標
- 2050年のカーボンニュートラル実現に貢献し、再生可能エネルギーの迅速な導入と既存ネットワークの有効活用を推進する。
便益説明の具体性・合理性
- 送電可能容量の拡大により、再生可能エネルギーとの連携が進み、化石燃料コストやCO2排出対策コストが削減される。
- まだ具体的な数値として示されていない企業もいるため、ダイナミックレーティングへの投資について、将来的な便益が費用を上回ることを明示する必要がある。
検証内容と検証結果
検証内容
ダイナミックレーティングにかかる費用について、以下を検証する。
- センサ類の設置数及び単価
- システム構築費用の妥当性
検証結果
- 実装段階における各社の費用計上には差異があることから、個々の事情に応じた対応は妥当であると判断。
- ただし、中部電力 PGのソフトウェア購入費が他社の参考に基づかず高額であるため、効率化を図るべきである。
各社の取組予算
| 事業者 | 取組予算全期間 | センサ設置数 | 投資費用 | 便益金額算定期間 |
|---|
| 北海道電力 NW | 1.7億円 | 3個/線路5線路 | 1.1億円 | 2023年-2027年度 |
| 東京電力 PG | 5.4億円 | 12個/線路3線路 | 1.2億円 | 2024年-2033年度 |
| 中部電力 PG | 5.0億円 | 1-3個/線路3線路 | 3.0億円 | 2025年度以降 |
| 北陸電力送配電 | 2.3億円 | OPEX | 2.3億円 | 2025年度以降 |
| その他の事業者は省略 | | | | |
DX機器の導入と検証内容
概要
- ドローンやAI、ロボット、センサ等を活用し、業務の高度化・省人化を図る取り組みが進行中である。
- 様々なデジタル技術を導入することで、業務の効率化とレジリエンス向上を狙う。
各社の費用見積り状況
| 事業者 | OPEX / CAPEX見積り |
|---|
| 北海道電力 NW | ○ |
| 東北電力 NW | ○ |
| 東京電力 PG | ○ |
| 中部電力 PG | ○ |
| (以下省略) | |
具体的な取り組み内容
- 巡視・点検業務の効率化を目的とした先端デジタル技術の導入。
- 設備異常の早期発見を目指し、センサやロボットにより遠隔巡視の対象範囲を拡大。
検証結果
- 各社の取組内容は異なるが、期待される便益は大きく以下の3点に区分される。
- 巡視・点検作業のDX機器活用による業務効率化
- 変電所のデジタル化による保全作業高度化
- 営繕等の異常検知作業のデジタル化
分散グリッド化に関する取り組み
概要
分散グリッド化を志向し、多様な系統への対応を目指す取り組みが実施されている。
各社の取り組み
- 再エネの導入を促進し、地域密着型のエネルギーネットワークを形成することを目指している。
便益の具体性・合理性
- 再エネ拡大による燃料費削減、CO2排出削減の効果が期待されるが、事業者によって便益説明の具体性は異なる。
検証内容
- 各社の取り組みを3つのカテゴリに区分し検証を行う。
分散グリッド化に関する検証結果
1. 配電事業ライセンス導入対応
- 費用の計上状況: 調査対象の10社のうち、4社が次世代投資費用に、6社がCAPEX(その他投資)として配電事業ライセンスの費用を計上していることが確認された。
- 新たなシステム構築は不要で、既存システムの改修が可能なため、次世代投資費用に計上している4社の選定は適切と考えられる。
| 事業者 | 取組予算全期間 | ① 営配フラグ | ② 事故停電情報 | ③ 巡視報告 | ④ 試送 | その他予算内訳 | 便益金額算定期間 | 規制期間見積費用 |
|---|
| 中部電力PG | 24.0億円 | 20.5億円 | | | | 要件定義 2.1億円 検討費用等 1.4億円 | ①9.9億円 ②開始後5年間 | 10.7億円 |
| 北陸電力送配電 | 3.6億円 | 0.3億円 | 0.1億円 | 0.2億円 | 3.0億円 | | ①1.0億円/年 ②2026年度以降 | 2.2億円 |
| 関西電力送配電 | 10.1億円 | 8.6億円 | | 1.1億円 | | ③0.4億円 | ①11.7億円 ②20322041年度 | 1.2億円 |
| 九州電力送配電 | 3.2億円 | 3.2億円 | | | | | ①3.2億円 ②20242024年度 | 3.2億円 |
2. その他の分散グリッド化の取組内容
- 各一般送配電事業者の取組内容は、再エネ拡充を見据えた分散グリッドに係る実証事業や調査研究として妥当であり、当該取組に係る費用も認めるべきと評価されている。
| 事業者 | 取組予算全期間 | 取組件名 | 取組詳細 | 便益金額算定期間 | 規制期間見積費用 |
|---|
| 関西電力送配電 | 4.7億円 | 直流送電活用に関する取組み | オフグリッド化の実施及び模擬設備での技術試験を実施。課題と実用化の有効性についての研究。 | ①7.4億円 ②20232041年度 | 3.0億円 |
| 九州電力送配電 | 3.1億円 | 再エネ有効活用に資する内燃力低負荷運転の促進 | 給気加熱装置4台を設置、内燃力機の最低出力下限を定格出力の40%に広げる。 | ①3.6億円 ②20232037年度 | 0.5億円 |
| 沖縄電力 | 0.3億円 | 系統安定化に関する調査研究 | 宮古島系統でデータ収集し課題抽出、系統運用管理の方策を検討。 | ①定性便益のみ | 0.1億円 |
| 沖縄電力 | 0.04億円 | 発電予測精度向上に関連する調査研究 | マイクログリッド内の再エネ出力や電力需要の運用計画最適化に関する研究。 | ①定性便益のみ | 0.02億円 |
3. 今後のスケジュール
- 今回の検証内容に基づく取組の進展状況を継続的に確認し、必要に応じた修正提案を行う意向が示されている。