本資料は、2026年4月からの需給調整市場における低圧リソースおよび機器個別計測の活用開始に向けて、残された制度面・運用面・システム面の課題を整理したものである。
特に、以下の3点を主要なシステム関連論点として検討するものである。
なお、本資料で示されている対応案は、最終決定事項ではなく、関係者への影響やシステム対応の可否を踏まえて今後検討する事項である。
特定計量制度により、一定のルールの下で、パワーコンディショナーやEV充電器等の計量器を電力取引等に活用することが可能となっている。
この制度により、例えば以下の取引が可能となる。
一方、現行の需給調整市場は、低圧リソースが大量に参加することを前提とした仕組みにはなっていない。
低圧リソースの一般的な規模は、資料上、以下のとおりである。
| リソース | 一般的な規模 |
|---|---|
| 家庭用蓄電池 | 6kW程度以下 |
| 家庭用燃料電池 | 1kW程度以下 |
| EV充放電器 | 10kW程度以下 |
実際の逆潮流規模は家庭の需要変動にも左右され、これらの規模より小さくなることが想定されている。
現行ルールをそのまま適用すると、低圧リソースについても、原則として1需要地点ごとに一つの発電BGを組成する必要が生じる。しかし、数kW程度のリソースを多数の発電BGとして個別に管理し、計画作成や精算を行うことは、関係者にとって現実的でないと整理されている。
機器個別計測と低圧リソースの活用は、2026年度の開始を目指して検討が進められている。
システム改修を2024年度から開始するためには、システムの詳細設計に必要となる主要な業務フロー等を、2023年度第1四半期頃までに固める必要があると整理されている。
ただし、今後の詳細な業務フロー設計の結果によっては、必要なシステム改修期間が長くなる可能性がある。
| 項目 | 時期・内容 |
|---|---|
| 業務フロー等の概要整理 | 2023年度第1四半期頃まで |
| システム改修への着手 | 2024年度からを目標 |
| 不正対策・調整金(仮称)等の検討 | システム改修とは切り離し、2026年度まで並行検討 |
| 機器個別計測・低圧リソースの活用開始 | 2026年4月を目標 |
機器点で調整力を供出した場合、調整力の供出分をインバランスの対象外とし、受電点における計画値と実績値の差分を、調整力供出分で補正する方法が基本的な考え方である。
例えば、需要BGのインバランスは、次のように算定することが考えられる。
需要BGのインバランス = 需要実績 + 補正量 - 需要計画
現行制度では、アグリゲーターが作成する基準値計画等を含め、一般送配電事業者がBGごとの計画値・実績値を把握できる。そのため、BGごとに調整力供出分を紐付けて補正することが可能である。
低圧の発電場所では、原則として1発電場所=1調整電源BGとなる。このため、低圧リソースを多数束ねる場合、アグリゲーターが以下の処理を機器点ごとに行うことは現実的でない。
また、受電点の潮流が計画と実績で逆転するようなケースでは、BG単位の計画値・実績値だけでは、調整力供出分を需要BGと発電BGのどちらに補正すべきかが明確にならない。
資料の例では、需要家ごとの計画値が提出されていないため、個々の需要家について計画値と実績値の差分を把握できないことが課題となっている。
資料では、現時点で考えられる方法として、以下の3パターンが示されている。
| 項目 | パターン1:精緻な補正を行わない | パターン2:極力精緻に補正 | パターン3:影響がないケースに限定 |
|---|---|---|---|
| インバランス量への影響 | 一定程度見込まれる | 小さくする方向 | なし |
| アグリゲーターの負荷 | 小さい | 大きい | 小さい |
| 機器点リソースの参入条件 | 特段の条件なし | 特段の条件なし | 調整指令の有無にかかわらず、地点で逆潮流しないこと等 |
| 機器点ごとの計画提出 | 不要。BG等の送端で作成 | 機器点ごとに作成 | 不要。BG等の送端で作成 |
今後は、以下の観点から補正方法の妥当性を検討する必要がある。
機器個別計測では、機器点リソースに設置された特例計量器のデータを収集し、調整力量等を算定する必要がある。
低圧の機器点リソースについては、次世代スマートメーターのIoTルートを通じてデータを収集する方法が整理されている。一方、高圧の機器点リソースについては、データ収集方法が未整理であった。
そこで、高圧について、以下の2つの方法が比較された。
10年間の試算費用は、以下のとおりである。
| データ収集方法 | 10年間の試算費用 |
|---|---|
| IoTルート | 約120億円 |
| インターネットルート | 約489億円 |
試算の前提は以下のとおりである。
試算上の費用が低く、セキュリティ等の面でも望ましいとして、資料では以下の方向性が示されている。
ただし、サービスの利用規模等が試算の前提を超える場合は、コストが増加する可能性がある。
低圧の特例計量器データについては、次世代スマートメーター制度検討会において、IoTルート経由で収集することが適当と整理されている。
具体的には、以下の仕組みである。
IoTルートは、スマートメーターから特例計量器等へアクセスする通信経路であり、双方向通信が可能なものと説明されている。
低圧リソースが需給調整市場に参加する場合、数万件以上のリソースを扱う可能性がある。
現行の手続きでは、以下の作業をリソースごと、またはリスト・パターンごとに行う必要がある。
低圧リソースを個別に管理すると、手続きが大量となり、コストも増加する。そのため、数万件以上のリソースを、あたかも一つのリソースであるかのように扱う群管理を導入する方向性が示されている。
群管理には、以下の要件が必要と整理されている。
| 手続き | 現状 | 課題 | 示されている方向性 |
|---|---|---|---|
| リソース登録数 | ポジワット999件、ネガワット9,999件まで | 数万件以上の登録には上限が不足 | ポジワット・ネガワットともに、現時点では10万件まで登録可能としてはどうか |
| リスト・パターン数 | 上限は20件 | リソース増加時の柔軟な運用を制限 | リソース種類、商品ブロック時間、曜日数等を踏まえて増加させてはどうか |
| 事前審査の時期 | 変更・追加は、運用開始日の属する四半期の前々四半期までに申出 | 四半期に1回の変更では、加入・離脱に対応しにくい | 広域機関を中心に検討し、需給調整小委員会で議論 |
| 事前審査の単位 | リスト・パターン単位またはリソース単位 | 多量かつ高頻度の審査は現実的でない | 広域機関を中心に検討し、需給調整小委員会で議論 |
| 計画作成・精算 | 1発電地点を1発電BGとして計画作成・補正 | 数万件の低圧リソースを地点ごとに扱うことは困難 | 低圧発電リソースについて、1発電地点1BGの制約を設けず、発電BG単位で計画提出してはどうか |
| 精算 | 機器点と受電点で異なる管理が想定される | 異なる管理方法のリソースを一つの群に混在させるとシステムが複雑 | 1リスト・パターン内に複数の群を登録可能とし、各群は受電点または機器点のいずれかに統一してはどうか |
これらは、現行制度を前提にしつつ、低圧リソースの大量参加に対応するための制度・システム上の調整案である。
3つの主要論点に加えて、資料では以下の課題も今後の検討事項として整理されている。
| 検討課題 | 主な検討主体 | 検討時期・方向性 |
|---|---|---|
| 機器点における調整力供出時のインバランス算定 | 一般送配電事業者 | 本検討会で検討 |
| 高圧機器点リソースのデータ収集方法 | 一般送配電事業者 | 今後検討 |
| 群管理手法 | 資源エネルギー庁、広域機関、一般送配電事業者 | 今後検討 |
| 機器点における送電損失の扱い | 広域機関、一般送配電事業者 | 今年度、本検討会等で検討 |
| 複数リソース、ネガポジ、混雑等の複雑なユースケース | 資源エネルギー庁、広域機関、一般送配電事業者 | 今後検討 |
| 調整力契約および調整金(仮称)スキーム | 資源エネルギー庁、一般送配電事業者、小売電気事業者、アグリゲーター | 今後検討 |
| ベースライン基準値の設定方法 | 資源エネルギー庁、広域機関、一般送配電事業者 | 今後検討 |
| 不正防止策、アセスメント、入札・約定・精算に関する市場ルール | 広域機関、一般送配電事業者 | 今年度、需給調整小委員会で検討 |
| システム改修・構築 | 広域機関、一般送配電事業者 | 今後対応 |
不正対策や調整金(仮称)等は、システム改修とは切り離し、2026年度まで並行して検討することとされている。
本資料は、低圧リソースと機器個別計測を需給調整市場で活用するためには、現行制度をそのまま適用するだけでは対応が難しいことを示している。
特に重要な論点は以下の3点である。
機器点で調整力を供出した場合に、調整力供出分をどのように補正するかが課題である。機器点ごとの計画提出を求める方法は精緻である一方、アグリゲーターの負荷が大きくなるため、複数の補正方法を比較して検討する必要がある。
高圧機器点リソースについては、IoTルートとインターネットルートが比較され、10年間の試算費用では、IoTルート約120億円、インターネットルート約489億円となっている。資料では、費用やセキュリティ等を踏まえ、IoTルートを用いる方向性が示されている。
低圧リソースを数万件単位で個別管理することは、登録、計画、審査、補正、精算の面で困難である。そのため、リソースを群として扱い、群単位で各種手続きを行える仕組みの構築が必要とされている。
これらの論点は、2026年4月の活用開始に向けた残課題として整理されたものであり、登録上限、事前審査、BGの扱い、データ収集、インバランス補正などについて、今後さらに制度・業務フロー・システムの整合を図る必要がある。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「需給調整市場における低圧リソースの活用・機器個別計測に向けた残論点について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/jisedai_bunsan/index.html)をもとに当社作成
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