資料の目的・背景
この資料は、経済産業省が2017年度の調整力の稼働実績をまとめたものである。特に、大きな不足インバランスに対する一般送配電事業者の対応について分析されており、報告は電力・ガス取引監視等委員会に向けて作成された。
主要な検討内容・論点
- 2017年度の調整力の公募による調達初年度となる。
- 年間のインバランスデータと調整力の稼働実績データを基に、大きな不足インバランスが発生した回数とその要因、及び一般送配電事業者の対応を分析している。
調整力の公募調達の概要
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電源 I:
- 一般送配電事業者が必要量を明示して募集し、落札した事業者に契約容量に応じたkW価格を支払う。調整指命を出した場合は、指命量に応じたkWh価格を支払う。
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電源 II:
- 小売電源のゲートクローズ後の余力を利用し、基本的には契約時に必要量を明示せず、kW価格は考慮されない。
電源 I、 II の実運用
- 一般送配電事業者は、電力量(kWh)価格の低い順に指令を出し、調整力提供者はユニットごとの電力量(kWh)価格を登録する。
重要な数値・データ
インバランス発生の状況
不足インバランスがH3需要の7%を超えた回数のエリア別データは以下の通り。
| エリア | 平均 | σ | 不足インバランスがH3の7%以上のコマ数割合 |
|---|
| 北海道 | + 0.6% | 3.2% | 295 (1.7%) |
| 東北 | + 0.8% | 2.6% | 86 (0.5%) |
| 東京 | + 0.3% | 1.8% | 42 (0.2%) |
| 中部 | + 0.1% | 2.0% | 84 (0.5%) |
| 中国 | + 1.0% | 2.7% | 89 (0.5%) |
| 九州 | + 0.6% | 3.4% | 330 (1.9%) |
大きな不足インバランスが発生した際の電源 I の稼働実績
不足インバランスがH3需要の7%以上及び3.5%を超えたコマにおける、電源 I の稼働実績は以下の通り。
| 地域 | 不足インバランスがH3の7%以上のコマ数割合 | 電源 I 稼働量がH3の3.5%稼働率50%以上のコマ数 | うち4.9%稼働率70%以上 |
|---|
| 東京 | 42 (0.2%) | 39 | 12 |
| 九州 | 330 (1.9%) | 138 | 18 |
不足インバランス発生の主要因
- 各エリアにおける太陽光発電の予測外れが不足インバランスの主要因となっている。
- 特に九州及び四国では、FIT特例の予測外れが多く見られた。
| エリア | 主要因 | 不足インバランスがH3の7%以上のコマ数割合 |
|---|
| 北海道 | FIT特例① | 295 (1.7%) |
| 九州 | FIT特例① | 330 (1.9%) |
課題・リスク
- 不足インバランスに対する調整力確保の見直しが必要であり、予測精度の向上も重要な課題となっている。
- 電源 II に依存する状況の改善が求められている。
今後の予定
- 分析を通じて得られた示唆を基に、電源 I の確保量の精査や調整力確保の方法について検討が行われる予定である。特に再生可能エネルギーの予測精度改善向けの取り組みが重要視される。
ゲートクローズ前の調整手段(時間前市場)の充実化について
概要
本資料は、電力・ガス基本政策小委員会における2018年5月の討議に関連し、時間前市場の取引ニーズの高まりや取引円滑化の方策について検討している内容である。
主要な検討内容
- インバランス料金の見直しに伴う需給バランス一致のインセンティブ強化により、時間前三市場の取引需要が大きく高まると予測される。
- 将来的な制度変更を踏まえ、事業者が需給バランスを維持するための時間前市場の活用促進が重要である。
主な懸案事項
| 懸案事項 | 説明 |
|---|
| 市場の厚み | ・事業者は「市場に厚みがない」と感じている。 |
| ・市場の厚みを示し、時間前市場への信頼性を構築する必要がある。 |
| 価格指標性 | ・ザラ場市場は即時性があるが、価格指標性が低い。 |
| ・時間前市場の価格指標性をどう考えるかが課題。 |
| 入札タイミングの差 | ・僅かな入札タイミングの違いが結果に影響する。 |
| ・FIT発電計画の変更連絡の時間差が調整コストに差をもたらす可能性がある。 |
| 約定結果の計画への反映 | ・1時間前市場への入札が計画締切より前に引き上げられる点についての懸念。 |
まとめ
時間前市場の充実化は、需給バランスの安定を図る上で重要である。事業者間の信頼性や取引の円滑化に向けた対策が求められており、今後の制度運用において検討が必要である。