福島新エネ社会構想の加速
「福島新エネ社会構想加速化プラン2026」は、第7次エネルギー基本計画、GX2040ビジョン、地域未来戦略等を踏まえ、福島をネットゼロ・GXの実現を先導する地域とするための取組計画である。中東情勢を受けたエネルギー安全保障の強化も背景に、再生可能エネルギーの地域共生型導入、水素等の供給・利用拡大、産業集積を進める。国・県・自治体・企業等が予算や実証事業を集中し、進捗をフォローアップする方針である。記載される実績と今後の予定・目標は区別されており、プラン自体が個別事業の完了を意味するものではない。
再生可能エネルギーの導入・産業化
- 導入実績と目標: 2024年度末の再エネ導入量は、県内エネルギー需要比59.7%、県内電力消費量比109.4%である。県は2040年頃に県内エネルギー需要量の100%以上を再エネで生み出す目標を掲げ、ペロブスカイト太陽電池の先行導入やオンサイトPPAの事業化可能性調査を進めている。2025年度に選定したモデル設置候補33施設の設置ポテンシャルは約1.9MWと確認された。
- 送電網と電源開発: 総延長約86kmの共用送電線は2024年7月に完成し、2026年8月までに太陽光11事業(約23.5万kW)と風力8事業(約27万kW)が連系・運転を開始した。風力は約75%の進捗で、2028年度までにさらに約11万kWの連系を予定する。県内風力導入量を2020年度比で約3倍の約56万kWとする計画の実現を支援する。洋上風力は、調査結果を踏まえ、漁業との共生等を前提に検討を続ける。
- 産業、人材、資源循環: 2017~2025年に再エネ技術の実証等59件を支援し、29件が事業化した。関連業務の成約は323件である。今後は研究開発・実証から販路開拓までの支援を続け、風力O&M人材の育成やFREAの研究・試験機能を強化する。太陽光パネルについては、収集運搬やリサイクル体制の構築、廃ガラスの再利用を進めるほか、風力設備のリサイクル事業化も検証する。小水力・バイオマス・地熱等の地域資源を用いた導入支援も継続する。
- 地域で使う仕組み: 大熊町では地域新電力が公共施設等へ供給し、2025年4月から町役場庁舎に再エネ100%電力を供給している。県内自治体・事業者への分散型エネルギー計画や設備導入支援を続け、RE100工業団地や蓄電所、再エネ熱利用等を含む地域モデルの形成を目指す。環境アセスメント情報の整備・利用促進、送電系統情報の公開範囲拡大も進める。
水素の供給網・需要形成
- 供給と技術開発: 浪江町のFH2Rを活用し、再エネ由来水素の製造・供給コスト低減に向けた開発実証を2026年度から進める。水素社会推進法に基づき、ヒメジ理化等による低炭素水素の製造・工場利用計画が2026年3月に認定された。水電解装置の性能評価基盤や水素貯蔵・輸送技術の開発も継続し、需要・供給双方の課題解決を図る。
- モビリティ: 2026年7月末時点で県内に定置式水素ステーション5か所(6基)、燃料電池自動車487台等が導入されている。県は2030年度までにステーション20基を整備する目標を掲げ、燃料電池トラック普及・ステーション整備方針に沿って導入を進める。福島県は2026年8月に「水素1%調達宣言」を行い、電動化可能な公用車の1%以上を早期に燃料電池車へ切り替えることを目指す。大型商用車向け充填技術の実証は2027年度まで続く。
- 地域利用と産業: 公共施設、介護・宿泊施設、工場、港湾等で水素利用を広げる。小名浜港・相馬港は港湾脱炭素化推進計画を作成・公表し、水素・アンモニア等の拠点形成を目指す。工場では水素バーナー等の実証・導入が進み、一部では水素を用いた製造が開始されている。今後、燃料電池や水電解装置、配送・利用設備の導入支援、地産地消型モデルや水素関連産業の育成を進める。福島県と東京都の連携協定に基づき、幹線物流や都内での県産水素利用も促進する。
研究開発と実施体制
FREAは企業支援、共同研究、O&M人材育成、国際連携を通じ、再エネのイノベーション拠点として機能強化を図る。2013~2025年度に延べ213課題を技術支援し、66件が事業化した。F-REIは2029年度まで、再エネ・水素を電力網と連携して活用するシステムや、バイオ統合型グリーンケミカル等の研究開発・実装を進める。福島県は地元企業の紹介や研究機関とのマッチングを支援する。国・県等は取組状況を適時確認し、必要に応じて関係会議へ報告する。