第1フェーズでは、当初予定していた2026年度内の技術シミュレーションを見送り、海外調査、事業者ヒアリング、制約条件の整理、業務概要フローの作成を進める方針である。シミュレーションを行わない前提では、海外ISOの制約条件や処理時間を基準に日本特有の条件との差を整理し、その差が求解時間・収束性に与える影響を、資料調査やベンダー等へのヒアリングを通じて定性的に確認する。シミュレーションの方法論は、今後の実施を見据えて引き続き具体化する。
この見直しは、同時市場システムの実現可能性確認そのものを取りやめる決定ではない。研究会では、日本固有の制約を含むシミュレーションが最終的な実現性判断に重要との意見が示されており、実施時期・内容は今後の検討事項である。第2フェーズでは要求定義を行い、その検討結果を踏まえて同時市場の導入可能性を最終判断するロードマップである。
海外調査は、①日本でのシステム実現可能性、②市場関係者の業務対応可能性、③研究会・検討会の指摘事項への追加調査に分ける。北米のPJM、NYISO、CAISO、ERCOTを基本対象とし、論点に応じて他の北米ISOや欧州TSOも調査する。調査済みの基礎情報を出発点に、各ISOの系統規模・設備数、扱う制約、計算時間・収束性、制約をシステムと事業者のどちらで扱うかを比較する。海外で未考慮の制約は、その理由や代替運用も確認する。公開資料の調査に加え、ISO、海外ベンダー、市場参加者へのヒアリングを想定している。
調査項目には、ノード単位の需給バランス、並列計算、揚水の最適化、発電・系統制約、計算環境、前日SCUCの時間粒度、再エネ余剰、計算が時間内に収束しない場合の運用、参加条件や入札パラメータの変更頻度などが含まれる。研究会意見を受け、開発時のISO・ベンダーの役割分担、工期・工数、処理時間と収束性の実態も追加調査する。海外事例は日本での扱いを決める結論ではなく、国内の検討やヒアリングに用いる比較材料である。
資料は、今年度実施を前提に作成していた素案を参考情報として示す。想定対象は前日市場のSCUCで、約1,200ノード、約1,400ブランチ、火力・揚水・蓄電池など約1,900ユニットを置き、火力の起動・出力特性、揚水・蓄電池の設備制約、直流設備制約、価格弾力性のある需要等を組み合わせる案であった。評価目安として計算時間約60分、MIP Gap 0.1%を置いたが、いずれも海外事例等を参考にした素案であり、確定した実施条件ではない。シナリオ案は、2024年実績による基準・再エネ余剰・需給ひっ迫の3ケースと、2035年頃の再エネ増加を想定するケースの計4つである。
事業者ヒアリングで把握した制約は、直接システムに組み込むもの、事業者の入札上下限等に反映して間接的に扱うもの、今回の検証対象としないものに整理されていた。素案では、火力の出力・起動停止・燃料制約、揚水の出力・貯水・モード切替制約、蓄電池の充放電出力・SOC制約、需給バランス・調整力・ネットワーク潮流・予備力などを考慮対象とする考え方である。一方、系統慣性や一部の時間帯制約、調整力発動後の蓄電池出力変動などは対象外とする案も含む。これらは旧素案上の整理であり、将来の制度設計での採否を決めたものではない。研究会では、制約を考慮しない場合の扱い、事業者負担、約定結果や価格への影響を明確にし、計算上の難易度と制度・運用上の重要度を分けて検討すべきとの意見が出た。
業務概要フローは、今後の詳細業務設計、事業者間の業務イメージ共有、システム要件検討の土台として作成中である。今回の案は現行中給を前提とした同時市場運開後の想定であり、次期中給運開後の変更点は今後整理する。広域機関の計画受付・連系線潮流管理、一般送配電事業者の地内系統管理・エリア需給管理・調整力発動など、現行の役割を基本的に踏襲し、同時市場では電源起動停止・出力配分に必要な潮流計算を行うが潮流管理は行わない想定である。
制度や時刻が未確定の部分は仮置きであり、前日市場の締切を前日10時、時間前市場を前日17時・当日6時・15時、直前市場を1日24回などとする案を含む。週間運用から前日・時間前・直前市場、実需給までの計画提出、入札、約定、通知、調整力発動等を描いているが、事業者ヒアリングや海外調査を踏まえて更新する。研究会からは、提出期限の実務負担、TSO需要と小売需要の扱い、FIT予測、次期中給とのデータ連携、緊急時対応、市場結果と実運用の差が生じた場合の責任・費用、事業者側システム改修などを詰める必要が指摘された。第1フェーズの成果物として研究レポートと業務概要フローを取りまとめ、海外調査・ヒアリングの進捗報告を経て、2027年3月末の最終報告を予定する。
※AI生成。詳細は原文PDFをご確認ください。
出典:
「第1フェーズの検討進捗状況」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/doji_shijo_kento/index.html)をもとに当社作成
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