資料概要
本資料は、経済産業省が提供した「ガスの卸調達・適正取引の在り方について」に関するもので、特にLNG基地の第三者利用制度の利用促進に向けた検討を目的としている。資料は平成30年4月23日に、電力・ガス取引監視委員会の第29回制度設計専門会合で提出された。
前回の振り返りと論点
製造事業者へのアンケート結果
LNG基地の第三者利用に関する今後の論点は以下の3点である。
- 製造設備の余力
- 基地利用料金
- 事前検討申込み時に必要な情報
委員からの意見
- 製造設備の余力に関して、情報開示が不十分であるとの指摘があり、判定方法が厳しいとの意見があった。
- 基地利用料金についても情報開示が不足しており、料金が高いとの意見が寄せられた。
- 事前検討申込み時に必要な情報は過剰であるとの意見もあった。
「今後一つ一つ解決していくとしても、タンクそのものの容量が本当に空いていないのであれば、どうしようもない問題である。」
タンク設備余力の判定方法
ガス製造事業者は、需給計画に基づいたタンク貯蔵量の見通しと、必要なリスクを控除した利用可能容量からタンクの貯蔵余力を判定する。
判定基準
- タンク貯蔵量の見通し
- 利用可能容量
- 物理的利用不可、需要増リスク、原材料途絶リスクを控除
- 余力の判定
- 貸出可能な余力があればルームレントでの利用可
- 余力がなければ利用不可
リスク容量の考え方
リスク容量の設定
各ガス製造事業者は、リスク容量や物理的に利用できない容量の合計が平均40%程度であることを考慮している。
| リスク項目 | 説明 |
|---|
| ① 物理的に入れられないタンク容量 | 物理的な制約により利用不可 |
| ② 需要減リスク | 需要の減少に伴う上昇に備えるための容量 |
| ③ 需要増リスク | 需要の増加に備えるための容量 |
| ④ 原料供給途絶リスク | 原料供給が途絶えるリスクに備えるための容量 |
| ⑤ 物理的にポンプで引けないタンク容量 | 利用制約がある物理的容量 |
リスクファクター
ガス製造事業者は、リスクの設定において以下の項目を考慮していることが重要視されている。
- 物理的利用不可上限
- 需要変動に関する要因
- 原料供給途絶リスク
アンケート調査結果
調査概要
アンケート調査は、ガス製造事業者に対して設定されたリスク容量の詳細を把握するために実施された。
| 調査内容 | 制度情報 |
|---|
| 対象 | ガス製造事業者27社 |
| 実施期間 | 2018年3月初旬 |
| 質問内容 | リスク容量の詳細 |
リスクファクターの概要
本資料では、ガス製造事業者が備えるLNG(液化天然ガス)のリスクファクターについて説明する。
リスクファクター⑤:積地トラブル
- 積地トラブルとは、LNGの出荷元での災害や機器トラブルにより原料供給が途絶するリスクである。
- 事業者は、以下の理由からLNGの備蓄を行っている。
- トラブル発覚後に必要な期間中、原料が途絶えないように。
- 国産ガス田のトラブル時のバックアップとして。
考慮している基地・エリア
リスク容量の算定方法
- 計算式は以下の通り。
- 日平均払出量 × 調達先からLNGを手配するまでの期間(7〜20日間)
リスク容量の割合
- 8.4〜24.0%(他のリスクに含まれる場合が多く、詳細は不明)
リスクファクター⑥:輸送・揚地トラブル
- 輸送・揚地トラブルは、受入港湾での航路封鎖や桟橋損傷などが原因で原料供給がストップするリスクである。
- 各事業者は、このリスクに備えLNGを備蓄している。
考慮している基地・エリア
リスク容量の算定方法
- 計算式は以下の通り。
- 日平均払出量 × 港湾復旧にかかる期間(主に10日間)
リスク容量の割合
- 8.0〜24.0%(他のリスクに含まれる場合が多く、詳細は不明)
リスクファクター④⑤⑥の算定方法
- リスクファクター④、⑤、⑥は原料途絶リスクとして考えられ、日平均払出量に必要な期間を考慮して算定される。
算定式
- 日平均払出量(kL) ÷ タンク容量(kL) × 対応に必要な期間(平均9.2日)
パラメータの数値のばらつき要因
- 基地・エリアごとの需要特性の相違。
- 調達先の違い(例:サハリン、オーストラリア)。
- 港湾ごとの入港制約。
リスクファクター⑦:物理的利用不可下限
- LNGの液位が一定水準を下回ると、安定的にLNGを取り出せなくなるリスクが存在するため、各事業者は管理下限を設定している。
考慮している基地・エリア
リスク容量の算定方法
- タンクの仕様に基づき算定される。
- 容量のばらつきは、タンクの形状やポンプの性能に起因する。
リスク容量の割合
アンケート結果のまとめと今後の進め方
各製造事業者によるリスク容量の設定状況に違いがあることが確認された。主な影響要因は以下の通りである。
- リスク容量の区分
- リスクファクターの見込み
- リスクファクターの算定方法
- パラメータの数値の設定
今後は多様性に配慮し、リスク容量の標準化の要否について検討を進める必要がある。また、2019年度の設備余力見通しは2018年7月末までに公表されるため、改善策を自主的に実施することが求められる。
結論
本資料は、ガスの卸調達と適正取引におけるLNG基地の第三者利用を推進するための検討事項が示されている。特に、製造設備の余力や基地利用料金、事前検討申込み時に必要な情報の適正化についての議論が重要視されており、これらの項目の改善が事業者の利用促進に寄与することが期待される。