本資料は、需給調整市場への低圧小規模リソースの参入と、受電点ではなく機器ごとに計測する機器個別計測について、制度・業務・システム上の要件を整理するものである。
第7回検討会で整理された課題を踏まえ、今回は特に、システム開発要件に関係する以下の論点を中心に検討している。
低圧小規模リソースは、数万件以上の登録が想定されている。そのため、個々のリソースを単独で管理するのではなく、複数のリソースをまとめた「群」として管理することが基本的な方向性である。
また、資料では、システム改修等が順調に進むことを前提に、2026年度からの市場参加開始を目指すことが提案されている。
| 時期 | 資料上の位置付け |
|---|---|
| 2023年度第1四半期頃まで | システム詳細設計に必要な主要な業務フロー等の概要を固める |
| 2024年度 | システム改修への着手を目指す |
| 2026年度まで | 不正防止策、調整金(仮称)等、システムと切り離して検討可能な課題を並行して検討する |
| 2026年度 | 機器個別計測および低圧リソースの活用開始を目指す |
ただし、今後の詳細な業務フロー設計によっては、必要なシステム改修期間が長くなる可能性も示されている。
低圧小規模リソースは、登録数が非常に多くなることが想定されるため、複数のリソースをまとめた「群」として管理する方向である。
複数のリソースの組み合わせを登録したものが**「リスト・パターン」**である。リスト・パターンには、以下のようなリソースを組み合わせて登録することが想定されている。
ただし、精算上の扱いを明確にするため、受電点計量のリソースと機器点計量のリソースを同一の群に混在させない整理である。1つのリスト・パターンに複数の群を登録し、群ごとに計量方法を統一する方向である。
| 項目 | 現状・課題 | 示された方向性 |
|---|---|---|
| リソース登録数 | ポジワットは999件、ネガワットは9,999件までであり、低圧では不足する可能性がある | ポジワット・ネガワットともに10万件まで登録可能とする |
| リスト・パターン数 | 1事業者当たり20件では、リソースの種類や商品区分に応じた運用が難しい | 1事業者当たり200件まで拡大する |
| 事前審査の時期 | 四半期単位の変更申請では、低圧需要家の加入・離脱に対応しにくい | 申込日から原則3か月以内に審査を完了する |
| 審査後のリソース変更 | 大量・高頻度の事前審査は低圧リソースでは現実的でない | 1回の入札につき、供出可能量の10%以内の入替・追加を許容する |
| 発電リソースの計画作成 | 1発電地点を1発電BGとすると、数万地点分の計画作成が必要となる | 低圧発電リソースについて、1発電地点1BGの制約を設けない |
| 精算時の管理 | 受電点計量と機器点計量では管理方法が異なる | 1リスト・パターンに複数の群を登録し、群ごとに計量方法を統一する |
既存のリスト・パターンについては、事前審査後であっても、一定範囲内でリソースの入替・追加を認める方向である。
例えば、事前審査時の供出可能量が1,000kWの場合、上限は次のように増加する。
| 段階 | 供出可能量の上限 |
|---|---|
| 事前審査時 | 1,000kW |
| 1回目の入札時 | 1,100kW |
| 次回入札時 | 1,210kW |
ただし、健全性確認の方法や期間などの詳細は、引き続き広域機関を中心に検討し、一般送配電事業者が定める取引規程で取り決めることとされている。
機器点で調整力を供出すると、受電点における潮流が計画時と実績時で変化する場合がある。
特に、以下のように潮流の向きが変わるケースでは、どのBGに調整力によるインバランスが生じたのかを明確に特定することが難しい。
現行の発電・需要計画はBG単位で提出されているため、地点ごとの調整力の影響を精緻に把握するには、追加の計画提出が必要となる可能性がある。
資料では、原則として計画値同時同量の考え方を基準としながら、次の点を踏まえて処理方法を検討する必要があるとしている。
受電点計量では、受電点における発電計画と需要計画を提出できるため、調整力が発電BGと需要BGのどちらに影響したかを把握しやすい。
そのため、以下の整理が示されている。
機器点計量であっても、受電点潮流の向きが計画時と実績時で変わらなければ、調整力の影響を受けるBGを特定できる。
| 受電点潮流 | インバランス補正の対象 |
|---|---|
| 順潮から順潮 | 需要BG |
| 逆潮から逆潮 | 発電BG |
この場合、潮流に対応するBGに調整力によるインバランス補正を行うことで、補正量を精緻に把握できると整理されている。
受電点潮流が計画時と実績時で逆転する場合、精緻な算定のためには、需要家ごとに以下の計画を提出する必要がある。
しかし、地点ごとの計画提出を導入すると、以下の負担が生じる。
そこで、潮流逆転時にも市場参加を認める場合には、インバランス責任が明確になる条件に限定する方向性が示されている。
具体的には、需要家が契約する発電・需要の事業者を1事業者に限定する案である。対象となる契約は以下のとおりである。
また、調整力によるインバランス補正については、小売事業者とアグリゲーターの間で契約することを前提とする整理も示されている。
電圧階級に応じて、損失の扱いを分ける方向である。
| 対象 | 損失の扱い |
|---|---|
| 低圧 | 原則として変圧器ロスを想定せず、損失の考慮は不要とする |
| 高圧・特別高圧 | 変圧器ロスを考慮する必要がある |
| 高圧・特別高圧の機器点計量 | 機器点ごとの計画が提出され、機器点での調整力を把握できるため、損失影響を精緻に考慮できる |
ネガワットとポジワットのリソースが混在する複雑なケースについても、標準的なユースケースを組み合わせることで損失を考慮できるとしている。
変圧器の効率は、損失率を用いて次のように定義する。
受電点から見た潮流方向に応じて、標準ユースケースを組み合わせる。
計算例は以下のとおりである。
50 × b2 / a30 / b1 / a需要削減(L)+需要削減(G)20(50 − 20 / a / b2) × b2 / a30 / b1 / a発電増加+需要削減(L)+需要削減(G)この考え方により、発電増加や需要削減の量を変圧器効率に基づいて受電点側の調整力に換算する。
市場ルールについては、以下の項目が今後の検討課題として挙げられている。
このうち、アセスメント、入札、約定、精算に係る市場ルールは、需給調整市場の小委員会で検討を進めることとされている。
特別高圧・高圧・低圧のリソースが、機器点で計測した値に基づいて需給調整市場に参加する場合、不正防止が重要である。
第40回需給調整市場検討小委員会では、以下の方向性が整理されている。
| 対象 | 不正防止策 | ペナルティ |
|---|---|---|
| 高圧リソース | 運用上実現性の高い抜き打ち監査、単線結線図の事前提出 | アセスメントⅡ違反時と同様の金銭的ペナルティ、一定期間の市場退出、悪質な場合は取引会員資格のはく奪・除名等 |
| 低圧リソース導入当初 | 実施可能な範囲での抜き打ち監査、抜き打ちでの単線結線図提出 | 高圧リソースと同様 |
| 低圧リソースの将来対応 | 次世代スマートメーター等の追加設備構築後、応動データを用いた不正防止策を検討 | 高圧リソースと同様 |
高圧リソースについては、構内の記録を改ざんし、需要抑制を行ったように見せる不正が想定されている。そのため、抜き打ち監査や単線結線図の提出など、具体的な防止策を整理する必要があるとしている。
一方、低圧リソースは、リソース数が非常に多く、設置場所も広範囲に及ぶ。そのため、導入当初から高圧と同じ水準の対策を全面的に実施するのではなく、実施可能な範囲で対策を行う方向である。
なお、信頼性の高いアグリゲーターについて不正防止策を不要とする案については、以下の理由から、一定の対策が必要と整理されている。
将来的な不正防止策として、調整力指令値と機器点・受電点の計測値の相関関係を比較・検証する方法が示されている。
検証対象は以下のとおりである。
計画値が以下の場合を例としている。
| M1への調整力指令値 | M1計測値 | M2計測値 |
|---|---|---|
| +100 | 150 → 50 | 300 → 200 |
| +50 | 150 → 100 | 300 → 250 |
| +30 | 150 → 120 | 300 → 270 |
| +30 | 150 → 120 | 300 → 300 |
資料では、正常時には各値に一定の相関関係が見られ、不正時にはその相関関係が見られない例を示している。
この方法の導入可否については、以下を踏まえた将来的な検討課題である。
低圧小規模リソースの大量登録、リスト・パターンの増加、群単位での計画提出・精算を実現するため、システム改修が必要となる。
システム改修に先立ち、以下の論点を整理する必要がある。
特に、主要な業務フロー等の概要を先に固めることが、システム詳細設計の前提となる。
| 取組 | 内容 |
|---|---|
| 低圧リソース機器点の市場参加 | 需給調整市場への参加を開始する |
| 算定方法の検討 | インバランス等の算定方法を検討する |
| システム改修・構築 | 検討結果を反映したシステムを整備する |
| システム運用 | 整備したシステムを運用する |
| 実績を基にした調査・検討 | 運用実績を踏まえ、制度や算定方法を検討する |
| 次期システム改修・構築 | 必要に応じて次のシステムを整備する |
| 新たな算定方法の適用 | 検討結果に基づき、新たな算定方法を適用する |
運用実績を踏まえた調査・検討の結果によっては、以下の可能性がある。
| 課題 | 主な検討主体 | 資料上の位置付け |
|---|---|---|
| 高圧の機器点リソースのデータ収集方法 | 一般送配電事業者 | 第7回で決定 |
| 低圧小規模リソースの群管理 | 資源エネルギー庁、広域機関、一般送配電事業者 | 本検討会で検討 |
| 機器点で調整力を供出した際のインバランス算定・処理 | 資源エネルギー庁、一般送配電事業者 | 検討継続 |
| 機器点における損失の扱い | 広域機関、一般送配電事業者 | 検討継続 |
| 複雑なユースケースへの適用 | 資源エネルギー庁、広域機関、一般送配電事業者 | 検討継続 |
| アセスメント、入札・約定・精算、市場ルール | 広域機関、一般送配電事業者 | 需給調整小委員会で検討 |
| システム改修・構築 | 広域機関、一般送配電事業者 | 論点整理後に実施 |
| 調整力契約・調整金(仮称)スキーム | 資源エネルギー庁、一般送配電事業者、小売電気事業者、アグリゲーター | 今年度検討 |
| ベースライン基準値の設定方法 | 資源エネルギー庁、広域機関、一般送配電事業者 | 検討継続 |
本資料では、低圧小規模リソースを大量に需給調整市場へ参加させるため、制度上の柔軟性とインバランス責任の明確化を両立させる方向性が示されている。
主な整理は以下のとおりである。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「需給調整市場における低圧小規模リソースの参入及び機器個別計測の適用に係る詳細検討について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/jisedai_bunsan/index.html)をもとに当社作成
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