本資料は、太陽光発電、電気自動車(EV)、蓄電池、需要 response(DR)などの**分散型エネルギーリソース(DER)**を、配電系統の運用や災害時のレジリエンス向上に活用する方向性を整理したものである。
主な検討対象は以下のとおりである。
資料では、再エネや電化の進展により、配電系統の潮流が従来より大きく変化すると整理されている。
| 指標 | 現状 | 将来想定 |
|---|---|---|
| 再エネ発電量比率 | 20.3%(2021年) | 36~38% |
| 新車販売における電動化比率 | 45.5%(2022年上半期) | 100% |
太陽光発電等の導入拡大に加え、EVの充電需要が増加することで、配電系統では電力が流れる方向や量が変化することとなる。
主な課題は以下のとおりである。
混雑の発生状況については、次のような進展イメージが示されている。
| 時期 | 想定される状況 |
|---|---|
| 足元 | 一部地域・限られた時間帯で、逆潮流による混雑が発生する可能性 |
| 将来 | 複数地域・多くの時間帯で、逆潮流による混雑が発生する可能性 |
従来、こうした課題への対応は設備増強が中心であった。資料では、これに加えてDERを柔軟に制御し、混雑緩和や電圧管理に活用する方向性が示されている。
DERを適切なタイミングで充放電・制御することにより、以下の効果が期待されている。
DERの活用は、系統増強を一律に置き換えるものではなく、系統増強と比較しながら選択肢の一つとして検討するものである。特に、系統増強が困難である場合や、費用便益を見込みにくい場合には、蓄電池やDRの活用が検討対象となる。
資料では、DER活用に関して、主に以下の3つの取組・構想が示されている。
| 取組・構想 | 主体 | 主な対象・内容 |
|---|---|---|
| DERフレキシビリティ | NEDO | 配電用変電所の混雑を対象に、蓄電池等のDERを制御し、設備増強を代替・補完する |
| 分散エネルギー取引市場 | 東京電力パワーグリッド | 配電エリア内の発電と需要をマッチングし、需給や混雑を市場メカニズムで管理する |
| 配電系統でのDER活用 | 関西電力送配電 | IT開閉器や次世代スマートメーターにより系統状態を把握し、将来的に配電線単位でDERを活用する |
NEDOの実証では、当面の対象を配電用変電所の混雑としている。
主な内容は以下のとおりである。
この取組は、DERフレキシビリティを配電設備の増強に代わる、または増強を補完する手段として社会実装することを目指すものである。
東京電力パワーグリッドは、全国市場と地域の需要家設備との間に位置するローカルな階層に、分散エネルギー取引市場を設ける構想を示している。
想定される仕組みは以下のとおりである。
想定される取引価値には、以下が含まれる。
関西電力送配電は、DERの普及状況や費用対効果を踏まえ、段階的に活用を進める考え方を示している。
当面は、以下の設備・情報を活用し、配電系統の状態把握と設備構成の最適化を進める方向である。
将来的には、配電線単位で以下を行うことが視野に入れられている。
DER活用やデジタル技術の導入は、系統の階層ごとに対象や方法が異なる。
| 対象 | 想定される課題 | 将来的な対応策 |
|---|---|---|
| 上位系統 | 再エネ、電化、EV増加等による混雑 | 系統用蓄電池等のDER、価格シグナルによる立地誘導、ゾーン制・ノーダル制 |
| 配電用変電所・配電エリア全体 | 再エネ、電化、EV増加等による混雑 | DERフレキシビリティ、価格シグナルによる立地誘導 |
| 配電系統・フィーダー単位 | 混雑、電圧逸脱 | IT開閉器・次世代スマートメーターによる設備最適化、DERフレキシビリティ |
なお、配電系統におけるノンファーム型接続については、適用上の課題が多く、具体的な適用時期は見込まれていない。一方、NEDOではDERフレキシビリティの技術開発が進められている。
DERとデジタル技術は、平常時の混雑対策だけでなく、災害時の電力供給や停電復旧にも活用することが期待されている。
次世代スマートメーターについては、以下の機能が挙げられている。
次世代スマートメーターは2025年度から導入開始予定とされている。これを踏まえ、レジリエンス向上に向けた活用方法を検討することが望ましいとされている。
DERを実際の系統運用に組み込むためには、技術だけでなく、取引・制御の仕組みや関係者間の役割分担を整理する必要がある。
系統増強が困難である場合や、増強による費用便益を見込みにくい場合には、系統用蓄電池やDRを活用する可能性が検討されている。
具体的な論点は以下のとおりである。
したがって、DERの導入を進めるには、導入そのものの可否だけでなく、どの場所・時間帯で、どの程度の柔軟性が必要かを明確にし、系統増強との比較を行うことが必要となる。
資料では、海外における配電系統対策として、価格シグナル、市場取引、情報公開、接続ルール、設備対応などが紹介されている。
| 分類 | 手法 | 概要 |
|---|---|---|
| 託送料金の調整 | ダイナミックプライシング | 混雑状況に応じて時間帯別に託送料金を変動させる |
| 託送料金の調整 | 容量インセンティブ | 高負荷時に追加料金等を課す |
| 市場取引 | フレキシビリティマーケット | DER等の柔軟性を市場で取引・調達する |
| 市場取引 | DLMP | 混雑状況等に応じた地点別限界価格を設定する |
| 情報公開 | ホスティングキャパシティマップ | 系統の空き情報等を示し、DERの接続を誘導する |
| 接続契約・ルール | 地域変動性接続料金 | 系統容量に応じて接続料金を設定する |
| 接続契約・ルール | ノンファーム接続 | 一定期間の出力制御等を条件に接続を認める |
| 接続契約・ルール | バッファストレージ | 定置型蓄電池の導入を条件に接続を認める |
| 接続契約・ルール | 遠隔制御・自動制御機能 | スマートインバーター等の制御機能を条件に接続する |
| 保護システム | センサー・電圧調整器 | 系統状態を精緻に把握し、電圧調整等を行う |
| 設備対応 | 系統増強 | 系統設備そのものを増強する |
これらの手法には、以下の課題がある。
本資料では、配電分野におけるDER活用について、次の方向性が示されている。
本資料は、再エネ、EV、蓄電池等の増加によって配電系統の混雑や電圧逸脱が顕在化することを踏まえ、DERを系統運用に組み込む方向性を示したものである。
DERは、設備増強を補完する混雑対策としてだけでなく、需給調整、電圧管理、再エネ接続量の拡大、災害時の独立運用や停電復旧にも活用が期待されている。一方で、情報プラットフォーム、制御・取引ルール、TSO・DSO間の役割分担、費用負担、サイバーセキュリティ、系統増強との費用便益比較など、実装に向けた検討課題が残されている。
今後は、技術実証や各事業者の構想を踏まえながら、DERの普及状況と必要な系統機能を段階的に整理し、電力ネットワーク全体として整合的な制度・市場・運用の構築を進めることが方向性として示されている。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「配電分野における分散型エネルギーリソースの活用について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/jisedai_bunsan/index.html)をもとに当社作成
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