対象・参加資格と電源区分
本要綱は、2028年度(2028年4月1日~2029年3月31日)を実需給年度とするメインオークションについて、参加要件、登録・応札、落札、契約等を定める。対象エリアは沖縄地域およびその他地域の離島を除く全国。参加登録できるのは、実需給年度に電気事業法第22条の3に定める電気供給事業者で、電源等を応札する意思があり、日本国内に本店または主たる事務所を置く国内法人である。
登録対象は、供給計画に計上済みまたは計上見込みの電源等。主な区分・条件は次のとおり。
- 安定電源:所定の水力・火力・原子力・再生可能エネルギー・蓄電池のいずれかで、期待容量1,000kW以上の安定的な供給力を提供するもの。
- 変動電源(単独):安定的な供給力を提供できない水力または再生可能エネルギーで、期待容量1,000kW以上。
- 変動電源(アグリゲート):同一供給区域内の1,000kW未満の対象電源を組み合わせ、1,000kW以上とするもの。
- 発動指令電源:所定の事業用電気工作物、特定抑制依頼等により1,000kW以上を提供するもの。変動電源または変動電源のみの組み合わせは対象外で、オンライン機能が必要。
応札単位は、安定電源・変動電源(単独)が計量単位ごと、変動電源(アグリゲート)が小規模変動電源リストごと、発動指令電源が電源等リストごと。最小応札容量は1,000kWで、1kW単位で登録する。安定電源は、応札容量を超えて需給ひっ迫時に供給できる場合、同一計量単位を発動指令電源の1リソースとしても登録できる。
参加制限・例外
FIT買取期間またはFIP適用期間が実需給年度と重なる電源、業務規程第33条の電源入札で落札した電源、実需給年度に供給力を提供できない電源、専ら自家消費・自己託送・特定供給・特定送配電事業者利用に供する電源、実需給期間中に所定の託送契約がない電源などは、原則参加できない。ただし、FIT電源等は非FIT相当分を計量できる場合など、その部分を登録できる例外がある。自家消費等も必要容量を超えて供給可能な部分は登録できる。
長期脱炭素電源オークションの契約容量は、制度適用期間が本オークションの実需給年度と重なる部分は参加できない。本オークションの落札電源は原則として長期脱炭素電源オークションに参加できないが、制度適用期間が本オークション対象年度の翌年度以降に始まる場合、または既設火力を新たに脱炭素化改修する場合は例外となる。
登録・応札の手続と期限
参加登録・応札は容量市場システムで行い、事業者情報、電源等情報、期待容量の順に登録する。前段階の登録完了が次の登録の条件となる。事業者コード、系統コード、クライアント証明書が未取得なら登録前に取得する。登録情報に変更があればシステムで変更手続きを行うが、応札受付終了後から約定結果公表までは変更できない。
主な日程は次のとおり。不測の事態で変更される可能性がある。
- 事業者情報登録:2024年8月2日~8月8日(審査は8月19日まで)
- 電源等情報登録:2024年8月2日~8月23日(審査は9月5日まで)
- 期待容量登録:2024年9月9日~9月20日(審査は10月4日まで)
- 応札受付:2024年10月15日~10月25日
- 応札容量算定に用いた期待容量等算定諸元一覧(様式2)の提出:2024年10月28日~11月1日。発動指令電源は提出不要
- 約定結果公表:2024年12月頃の予定
事業者情報には正式名称、所在地、銀行口座、担当者、適格請求書発行事業者の登録番号等を登録し、様式1の誓約書を提出する。電源等情報は実需給年度時点の想定情報を記載し、所定の証明書類を提出する。新設電源で合理的理由により書類を用意できない場合、提出期限が延長されることがある。ただし、追加登録期限(2028年1月末予定)までに書類提出・登録がなければ全量退出となる場合がある。変動電源(アグリゲート)の書類は原則2025年3月末日まで、発動指令電源のオンライン指令関係書類は実効性テスト前までに提出する。
期待容量は電源等ごとにkW単位で登録する。安定電源・変動電源は様式2の記載要領等に従い、発動指令電源は実績と将来計画を踏まえて算定し、様式3を提出する。過去のメインオークションで登録済みでも、2028年度向けに改めて登録が必要。新設電源、発電用自家用電気工作物(余剰)、設備更新に伴う増出力について登録後に変更が生じた場合、判明時に書類を再提出し、本機関が認めれば期待容量を変更する。
応札では電源等ごとに応札容量と税抜き応札価格を登録する。応札容量は1,000kW以上かつ登録済み期待容量以下、価格は1円単位。応札情報の登録は容量確保契約の申込みとみなされ、約定結果公表日に公表内容に従う契約が成立する。受付期間中は応札情報を変更・取消できるが、終了後はできない。応札しなかった電源等は原則2028年度の調達オークションに参加できない(例外条件は別途募集要綱で公表)。市場支配力を有する事業者等の応札価格には、電力・ガス取引監視等委員会による確認や取消しの規定がある。
落札・価格決定、契約
入札は容量市場システムによる封印入札で、原則、落札電源のうち最も高い応札価格を単一の約定価格とする第1価格決定方式(シングルプライス)。需要曲線と供給曲線の交点を基に落札を決め、応札単位の部分約定はしない。同価格電源やエリアごとの供給信頼度不足等には、シミュレーション、追加・減少処理、ランダム決定を含む所定手順を用いる。市場分断時はエリア(ブロック)ごとに価格が異なる。競争が限定的となるおそれのあるエリアでは、隣接エリア価格の1.5倍を上限とする調整と、対象電源へのマルチプライス方式を適用する場合がある。
落札後は予定日程に従い容量確保契約書を締結する。契約に必要な情報の提出や契約締結をしないなど、市場運営に支障をきたす行為には、一定期間の参加制限等の参入ペナルティが科される場合がある。落札電源は原則供給計画に計上するが、所有者が発電事業者に該当しない場合等は不要。約定結果はエリアごとの約定容量・価格・総額等、契約締結期間終了後には契約結果も公表される。
契約金額は契約単価×契約容量から経過措置控除額と調整不調電源の減額を差し引いて算定する。月額は原則年額の12分の1(円未満切捨て)で、3月分で端数を調整する。主燃料が石炭の安定電源のうち、設計効率がHHV・発電端42%以上と確認できない非効率石炭火力には、契約金額から20%を控除する。
経過措置(第2章)
安定電源および変動電源(単独)は、次の条件に該当すると契約金額算定の経過措置対象となる(2(1))。
- 2010年度末までに建設された電源。2011年度以降の増出力分も対象。ただし、2011年度以降から電源等情報登録前までに、同一構内で同時期に発電機の主要な電気設備をすべて更新し、本機関が認めた場合は対象外となることがある。更新内容・時期を示す、国または国の関係機関への届出等に用いた資料の提出が必要。
- メインオークションの応札価格が、当該エリアの約定価格に応札内容に応じた控除額係数を乗じた価格以下。
個々の電源の約定価格が同指標価格の50%以下なら、上記条件による控除は行わない。50%を超えていても控除後が50%以下となる場合は、控除額を調整して控除後価格を指標価格の50%とする。50%の価格は円未満切り捨て(2(1))。1計量単位に対象・対象外ユニットが混在する場合、経過年数に応じた控除額係数は対象ユニットの設備容量による加重平均で算定する(2(2))。控除・係数等の算定方法は容量確保契約約款附則(2021年7月1日)第2条に規定される。2(1)ア・イの控除額係数を乗じたものを「経過措置控除係数」とする(2(3)~(5))。
市場退出(第3章)
容量提供事業者が実需給年度開始前または実需給期間中に契約容量を減らして退出する場合、経済的ペナルティが科される。退出後の契約容量が1,000kW未満なら全量退出として扱う(3(1)、3(2))。
実需給年度開始前は、契約効力発生日から「容量確保契約の変更または解約の確認」期間終了日までの退出について、契約金額×5%×退出容量÷契約容量で算定する。終了日の翌日以降は5%を10%に置き換える。円未満は切り捨て(3(1)ア)。5%のペナルティを支払った事業者は、追加オークション終了後の実施状況・結果に応じ返金調整を受ける場合がある。調達オークションがない場合、または当該エリアの調達価格が本オークション価格以下なら全額返金。調達価格が本オークション価格を上回っても差が本オークション価格の5%未満なら、支払済額から「価格差×退出容量」を差し引いた額が返金される(3(1)イ)。
実需給期間中は契約金額×10%×退出容量÷契約容量で算定し、円未満を切り捨てる(3(2))。本機関が算定額を通知し、事業者は異議を申し出られる。本機関は確認後、変更の有無を通知する。重大な違反には、一定期間のオークション参加制限や期待容量の評価引き下げ等の参入ペナルティが科されることがある(3(3))。既設火力が脱炭素化改修を前提とせず本オークションで落札後、改修目的で長期脱炭素電源オークションでも落札し制度適用期間が重なる場合、その契約容量は本オークションから退出扱いとなるが、退出ペナルティは適用されない(3(4))。
リクワイアメント・アセスメント・ペナルティ(第4章)
実需給期間前(4-1)
容量提供事業者は契約電源の区分に応じた要件を満たす。
- 安定電源:実需給年度の2年度前に行う容量停止計画の調整に応じる。対象は定期・中間補修、一定の流通設備作業(高圧・低圧等を除く)、自治体との協定履行に伴う停止等。調整機能を持つ電源は属地一般送配電事業者との余力活用契約が必要。契約容量はアセスメント対象容量以上とし、上げ・下げ両方の調整力を供出し、運転継続時間がある場合は応札時登録時間以上とする。電源が契約対象と確認できれば、契約締結者は容量提供事業者以外でもよい。
- 変動電源:実需給年度の2年度前の容量停止計画調整に応じる。変動電源(アグリゲート)は対象外。対象停止等の範囲は安定電源と同様。
- 発動指令電源:同年度の2年度前の夏季(7~9月)または冬季(12~2月)に実効性テストを受け、最終結果または準ずる結果を提出する。所定条件を満たす発動実績があり、本機関が合理的と判断すれば、実績提出でテストを省略できる。電源等リストは指定期間内に提出し、登録事業者とリソース所有者等が異なる場合は登録前に所有者の合意を得る。オンライン機能(簡易指令システムまたは専用線オンライン)が必要。テストは指令に基づき3時間継続して供給力を提供し、指令は提供開始3時間前まで、設定時間は土日祝日を除く9~20時。
本機関は区分別にアセスメントして結果を通知し、事業者は異議を申し出られる(4-1(2))。発動指令電源は夏季・冬季それぞれ1回まで再テストでき、初回・再実施のいずれかを提出できる。2日連続テストは1日目、2日目、または2日間平均を選択できる。3日以上連続するテストは実施しない。
安定・変動電源の調整不調には、追加設備量を利用する場合は所定控除後金額を基礎に0.3%/日、供給信頼度確保に影響する場合は0.6%/日を調整不調日数に乗じて減額する。量に応じた補正があり、一定の合理的理由等では対象外となることがある。事業者都合で停止期間を追加・変更し供給信頼度に影響する場合、算定額の1.5倍を減額することがある(4-1(3)ア)。調整機能を持つ電源が余力活用契約を締結しない、または実需給期間中に解約した場合は全契約容量を退出扱いとし、契約金額の10%をペナルティとする。ただし、本機関がやむを得ない事由を認めて調整機能を「無」に変更する場合は、ペナルティを科さないことがあり、この場合、市場退出ペナルティは別途科されない。
発動指令電源は、結果等を提出しない場合、または未達成量控除後の容量が1,000kW未満の場合、全契約容量を退出扱いとして市場退出ペナルティの対象となる。結果が契約容量に満たなければ、未達成量相当分を退出扱いとし、未達成量×契約単価×5%のペナルティを科す。市場退出ペナルティは別途科されない(4-1(3)イ)。
実需給期間中(4-2)
契約電源は区分に応じ供給力維持等の要件を満たし、アセスメントに必要な情報を提出する。結果は通知され、異議申出ができる(4-2(1)、(2))。
- 安定電源:アセスメント対象容量以上の供給力を維持する。対象の容量停止計画を提出した場合、停止等は8,640コマ(180日相当)まで認められる。小売事業者等が使わない余力は、停止計画のない時間帯に卸電力取引所等へ売り入札する。ただし、相対契約、事業者の責によらない燃料制約、非効率石炭火力の事前運転計画、平常時のバランス停止からの起動が不経済となる場合、提供可能量が対象容量未満の場合等には入札量を減らせる。低予備率アセスメント対象コマでは属地一般送配電事業者の供給指示に応じ、ゲートクローズ後の余力を供給するが、給電申合書等がない場合、専用線オンラインで直接制御可能な場合、または本機関が合理的理由を認める場合は例外。非効率石炭火力は年間設備利用率50%以下で供給力を提供する。
- 変動電源:対象容量以上の供給力を維持し、対象作業等による容量停止計画は8,640コマまで。日没、無風、渇水等の自然影響による出力低下・停止は計画提出不要。アグリゲートは日単位の発電実績(48コマ)の最大値で確認する。
- 発動指令電源:発動指令で創出した供給力を、相対契約による供給または卸電力取引所等への売り入札で提供する。概要要件は年間12回(1日1回まで)、応動の3時間以上前の指令、土日祝日を除く9~20時の3時間継続。これらの要件外でも一般送配電事業者が供給力提供を依頼する場合があり、その場合は経済的ペナルティ対象外。卸市場で約定しない場合に備え精算契約を締結する。
実需給期間中の主なペナルティは次のとおり。
- 安定電源:停止コマ相当数が8,640を超えた分に契約金額×0.0125%を乗じる。余力未入札・供給指示未対応は、未達成量×(契約金額÷契約容量÷Z)。本文の2025年3月28日変更注記では、本オークションのZを90時間とする(4-2(3)ア)。非効率石炭火力が年間設備利用率50%を超える場合は契約金額の20%をペナルティとし、原則3月分に請求する。混在ユニットは加重平均等で扱う。
- 変動電源(単独):停止コマ相当数の算定式は安定電源と同じ。変動電源(アグリゲート):未達成コマ相当数から8,640を差し引いた値に契約金額×0.0125%を乗じ、負値の場合は0円(4-2(3)イ)。
- 発動指令電源:契約金額×110%×未達成量÷(アセスメント対象容量×3時間×12回)(4-2(3)ウ)。
経済的ペナルティには原則、年間上限(契約金額×110%)と月間上限(契約金額×18.3%)がある。ただし発動指令電源および非効率石炭火力の稼働抑制未達成ペナルティは月間上限の対象外。毎月算定し、円未満切捨て。契約金額を超えるペナルティ部分は消費税の対象外。算定結果は通知され、異議申出ができる。重大な違反には参入ペナルティが科される場合がある(4-2(4))。
支払・消費税・その他(第5~7章)
各月の支払・請求額は、月ごとの契約金額から実需給期間中の経済的ペナルティを差し引いて算定する。正値は本機関から事業者への支払、負値は事業者への請求。支払は登録口座へ振込、請求額は本機関指定口座へ振込で、振込手数料は容量提供事業者が負担する(5)。契約金額の消費税等相当額は外税。経済的ペナルティは課税対象だが、年間累計が契約金額を超える部分は不課税(6)。
容量提供事業者は契約に基づき電源等差替が可能。本要綱策定の前提にない事象が起きた場合、本機関は扱いを検討し、関係事業者等に通知または公表する。戦争、大規模自然災害、契約効力発生後の法令改正・規制適用による運転停止、送電線故障による出力抑制等の不可抗力による不履行は責めを負わない扱いだが、燃料費その他発電コスト上昇等の経済的理由による不供給は除外される(7(1)~(3))。誓約書違反、提出情報の虚偽、容量市場運営に重大な問題を起こす行為があれば、本機関は契約を解除でき、市場退出ペナルティに加えて参入ペナルティや、退出までに交付した契約金額を上限とする経済的ペナルティを科す場合がある(7(4))。
本文記載の改定点・参照範囲
本文冒頭の2025年3月28日追記は、第62回容量市場の在り方等に関する検討会の審議を踏まえ、発電余力の卸電力取引所等への入札および電気の供給指示対応リクワイアメントに係る経済的ペナルティ算定式のZを90時間とする旨を記載している。詳細はP.55参照とされているが、そのページの内容は入力範囲に含まれない。