同時市場(kWh・ΔkWの同時最適)の費用便益分析は、まず需要の価格弾力性を考慮しないモデルで定量分析を始め、総電源エネルギーコストやCO₂対策コストの低減を便益として評価する案である。社会的余剰(消費者余剰+生産者余剰)の比較が一般的な考え方だが、需要曲線や需要モデルの設定に課題があるためである。費用には市場・価格算定・精算システムの構築や次期中給・広域機関システムとの連携などが想定されるが、項目や定量化の範囲は未確定である。
評価期間は、次期中給の運開時期や大規模システムの寿命、海外事例を踏まえ、「2030年頃から10年」とする案である。割引率4%、年経費率10.7%(変電設備に準拠)を置き、定量評価可能な項目で費用便益比(B/C)が1を超えるかを検討する。これらは提案段階であり、確定した評価結果ではない。
| 評価軸 | 案・主要な留意点 |
|---|---|
| 便益 | 価格弾力性なしで分析を開始し、総電源エネルギーコスト・CO₂対策コスト低減を算定 |
| 期間・基準 | 2030年頃から10年、割引率4%、年経費率10.7%、B/C>1を確認 |
| 定性評価 | 定量化できない便益・費用やメリット・デメリットも整理し、定量値の解釈や導入時の留意点に反映 |
資料が定量評価候補として示す便益は、①kWhとΔkWの取り合い解消による調整力コスト低減、②広域的な混雑処理による費用低減である。②は、エリア内の電源持ち替えによる個別最適から、SCUC・SCEDで全国の電源を用いる全体最適へ移ることを想定する。調整力必要量や混雑処理の費用低減量は、今後の分析で把握する必要がある。
システム構築費用、価格算定・入札・精算の仕組み、次期中給等との連携費用も費用候補である。BG・TSO側のシステム対応費用の評価方法は未整理であり、計画提出の簡易化など制度設計によって費用が変わる可能性も示されている。物価・人件費の上昇傾向にも留意が必要である。
米国の費用便益事例には、同時最適以外にLMPによる立地誘導、容量市場、広域設備計画などの効果が含まれる。PJMの年間32~40億ドルの便益も複数の制度・運用変更を対象としており、日本の同時市場の便益としてそのまま適用できない。また、同時最適だけに特化した評価報告は調査範囲では確認されず、米国事例は対象要素を選別して参照する必要がある。
次段階では、電源起動・出力配分ロジックの検証(検証A)、価格算定の影響検証(検証B)、調整力の定義見直し等の結果を踏まえ、各項目が定量評価可能かを判断し、シミュレーション等による費用便益分析を進める方針である。定性的な便益・費用も併せて整理し、今回示した項目以外の評価候補や分析方法について意見を求めている。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「同時市場における費用便益分析の進め方について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/doji_shijo_kento/index.html)をもとに当社作成
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