本取りまとめは、電力(kWh)と調整力(ΔkW)を同時に取引し、需給と系統制約を踏まえて電源の起動停止・出力を最適化する市場の制度設計方針を示すものである。導入に向けた詳細設計とシステム要件定義を進め、その結果から国内での実現可能性を判断する段階であり、導入自体はまだ最終決定されていない。
現行では電力市場と需給調整市場が別々に運用され、電源の取り合いや調達不足が起こりうる。2020年度冬期にはスポット価格が最高251円/kWhに達し、2024年4月の需給調整市場では全国の未達率が商品別に28~84%であった。変動性再エネの拡大に伴い、調整力必要量は2034年度に2024年度比で全国119~129%となる見通しである。また、単価入札やブロック入札では起動費等を反映しにくく、効率的な約定を妨げる課題がある。
| 対象・市場 | 整理された仕組み | 留意点・未確定事項 |
|---|---|---|
| 市場運営 | 週間運用、前日市場、複数回の時間前市場、ゲートクローズ直前の直前市場を設ける。前日・時間前は電源の起動停止と出力配分、直前は原則として出力配分を行う。 | 開催時刻・回数、直前市場の入札義務等は詳細設計で具体化する。 |
| 発電事業者 | 原則、予備力分を含む発電余力全量を前日・時間前市場に入札し、全電源の価格情報・運転情報を登録する。起動費、最低出力費用、増分費用カーブを用いる。 | 相対契約による市場外供給は可能だが、電源情報・発電計画の登録が必要。自己計画電源も需給・系統制約時には公平に制限されうる。 |
| 小売電気事業者 | 計画値同時同量義務に基づき需要分を調達する。買い入札は任意であり、市場外の相対調達も可能である。 | 電源費用の回収不足を補うアップリフトの応分負担が想定される。大規模需要の地点指定入札等は検討課題である。 |
| 送配電事業者 | 調整力必要量と系統情報を市場に提供し、約定結果に基づいてゲートクローズ後の系統・需給運用を担う。 | 調整力の精算方法や余力活用契約との関係は今後整理する。 |
約定は、系統制約付き起動停止計画・出力配分(SCUC・SCED)により、電源の費用と運転制約、需給バランス、基幹系統の送電容量を考慮して行う。電力価格は確保された電源態勢のシャドウプライスを基本とし、地内系統混雑時は地点別価格の需要加重平均とする方針である。調整力価格は確保に伴う逸失利益を基礎に算定し、いずれもシングルプライスを基本とする。市場価格で回収できない起動費等は個別補填(アップリフト)の対象とし、試算では年間電力取引総額の1.8%となったが、対象範囲と負担配分は未確定である。時間前市場では前市場からの差分を当該市場価格で精算する。
2030年頃を想定した全国系統モデルによる技術検証では、目標精度には届かなかったものの、現行ロジックで年間を通じて現実的な時間内に実行可能解が得られ、需給バランスと電源構成も運用上妥当な結果となった。買い入札を含む計算の収束性、週間計画、時間前市場などについても検証が進んだ。一方、これらは技術的な実現可能性を確定したものではなく、約定システムの開発を含む継続検討が必要である。
残る主な論点は、入札・情報提供義務の詳細、小売入札需要と送配電想定需要の約定・価格算定への反映、アップリフトの対象と負担配分、BG計画との接続、揚水・蓄電池・DER・DRの取扱い、取引規律と監視である。FIT特例電源の計画変更や、基幹系統とローカル系統の混雑管理の連携も関係制度と調整する必要がある。
今後は、①業務実態・海外システム等を踏まえた詳細業務設計、②システム開発に向けた要件定義、③要件定義の結果に基づく導入可能性の最終判断、④可能と判断された場合のシステム開発・事業者準備を進める構想である。市場運営主体やシステム開発主体の参画、関連規程の改定、参加者の登録・リハーサル等も準備に含まれる。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「「同時市場の在り方等に関する検討会」第二次中間取りまとめ」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/doji_shijo_kento/index.html)をもとに当社作成
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