この回のダイジェスト
再発防止策や市場制度の複数案を提示し、旧一電卸売評価などを審議した回である。
この回で示されたこと
- 電力・ガス取引監視等委員会は、関西電力、中部電力ミライズ、中国電力、九州電力、九電みらいエナジーへの業務改善命令を経済産業大臣に勧告した。情報交換を組織的対応と認定し、情報交換の禁止、再発防止計画、研修、内部監査、域外進出状況の報告などを求めた。資料1
- 一般送配電事業者の非公開情報漏えい防止策として、内部統制要件、顧客情報等を扱うシステムの物理分割、特定関係事業者による情報利用の禁止、災害時のアクセス管理を経済産業大臣へ建議する案が示された。仮想化分割は特権IDを第三者が管理するなどの条件で懸念が大幅に緩和されるとの整理案である。資料2
- 旧一般電気事業者の2023年度卸売について、内外無差別性の評価案が示された。北海道は担保、沖縄は小売価格見通しの提出後に最終判断とし、その他の区域は重要項目の評価や長期契約、情報遮断、交渉過程などの課題から、現時点で担保されたとの評価に至っていない。資料3
- 経過措置料金の指定解除に関する確認案では、競争圧力が全区域で十分とは認められないことなどから、全供給区域で料金を存続させる整理が示された。資料4
- 三次調整力②の領域aを時間前市場へ供出する際、入札価格の事前規律は設けず、準備が整い次第開始を促す案が提示された。年間供出可能量は57.6億kWh、うち約35.1億kWhを売り札として供出する予定とされ、開始後にレビューする案である。資料5
- 需給調整市場では、上げ・下げkWhの価格規律、予約電源の供出インセンティブ、起動費の入札反映を見直す案が示された。東京エリアの2023年度夏季kW公募は、募集30万kWに対し57.6万kWが落札され、確認上問題点はなかった一方、選定方法の改善検討が求められた。資料6
- 2024年4月導入予定の発電側課金について、市場取引への課金分の織り込みや相対契約の転嫁ガイドライン、発電併設蓄電池の課金範囲が提案された。試算単価は全国平均で75.13円/kW・月、0.26円/kWhである。資料7資料8
- 2024年度の補正インバランス料金C値・D値は未決定であり、現行の200円/kWh・45円/kWhを踏まえ、DR等への影響や小売のリスク回避手段、この夏の需給状況も考慮して引き続き検討する方針である。資料9
- 2023年1~3月期のスポット平均価格は14.8円/kWh、約定量は857億kWhで前年同期並みだった。小売重点調査では、対象25件のうち小売単価が電源可変費を下回る契約は確認されなかった。資料10資料11
前回からの変化
- 非公開情報漏えいの再発防止策は、前回の内部統制義務化・システム分割案等の検討から、管理部門の役割、仮想化方式の条件、災害時アクセス管理を含む4項目の建議案へ進んだ。実地確認・ヒアリングで対策の実効性を監視する予定も示された。資料2
- 三次調整力②の時間前市場供出は、前回未決だった入札価格規律について、事前措置を置かず領域aの供出開始を促し、開始後にレビューする案が示された。供出量の試算は年間約35億ΔkWhから、領域aの供出可能量57.6億kWh、売り札約35.1億kWhへ具体化した。資料5
- 発電側課金の相対契約転嫁は、前回の論点整理から、卸料金への上乗せ、別払い、事後調整などの方法例と協議時の考え方を示す指針案に進んだ。資料7資料8
- インバランス料金のC・D値は、前回の2024年度C値200円/kWh・D値45円/kWh据置き案から、いずれも未決定として、この夏の需給状況なども踏まえて継続検討する整理となった。資料9
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この回の資料と要約
- 1
旧一般電気事業者等によるカルテル事案への対応について
- 委員会は、旧一般電気事業者等の営業上重要な情報交換を競争への信頼を損なう行為と認定し、2023年6月19日、関西電力など5社への業務改善命令を経済産業大臣に勧告した。 - 2017年秋から2020年まで少なくとも数十回の意見・情報交換が確認され、経営層を含む組織的対応、研修の不奏功、内部監査・通報体制の不十分さも認定された。 - 求める対応は、競争制限や料金・営業方針の情報交換の禁止、外部評価を含む改善計画、接触管理・会議監視・研修・通報制度の強化、域外進出状況の報告、公表と関係者処分である。 - 公取委は別途4社・グループに排除措置命令を行い、4社への課徴金は総額1,000億円超となった。
- 2
一般送配電事業者による非公開情報の情報漏えいに係る再発防止策の検討
- 一般送配電事業者の情報漏えい再発防止に向け、内部統制、システム分割、特定関係事業者の禁止行為、災害時情報共有の4項目を経済産業大臣へ建議する案である。 - 他社顧客・買取情報を含むシステムは特定関係事業者との共用を禁じ、物理分割を求める案であり、仮想化方式は第三者管理などハードウェア分割と同視できる状態が条件となる。 - 工期算定は概ね妥当とされたが、一部の規模・工数見積もりには再精査が必要であり、内部不正を想定した運用前テストや進捗確認も提案されている。 - 社長面談で示された各社の再発防止策は、今後、実地確認・ヒアリングを通じて実効性をモニタリングする予定である。
- 3
現時点における旧一般電気事業者の内外無差別な卸売の評価結果(案)等について
- 23年度通年相対契約の評価案では、北海道は内外無差別が担保されているとされた。沖縄も同様の案だが、小売価格データ提出後に最終判断する。いずれも審議会での確定決定ではない。 - 他エリアでは、社内長期契約、ログ不足、交渉過程の不透明さや自社小売に有利となり得る条件が課題とされ、供給条件・与信・取引実績などの改善を促す案が示された。 - 23年度見積りの社外向け供給力は前年を下回り、年間電力量は12.7%減の見込み。内訳は相対卸が23.7%減、常時BUが6.1%増、ベースロード市場が28.2%増だが、期中契約分を含まない。 - 公取委情報に関する項目5・7は過去の事案で、同様の現行運用は確認されなかった。各社への要請と監視等委の継続フォローアップが提案された。
- 4
経過措置料金の指定解除に係る競争状況の確認について
- 経過措置料金の指定解除に関する審議案は、2023年時点で全供給区域の料金を存続するのが適当とするものである。 - 自由化の認知度は89.8%で、スイッチングも長期的に進んでおり、消費者の状況には一定の充足がある。 - シェア5%以上の競争者がいるのは5区域だが、2者以上いる区域はなく、競争圧力は十分とされていない。 - 競争的環境の持続性は内外無差別な卸売の区域別評価による。結論は審議案であり、決定済みではない。
- 5
[三次調整力②の時間前市場供出について (入札価格に係る論点)]
- TSOによる三次②余剰分(領域a)の時間前市場供出について、入札価格の事前的措置を設けず、準備が整い次第開始を促す案が示された。制度決定済みとは記されていない。 - 試算では、全エリアでTSOの供給力シェアは50%以下であり、市場支配力を有する可能性が高いTSOはいないとされた。領域aの年間供出予定量は約35.1億kWhである。 - 供出は前日17時以降の一括入札を想定し、開始後に一定期間を経てレビューする。合理的に説明できない高値で市場に大きな影響を与える入札は相場操縦に該当し得る。 - 領域b・cの供出やシングルプライスオークション導入は今回の開始時点では未決であり、取引状況を踏まえて今後検討する。
- 6
需給調整市場の運用等について
- 需給調整市場では、予約・非予約電源のkWh価格規律をそろえ、予約電源の供出インセンティブを高める案が示されたが、価格配分や固定費の扱いは審議中である。 - 東京エリアの2023年度夏季kW公募は、平均落札価格11,316円/kW、マストラン費用除外で3,032円/kW、随意契約分込み約66億円であり、事務局は入札価格と調達結果に問題を確認しなかった。 - 落札選定方式は費用圧縮の工夫として直ちに不適切とはされなかった一方、大規模電源の部分落札など改善検討が求められた。 - 2027年度向けブラックスタート公募は価格算定が既存の考え方に概ね沿っていた。既契約の期待利潤変更は、上池最低水位をゼロとして算定したことが確認できる契約年度に限る案であり、審議対象である。
- 7
発電側課金の転嫁等について
- 発電側課金は2024年4月導入予定で、市場応札価格や相対取引価格への転嫁を可能とする整理が提案されている。 - 相対取引向け転嫁ガイドラインを策定し、転嫁額の説明努力や正式単価公表前の試算値活用を盛り込む案である。 - 現時点の全国平均試算はkW課金75.13円/kW・月、kWh課金0.26円/kWhだが、仮定を含み、割引相当額等で実際の額は補正される。 - 発電併設蓄電池は原則kW課金対象、kWh課金は系統充電に基づく放電を除外する案であり、既認定FIT/FIPには調達期間等内の例外がある。
- 8
相対契約における発電側課金の転嫁に関する指針(案)
- 2024年度導入予定の発電側課金について、相対契約での転嫁方法を当事者が誠実に協議するための指針案である。 - 送配電費用の一部を発電事業者にも負担させ、課金分は発電料金を通じて小売事業者、最終需要家へ転嫁されることが想定されている。 - kW・kWh課金、立地や割引による負担差、複数供給先への案分などを踏まえて転嫁方法を協議し、不当な差別的取扱いを避ける。 - 契約見直しの協議ができない、またはまとまらない場合は、電力・ガス取引監視等委員会のあっせん・仲裁を利用できる。
- 9
インバランス料金制度の見直しについて(補正インバランス料金のC及びDの値)
- 需給ひっ迫時の補正インバランス料金に用いる2024年度のC値・D値は未決定であり、この夏の需給状況なども踏まえて継続検討する。 - C値は現行200円/kWhで、制度上は600円/kWhへの引上げが原則だが、電源Ⅰ´の複数年価格平均は360.52円/kWhである。 - D値は現行45円/kWhで、電源Ⅰ´の複数年上限単価平均は48.64円/kWhとなり、件数の大宗も45円/kWh以下である。 - DR応札量は2020年度以降増加した一方、小売のリスク回避手段は拡大傾向にありながらスポット市場比で限定的であり、引上げと小売影響への配慮が判断論点である。
- 10
自主的取組・競争状態のモニタリング報告:令和5年1月~令和5年3月期
- 2023年1〜3月期のスポット約定量は857億kWhで前年同期並み、平均価格は14.8円/kWhと前年同期より8.2円低下した。時間前市場も約定量は1.1倍、平均価格は16.1円/kWhへ低下した。 - スポット市場では旧一般電気事業者の買い約定が売りを上回り、新電力等は売りが買いを上回った。先渡市場の約定は前年同期比0.04倍に縮小した一方、先物市場の約定量は大きかった。 - 旧一般電気事業者の取引所入札可能量は、自社供給力の約6〜13%。電源切出しや公営水力の競争入札等は前年同期から大きな進展がなく、追加切出しは未定である。 - 3月時点の新電力シェアは総需要の17.7%、相対取引による旧一般電気事業者の供給は総需要の10.21%であり、委員会は今後も市場モニタリングを続ける方針である。
- 11
小売市場重点モニタリング調査結果について
- 2022年7~12月供給開始の公共入札104件のうち、価格基準以下の25件・7社を調査し、電源可変費を下回る契約は確認されなかった。競争者からの申告は0件である。 - 公共入札の落札件数は前回から大幅に減少し、旧一電の落札比率は49%から31%へ低下、新電力は51%から69%へ上昇した。 - 平均落札単価は19.23円から23.82円/kWhへ、下位20%案件の平均も14.29円から17.44円/kWhへ上昇した。 - 次回は2023年1月以降の供給開始案件を調査し、小売・卸市場の監視を継続するほか、旧一電に域外進出の実績や障害等の報告を求める方針である。
要約は AI が作成したものです。正確な内容は配信元の資料 PDF をご確認ください。
制度設計専門会合
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