本資料は、次世代スマートメーターを活用し、家庭などに設置された分散型リソースを個別に計測・取引するための制度やルールを検討するものである。
対象となる分散型リソースには、以下が含まれる。
これらの設備は、現在も以下の用途で活用されている。
需給調整市場については、実証により一定の成果が出ている。一方、現行ルールでは低圧リソースの参加が認められていないことが課題である。
本資料では、システム改修が順調に進むことを前提として、2026年度からの低圧リソースの需給調整市場への参画開始を目指し、必要となる制度上の論点を整理している。
2025年度から導入予定の次世代スマートメーターでは、EV充電器や太陽光発電のパワーコンディショナーなどに設置された特例計量器のデータを収集できるようになる。
従来の家庭全体の電力使用量に加え、以下のような機器ごとの電力使用量を把握できるようになる。
これにより、需要場所全体の電力使用量だけでなく、個別機器の電力使用量を「測り分け」することが可能となる。
個別機器の電力使用量を把握することで、機器に特化した料金メニューやDRサービスなどの創出が想定されている。
また、特例計量器の計量値を活用することで、検定付きメーターを新たに設置しなくても、分散型リソースに関する電力量取引が可能となることが期待されている。
2020年の電気事業法改正により、一定のルールの下で、パワーコンディショナーやEV充電器などの特例計量器を電力取引に活用できる「特定計量制度」が設けられた。同制度は2022年4月1日に施行されている。
特定計量制度では、アグリゲーターなどの事業者に対して、以下の対応を求めている。
届出を行った取引については、計量法の規定が一部適用除外となる。
| 対象 | 取引・サービスの例 |
|---|---|
| 太陽光発電 | パワーコンディショナーの計量値を用いた電力取引 |
| 太陽光発電 | 発電電力を需要家が選択した事業者に、さまざまな価格で販売するサービス |
| EV | EV充電設備の計量値を用いた電力取引 |
| EV | 市場価格が高いときに売電し、安いときに買電するサービス |
この制度を基盤として、次世代スマートメーターによる個別機器の計測データを、託送契約や市場取引にどのように位置付けるかが今回の検討課題となる。
2022年3月の電力・ガス基本政策小委員会では、次世代スマートメーターのIoTルートを通じたデータ収集について、系統利用の有無や機器の種類にかかわらず、託送に資するものとして整理されている。
特例計量器の計量値をスマートメーターシステムで収集し、差分演算を行うことで、以下の効果が期待されている。
ただし、低圧の機器点を託送契約上で分割し、個別機器を測り分ける場合には、ユースケースごとに電気事業法や既存の託送制度などとの整合性を確認する必要がある。
次世代スマートメーターを用いて低圧の個別機器を計測・契約する場合、主に以下の6点を整理する必要がある。
| 論点 | 主な検討内容 |
|---|---|
| 1. 契約の整理 | 契約単位や部分供給との関係 |
| 2. 対象ユースケース | 取引可能とする利用形態、インバランスの算定・処理方法 |
| 3. 発電設備の扱い | 発電設備が混在する場合の自家消費の扱い |
| 4. 適用条件 | 契約分割による不適切な料金負担回避の防止 |
| 5. 契約管理方法 | 親メーターと機器点メーターの紐づけ、契約廃止時の扱い |
| 6. 責任所管 | 保安責任、金銭的責任などの所在 |
今回の議論では、特に1~4の論点について、検討に必要な視点や考え方が示されている。
電気事業法や託送供給等約款では、原則として次の契約関係が基本とされている。
1需要場所・1引込・1契約・1計量
これに対して、今回想定される仕組みでは、1つの需要場所にある複数の低圧機器を個別に計測することになる。そのため、例外的な契約形態として、次の整理が一案として示されている。
1需要場所・1引込・複数計量・複数契約
また、高圧で行われている部分供給の考え方を一部踏襲する方法も検討対象となる。部分供給では、複数の小売電気事業者が1つの需要場所に供給するが、電気は物理的に区分されず、1つの引込みを通じて供給される。
ただし、以下の点について整合性を確認する必要がある。
基本的には、EV充電器やエアコンなどの需要リソースを個別に計測し、機器に特化したサービスを提供することが想定されている。
想定されるユースケースは以下のとおりである。
特に、宅内に発電リソースがある場合には、どのリソースが調整力を供出したかによって、インバランスの算定・処理方法が異なる可能性がある。そのため、少なくとも次のケースを分けて検証する必要がある。
需要場所内に太陽光発電などの発電リソースがある場合、自家消費分をどのように扱うかが論点となる。
個別機器の計量によって、これまで一般送配電事業者が把握していなかった自家発・自家消費の一部を把握できるようになる場合がある。その結果、託送料金の対象となる電力量が増加する可能性がある。
一方、部分供給における次の考え方を踏襲する場合には、受電点からの逆潮流を受電点メーターで把握し、自家消費分を別途観念しない整理も可能とされている。
託送料金は全量供給の場合と同一とする
したがって、以下の事項を一体的に検討する必要がある。
個別機器を分割して契約・計量できるようにすると、実際の系統利用や電力使用量が変わらないにもかかわらず、料金が減少する可能性がある。
機器ごとに使用時間が異なるため、家庭全体の最大需要と、各機器の最大需要を合計した値は一致しない。
資料では、次の例が示されている。
家全体の最大需要 7kW
EV充電器 3kW +エアコン 4kW +その他負荷 4kW
この場合、契約電力について以下を検討する必要がある。
エアコンなど使用時期が限定される機器を個別契約にすると、使用しない月の基本料金を減少させられる場合がある。
また、最低料金制では、契約を分割することで、系統への影響が変わらないにもかかわらず、基本料金が低下する可能性がある。
契約電力12kWを6kWずつ2契約に分割する例では、料金制度によって影響が異なる。
| 料金制度 | 分割による影響 |
|---|---|
| kW制 | 6kW契約の基本料金が450円の場合、450円×2=900円となり、影響はない |
| 最低料金制 | 6kW契約の基本料金が300円の場合、300円×2=600円となり、基本料金が減少する |
このため、以下の対応が検討課題となる。
小売料金に三段階料金を適用している場合、契約を分割することで、需要場所全体の使用量が変わらないにもかかわらず、安い第1段階の単価を適用できる可能性がある。
使用量480kWhを4契約に分割し、それぞれ120kWhとする例では、次の違いが生じる。
| 料金体系 | 分割前後の扱い |
|---|---|
| 単純なkWh制 | 480kWhでも120kWh×4でも料金は同じ |
| 三段階料金 | 120kWh契約を4つに分けることで、安い単価が適用され、料金が減少する可能性がある |
したがって、契約分割による料金負担の不公平や料金逃れを防ぐため、契約分割に関する適用条件を定める必要がある。
個別機器の計測・契約を実施するためには、契約の分け方だけでなく、契約情報や責任の管理方法も整理する必要がある。
今後の検討事項は以下のとおりである。
今後は、次世代スマートメーターを活用した分散型リソースの取引ルールについて、以下の事項を中心に詳細な検討を進める。
低圧リソースについては、今後、詳細な市場ルールの設計、蓄電池等の導入促進策の検討、需給調整市場の実証・普及を通じて活用を進めることが示されている。
本資料の中心的な課題は、次世代スマートメーターによって可能となる個別機器の計測・取引を、既存の契約、託送、料金、インバランス、責任分担の制度とどのように整合させるかにある。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「次世代スマートメーターを活用した分散型リソースの取引ルールについて」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/jisedai_bunsan/index.html)をもとに当社作成
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