資料の位置づけ・対象
本資料は、電力広域的運営推進機関が業務規程第32条の5に基づき作成した「容量市場 業務マニュアル 実需給前に実施すべき業務(全般)編」です。第2版の発行日は2025年8月29日で、対象実需給年度は2028年度です。第2版の改定点として、2.3.2.1「書類提出および電源等情報の追加登録」の図表リンク表記の修正が記載されています。市場退出は、約款第12条に該当する場合に契約容量の全部を解約、または一部を減少させることです。
本文には複数の対象範囲の記述があり、手続ごとに対象年度・期限・詳しさが異なります。以下では各記述に明示された内容を整理し、本文に示されていない条件や期限は補いません。
2.1・2.2 余力活用に関する契約
対象は、調整機能を有する安定電源(全量を電源等差替したものを除く)と、安定電源を差替元とする調整機能を有する差替先電源等です。容量提供事業者または差替先電源等提供者は、一般送配電事業者の調整機能に関する事前審査に合格した後、依頼に基づいて余力活用に関する契約を締結します。容量提供事業者は契約で上げ調整力・下げ調整力の双方を提供します。バランシンググループの形態等により、対象電源であると確認できれば、契約締結者が当該電源の容量提供事業者と異なる場合もあります。
契約締結期限は実需給年度直前の12月末、契約書写しの提出期限は直前の1月末です。2028年度の場合、それぞれ2027年12月末、2028年1月末です。契約済みなら報告依頼を待たずに写しを提出できます。自主報告がない容量提供事業者には、実需給前年度の11月頃に本機関からメールで報告依頼が送られます。
契約済み登録は、容量市場システムの「電源等情報変更申込画面」で契約書写しと、契約対象電源が分かる需給調整市場システムのMMS電源等詳細画面のコピーをPDF(4MB以下、別ファイル可)で提出します。仮申込後、「電源等情報審査管理」から本申込を完了します。契約書のファイル名は「余力活用に関する契約書_事業者名_対象実需給年度_電源等識別番号.pdf」を基本とし、拡張子を含め50文字以下です。審査結果はメールで通知され、合格時は登録通知書をシステムで確認します。不合格時は審査コメントを確認し、必要に応じて締結期限内に再申込します。
契約未締結でも、本文に例示されたやむを得ない理由がある場合は、電源等情報の調整機能を「無」に変更し、理由を記載して申請できます。例は、調整機能が故障し必要な対応後も実需給年度中の復旧見込みがない場合、事前審査で一般送配電事業者の要件を満たさない場合、水力発電で調整機能の使用により河川法等に定める公共の安全が保持されない場合です。証明書類があれば添付できます。過去年度に同じ電源を「有」から「無」に変更済みでも、当該年度の変更では、過去年度の事前審査結果等、理由を証明する書類を添付します。この申込も仮申込後に本申込を行い、本機関の審査を受けます。
締結期限までに契約がなく、やむを得ない理由も認められない場合、当該電源の契約容量全量が市場退出となり、経済的ペナルティの対象です。実需給年度中に調整機能が「無」から「有」に変わった場合は、変更後速やかに電源等情報を変更し、契約を締結して写しを提出します。
差替先についての報告依頼は差替元電源等提供者に送られ、差替元が差替先へ連携します。差替先提供者が写しの提出、または調整機能「無」への変更と理由の申告をします。期限までに契約せず、やむを得ない理由もない場合、本機関は差替掲示板の掲載を取り下げ、差替を無効化します。掲載取下げは差替先へ、無効化は差替元へ通知され、差替先への無効化通知は差替元から行います。
2.3・2.4 電源等情報の追加登録
対象は容量提供事業者(2.3)および差替先電源等提供者(2.4)です。登録時に未提出の書類や、相対契約上の計画変更締切時間、発電BGコード、需要BGコード・計画提出者コード、起動時間等の未登録項目がある電源等が対象です。提出要請は実需給年度直前の12月頃、未提出が続く場合の再要請は1月上旬頃にメールで送られる例が示されていますが、要請前の自主提出・追加登録も可能です。期限は実需給年度直前の1月末です。
容量市場システムの「電源等情報変更申込画面」で仮申込を行い、「電源等情報審査管理」から本申込を完了します。未提出書類は4MB以下のPDFでアップロードし、ファイル名は「書類名_事業者名_対象実需給年度_電源等識別番号.pdf」とします。追加登録の変更理由欄には「電源等情報の追加登録」と入力します。審査結果はメール通知され、不合格時はコメントに従い速やかに対応します。
入力・書類条件として、新設電源は受電地点特定番号・系統コードを入力し、「発電量調整供給契約に基づく受電地点明細表」を提出します。安定電源は相対契約がある場合に計画変更締切時間を入力し、締切時間がなければ空欄にできます。発電BGコードは期限までに入力必須で、需要BGコード・計画提出者コードは期限までに入力し、該当コードがなければ空欄にできます。電源の起動時間は期限までに入力し、起動操作開始から系統並列まで、および系統並列から契約容量到達までをパターン別に記載します。バランス停止がない電源も1パターン入力します。変動電源(単独)は発電BGコードが期限までの必須項目です。
変動電源(アグリゲート)は小規模変動電源リストを専用欄から提出し、変更理由欄に「小規模変動電源リストの提出」と入力します。追加対象は受電地点特定番号、個々の電源の系統コード、発電BGコードです。新設電源の受電地点特定番号・系統コードは期限までに入力し、受電地点明細表を提出します。リスト変更で設備容量が変わる場合は、リスト提出の合格後に設備容量変更を申し込みます。実需給期間中の変更申込は毎月10日締切で、前月11日から当月10日までの申込に不備がなければ最短で翌月1日から有効となります(5月1日からの変更の例では4月10日までに申込)。基本情報・詳細情報の提出書類は、本文記載の容量市場参加登録係宛にCD-R等の電磁的記録媒体で郵送します。
期限までに必要書類を提出しない場合、または情報の不足・虚偽が判明した場合、対応するオークションの当該電源の契約容量全量が市場退出となり、経済的ペナルティの対象となる旨が概要に記載されています。差替先が期限までに追加登録されない場合は差替掲示板の掲載が削除され、差替先に通知されます。本機関による差替無効化後、差替元に通知され、差替先への無効化通知は差替元が行います。書類未提出かつ情報未入力の項目がある場合も、差替無効化の対象です。
発動指令電源の実効性テスト
発動指令電源が対象です。一定条件をすべて満たす場合、実効性テスト以外の一般送配電事業者による発動実績の提出でテストを省略できることがあります。電源等リストや結果(または本機関が認める他の実績)の期限内未提出は全量退出、発動実績が契約容量に満たない場合は不足容量が退出となり、実績が1,000kW未満なら全量退出です。詳細は別冊「容量市場業務マニュアル 実効性テスト編」とされています。
2.5 FIT・FIPに関する異議申立
対象は対象実需給年度中に適用されるFIT・FIP電源に関する手続です。FIT・FIP電源でないことを証明する場合、容量提供事業者は実需給年度直前の1月末までに特定契約終了の証明書等を提出します。年度中にFIT・FIP電源であると明らかになれば、原則として契約容量全量が退出です。変動電源(アグリゲート)の構成リソースのみが該当する場合は該当リソース分が退出し、その結果アグリゲートの契約容量が1,000kW未満ならアグリゲートも退出します。
FIT認定ID等や特定契約終了年月が未申告でFIT・FIP適用が疑われる場合、本機関は容量提供事業者または差替元に照会します。差替先案件では差替元が照会内容を差替先に連携します。FIT・FIP電源ではないとして異議を申し立てる期限は、照会メール受領後5営業日以内です。差替先案件では差替元の受領から5営業日以内に差替先が申立てます。期限内に申立てがなければFIT・FIP電源として登録され、強制市場退出となります。
申立ては容量市場システムの「電源等情報変更申込画面」で根拠書類を4MB以下のPDFで提出し、変更理由欄に「FIT電源またはFIP電源に係る異議申立」と入力します。仮申込後に審査画面から本申込を完了します。書類名は指定形式(「FIT電源またはFIP電源の異議申立書類(書類名)_事業者名_対象実需給年度_電源等識別番号.pdf」)です。提出書類がない等の場合、本文記載の異議申立係宛メールでも申立てできます。例として、混焼バイオマスの非FIT相当分、石炭・バイオマス混焼FIT電源の認定上のバイオマス比率をゼロに変更する場合、ごみ焼却施設のバイオマス発電による新たな買取上限設定申請が挙げられています。審査不合格に再度異議がある場合は、通知受領後5営業日以内に再申立てできます。異議申立てがなければFIT・FIP電源として登録され、強制市場退出・経済的ペナルティの対象となり、容量提供事業者が参入ペナルティの対象となる可能性も記載されています。
2.6 事業者の退出表明
市場退出を希望する全ての電源等が対象です。休止・廃止により実需給年度に供給力を提供できず差替をしない場合は全量退出、差替容量が契約容量に満たない場合は差替後の容量を除いた不足分が退出です。表明期限は実需給年度直前の12月末です。
容量提供事業者は「ペナルティ要素情報登録画面」で対象電源、退出理由、全量・部分の区分、退出容量を登録します。登録後メール通知があり、本機関から市場退出表明書等が送付されます。事業者は経緯・理由を記入して提出し、本機関が退出可否を判断します。追加資料を求められる場合があります。退出区分・容量または表明書に不備があれば、速やかな再表明・再提出を求められることがあります。
全量退出では期待容量等算定諸元一覧は不要です。差替実施済みの場合は差替取消手続が必要ですが、差替容量等算定諸元一覧は不要です。部分退出では期待容量等算定諸元一覧が必要ですが、発動指令電源は不要です。差替済みなら必要に応じ差替容量等算定諸元一覧と差替変更手続が必要ですが、発動指令電源は一覧提出不要です。部分退出では電源等区分ごとに一覧を作成し、指定形式で提出します。変更後期待容量と変更理由「部分退出したため」を入力して本申込を完了します。過去提出した一覧は削除せず、審査開始前に限り申込を取り下げできます。
2.7 給電申合書等
安定電源が対象ですが、属地一般送配電事業者が締結不要と判断した場合は対象外です。締結期限は実需給年度直前の2月末、写し提出期限は3月10日です。2028年度の場合は2028年2月末、同年3月10日です。期限までに締結しない場合、当該電源の契約容量全量が退出となります。
締結済みの場合、容量市場システムの「電源等情報詳細画面」から「給電申合書登録」ボタンを使い、「給電申合書(追加)」欄に4MB以下のPDFをアップロードします。変更理由は「給電申合書等の写しの提出」とし、ファイル名は「給電申合書等_事業者名_対象実需給年度_電源等識別番号.pdf」です。仮申込後に本申込を完了し、本機関の審査を受けます。不合格時は審査コメントを確認し、必要に応じ締結期限内に再申込します。
第3章 実需給前のペナルティ対応
第3章は、3.1経済的ペナルティの算定・通知、3.2返金に係る算定・通知、3.3請求内容の受領、3.4欠番、3.5支払、3.6督促への対応、3.7返金額の入金で構成されます。
3.1では、本機関から通知書発行メールを受けた容量提供事業者が、容量市場システムで実需給年度とペナルティ要素管理番号を検索し、通知書PDFと登録内容を確認します。通知書には算定額、契約・電源情報、退出区分・容量、ペナルティ要素・係数・算定根拠、その他ペナルティ等が記載されます。異議申立ては発行通知メール受領日から5営業日以内に所定宛先へメールで行い、事業者・契約・電源・通知書等の識別情報と異議内容を記します。本機関は協議結果をメールで通知し、通知書を再発行する場合があります。
3.2では返金対象事業者に返金額通知書がメールで送付されます。返金額、返金区分、算定額、メイン・調達オークション約定価格、退出容量、契約・電源情報等を確認します。記載された返金区分は、調達オークションが開催されない場合、調達価格がメイン価格を下回る場合、両価格の差がメイン価格の5%を下回る場合です。受領後5営業日以内に、通知書番号等と異議内容を記載してメールで異議申立てできます。本機関は結果を通知し、通知書を再発行する場合があります。
3.3では本機関が請求内容をメールで送り、変更契約書または解約合意書で通知します。事業者は内容を確認し、契約締結と支払手続を行います。解約合意書には対象事業者、実需給年度、解約日、退出容量、請求金額、振込先が、変更契約書には契約容量・契約金額の変更前後等が記載されます。3.5では請求金額を支払期限までに指定口座へ振り込みます。
3.6では支払期日後に本機関から電話督促があり、事業者は振込状況を確認してメールで連絡します。未払いが続く場合、督促状、次いで内容証明郵便が送付されます。各段階で内容を確認し、対応策を策定してメールで本機関へ連絡しますが、その連絡期限は本文に記載されていません。
3.7では事前送付された支払通知書の返金額と入金額を照合します。入金日から5営業日以内に、通知書番号等と異議内容をメールで申し立てできます。本機関は検討結果をメールで通知します。3.1、3.2、3.7の異議申立期限例として4月1日受領・入金の場合に4月7日までと示されていますが、本文にない休日計算等のルールは追加されていません。
記載範囲・留意点
本文には手順全体図の説明も含まれますが、図の順序・分岐を超える審査基準や期限は特定できないとされています。3.4は欠番です。付録の支払通知書明細にある年度・金額は様式例の内容です。本文に改定点の記載がない範囲について、改定内容は特定できません。重大な違反行為に対し、一定期間のオークション参加制限や期待容量の評価引下げ等の参入ペナルティが科される場合があり、例として落札後の必要情報未提出や電源等情報への虚偽登録が挙げられています。